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今回インタビューしたのは、黒田佳吏夫さん
2022年3月に島根県立隠岐島前高校を卒業し、「1年以内に起業すること」という条件のもとガイアックスへ入社した黒田佳吏夫(くろだ かりふ)さん。企業に入社し、会社から給与をもらいながら起業の準備ができるこの制度はEIR(客員起業家制度)とも呼ばれています。なぜ高校卒業後にガイアックスへ入社するという選択をしたのでしょうか?高校生活のことや、起業を目指そうと思った背景についてもお聞きしました。
黒田佳吏夫
2003年生まれ。高校魅力化の最先端と言われる隠岐島前高校に入学。生徒会長を務める。2021年にスタートアップスタジオ主催『起業ゼミ』でGaiaxと出会う。3歳から15年間続けてきたレスリングを辞め「高卒など関係なく社会にインパクトを与えられる場所」を探し、Gaiaxに入社。
「1年以内に起業すること」自分を追い込むために目的を持つ
ー 高校卒業後にガイアックスへ入社した決め手とは?
僕は3歳からレスリングをしていました。レスリングや島前高校での経験を通して学んだのが、人は過ごしたことがない環境に行ったり、追い込まれたときに成長するということです。
ガイアックスの社風を調べてみたらすごく自由で、やりたいことができる環境は僕にあっていると感じました。
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隠岐島前高校も自由だったんですけど、自由だからこそ何も言われないし、何もしなければ置いていかれます。入社して仕事をするだけでは自分自身で追い込めないなとも思っていて、ガイアックスの面談では「追い込んでほしい」と伝えたんです。そして入社条件に「1年以内に起業すること」という項目を追加してもらいました。
与えられた仕事をやるのもいいなとは思いつつ、起業しなければいけないという1つの目的があった方が、自由な環境であっても自分を追い込めるのかなと思い入社を決断しました。
他にも心惹かれたことがあります。それはAppBank代表 村井さんの出身企業だということです。
僕はよくゲーム実況を見ていて、マックスむらいさんの動画も見ていました。あるとき、たまたま村井さんの起業までの道のりを紹介する動画を見ていると、ガイアックスの名前が出てきて……。「まさか僕が参加していた起業ゼミのガイアックスと一緒じゃないよな?」と調べたら、ここの出身だったと知ったんです。
村井さんは防衛大を中退して高卒ですし、村井さんのような自由な人が受け入れられる会社なら面白そうだなと。僕は面白い人と話したり過ごすことが好きなので、ガイアックスなら面白い人と出会えそうだと思って、入社を決めました。
ー 4月から成人年齢が18歳に引き下げになりますね。起業に関しても自由度が高くなるのでしょうか?
起業についても自由になる反面、その分自己責任になってくるのかなと思っています。
これまでは親の同意がなければ契約ができなかったので、スムーズに契約できるようにはなりますが、全部自分の管理になることで、だらしなさみたいなものが浮き彫りになってくるかもしれません。
でもそれが浸透していけば、「18歳だから自分で責任を持つのは当たり前だよね」という世の中になるのかなと想像しています。
15年間続けたレスリング。楽しいと思えたのは最後の1年半だった
ー 黒田さんはどんな学校生活を過ごしましたか?
3歳から15年間レスリングをやってきて、高校でも部活はレスリング部でした。
当時、父の知人でレスリングの元オリンピック選手が僕の地元でレスリングクラブを始めたんです。スポーツをさせるなら日本一にしたいと、日体大出身の父は、僕が物心つく前からレスリングを始めることを決めていました。でも、僕はというと15年間の内で13年間はレスリングが嫌いだったんです(笑)。
もともと僕の気持ちとは関係なくレスリングを始めることになり、親の方針で辞めることもできずに続けていました。それでも父譲りの運動神経のおかげで、練習しなくても全国大会に出場したり、大会で優勝できたりしたんですよね。でも、僕自身の力で優勝したとは思っていなくて、父親が褒められているみたいで嫌だなと思っていました。
そのうち「レスリングがあるから勉強しなくてもいいや」と考えるようになってしまったんです。いつからかレスリングが嫌いなのに、レスリングに頼ることしかできない自分のことも嫌になっていました。
ー 13年間はレスリングが嫌いで、その後はどんな変化がありましたか?
中学生までは運動神経で勝ってきたんですけど、高校生になると努力の世界になってきて、初めてコテンパンに負けたんです。その相手は、中学生のときには僕が圧勝していた相手でした。
そこから初めて努力をするようになりました。自分で努力した上で勝つという経験をしたときに、それまでの「レスリングが嫌い」という感情が一気に変わって初めてレスリングを楽しいと思えるようになったんです。
ただ僕の友達で高校1年生のときインターハイチャンピオンになった子は、レスリングが好きで四六時中レスリングのことしか考えていませんでした。大学でも続けようか迷ったんですけど、本当に自分の好きなことでないと極めるのは難しいなと思い、レスリングは引退したんです。
起業ゼミをきっかけに「起業」という選択肢が生まれた
ー ガイアックスとの出会いについて教えてください。
ガイアックスを知ったきっかけは、島の公立塾で開催された起業ゼミでした。それが2021年2月だったのでちょうど1年前くらいですね。
当時の僕は、慶應SFCに進むか知り合いの会社で働くか、進路に迷っていました。
そんなときに知り合いの方からすすめられたことがきっかけで、起業ゼミに参加してみることに。最初は、もっとふんわりしたサークルのような雰囲気かと思っていたんです。でも参加してみたら、2週間で事業を考えてプレゼンをして、優勝したら200万の資金をもらえるというしっかりとしたプログラムで、そこから仮説の立て方や考え方を学び、「起業ってこんなにガチなんだ!」と体感しました。
ー 黒田さんはどんな事業アイデアを考えましたか?
まずは身近なところから課題を探し、同級生や後輩の話しの内容に目をつけました。よく話されていたのが、「大学に入らないといい企業に入れない」「他にやりたいことがあるけど、将来のために大学へ行っていい企業に入る方が生涯年収も高くなる」というものでした。
たとえば、彼らの中には世界一周したいという子もいたし、海外の子供達とサッカーがしたいという子もいる。でも、いい大学へ行っていい企業に入る方が将来のためになるんだと、自分を納得させようとしているように感じたんです。
一方で、2021年12月にインターネット上で「学歴フィルター(*1)」が話題になったように、大学名で振り分けられることは実際にあるのだと思います。僕自身も膨大な候補者を全員見られるわけではないという現場の現状を想像できるので仕方のないことだと思います。
そこで僕は、人間が書類選考で候補者を見ることが不可能なら、AIにパターン化させて、そこから書類選考をしていくのはどうかと考えました。
起業ゼミではそのアイデアを発表して、事業検証賞をいただきました。賞をいただいたことでスタートアップスタジオ責任者の佐々木さんと関わり始め、そこからちゃんとガイアックスとつながりをもったという感じです。
(*1)日本の就職活動において使われている用語の一つ。どんな大学生でもネット上から簡単にエントリー行為が出来るようになったことで、担当者の業務負担が増え、採用コストが増加傾向にある中で企業側は学歴で足切りをしないと膨大な数の応募履歴書を処理し切れないため、特定の偏差値未満の大学の出身者の者を採用選考から除外しておくために設けている。
自分自身の人生なのに、自分がいないのは気持ち悪い
ー ほとんどの同級生が進学する中で、東京へ就職するという選択をした黒田さんですが、何が軸になっているんでしょうか?
これはレスリングの話とつながってきます。
もともと父親の意向でレスリングを始め、ずっとやらされている感覚でいました。そのときはレスリングが嫌いだったし、負けたときには父親のせいにしていました。でも、自分の人生なのに、自分自身がいないというのが気持ち悪くて。そこが僕の軸になっていると思います。
僕自身にしか僕を変えることはできなくて、誰かが変えてくれると期待をしていると、人に依存することになってしまうのだと思います。
もし周りの大人にすすめられたからという理由で大学へ進学したとしても、今はコロナ不況だし、就職だってどうなるかわかりませんよね。そうなったときに、先生や地域の人のことを恨んだり、誰かのせいにするのは嫌なんです。
人のせいにするのは楽といえば楽ですが、自分が好きになった人たちを、自分のせいで恨むことはしたくないと思いました。
だから、「自分がどうしたいか」「自分がどんな社会を作りたいか」と常に自分に指を向けるようにしています。
ー これからガイアックスで取り組みたいことは何ですか?
見えない声を可視化し、実現させることです。
高校で生徒会長を務めた際に印象的だったことがあります。
学校には意見箱が設置されていました。書く人は数人しかいないんですけど、その意見を公表すると「確かに」と生徒たちから共感の声が出てくることがあったんです。その経験を通して、「言語化できなくとも、同じような想いを持っている人」が多いことに気づきました。同時に「使命感があり、すでに言語化できている人」も世の中にはたくさん存在しています。そこでこの2種類の人をつなげ、その声を実現させてみたいと思うようになったんです。
そうしていろんな人の声が可視化される世の中になれば、実現しようと動く人が出てくるかもしれないし、支援する人も出てくるかもしれない。
僕はゲームが好きなので、今後はその想いをゲーム業界に当てはめて課題を解決したいと思っています。
たとえば、「こういうゲームを作ってほしい」と声をあげる人は数人でも、その声を発信することで共感者が増える。でも、現状としてはそういう声が可視化されず、投資家から資金が得られなかったり、ゲームを開発しようと思っても買ってもらえるかわからなかったりするという課題があるので、その辺りを解決できないかなと考えています。
ー 黒田さんから見て、どんな人がガイアックスに向いていると思いますか?
自由な人にはおすすめですね。やりたいことがあって、実現したい社会がある人なら、それをバックアップしてくれる環境があると思います。
逆に、与えられることが当たり前だと思っている受動的な人には、あまりおすすめしないかもしれません。それと、ガイアックスには型がないからこそ、「こうあるべき」という枠をつくっている人にもあまり合わないかもしれません。
ー 最後に、同年代の人に向けて一言どうぞ!
日本には南海トラフ地震や首都直下型地震がいつ起きてもおかしくないというリスクがあります。僕はその状況の中で「これを選択すれば正解」なんていうものはないんじゃないかなと思っているんです。
大企業や政府が日本の未来をどうにかしてくれるとかじゃなく、自分がどういう社会にしたいかを考えて実行すること。「自分はどうしたいのか」を大切にしています。その1つの手段として僕は起業を選びました。”
自分が思い描く社会があったとして、ただ言うだけなら誰でもできると思うんですけど、実現させるために動くことができるのは一握りの人だと思います。
逆に、その一握りの中に入ってしまえば輝ける。みんなと同じ路線で勝負しなくても、自分にしかできない路線をつくって先頭を走ってしまえばいい。就職することだけが社会への貢献ではないと思うし、自分が輝ける場所を探せばいいと思うんです。
これから日本に必要だと思うのは、一人ひとりが強くあることだと思っていて。一人ひとりの個が確立していたら、集団としても強くなると思っています。
僕は自分の取る選択が自分自身にとってどんな意味をもつのか、常に自分に指を向けて考えるようにしています。
最初は考えがこんがらがることもあるし、正解みたいなものもないかもしれません。だけれど、それが人生の羅針盤になるのだと信じています。
ー ありがとうございました!
インタビュー・ライティング:黒岩麻衣
編集:遠藤桂視子
「小学生時代は父親の言うことが絶対だった」という黒田さん。中学生になると、思い切り反発したそうです。後々、それが計画的な教育方針だったと聞かされ、子供の成長のためなら嫌われることも厭わなかった親御さんを今では尊敬されているそう。これからガイアックスでどんな活躍をされていくのでしょうか。ぜひ1年後の黒田さんにもインタビューしたいですね。