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起業は「究極の探究」。“生徒が輝く起業家教育”を全国の中高生に届ける

  • 最終更新: 2023年9月6日

今回は、スタートアップスタジオ事業部に所属し、中高生向けのアントレプレナーシップ教育プログラム「起業ゼミ」の事業責任者として全国を飛び回っている吉川佳佑(よしかわ けいすけ)さんにインタビューしました。
ガイアックスに入社する前は、教師として私立高校に5年間、角川ドワンゴ学園 N高等学校・S高等学校に2年間勤務していた吉川さん。教育の道へ進んだ理由や、「天職だった」という教師を辞めてガイアックスへ来た背景、起業ゼミにかける想いや今後のビジョンについてお聞きしました。

「起業ゼミ」を率いるのは元教師。教育の道へ進むきっかけは高校時代に感じた“学校教育のモヤモヤ”

現在のお仕事について教えてください。

2022年1月にガイアックスに入社し、現在は起業家教育事業責任者として全国を飛び回りながら、中高生向けのアントレプレナーシップ教育プログラム「起業ゼミ」の運営全般を担当しています。
起業ゼミは、「起業の裾野拡大」と「若年層のアントレプレナーシップ醸成」を目的にしたプログラムで、課題設定、情報収集、事業アイディアづくり、ピッチ(プレゼン)といった起業の一連の流れをワークショップ形式で学べるようになっています。

吉川さんはガイアックスに入社する前は学校の教師をしていたそうですね。

そうなんです。大学で教員免許を取得し、卒業後は母校である石川県の私立高校に5年間、角川ドワンゴ学園 N高等学校・S高等学校(以下、N高)で2年間勤務しました。
僕は子どもの頃から、部活や友達と遊ぶよりも勉強が大好きだったんですよね。放っておいてもずっと勉強しているくらい勉強が好きだったのですが、学校はあまり好きではなくて。学校の授業だと、すでに知っていることを1日7時間聞いていないといけないし、知っている内容だからといって授業中にほかの勉強をしていると怒られて、子どもながらにモヤモヤしていました。その頃は具体的な解決方法まではわかりませんでしたが、「学校をもっとよくしたい」と思って教師を目指しました。

教師になって、学校ではどんなことに取り組んだのでしょうか?

まずは学校のIT化を推進しました。いま学校現場では様々な新しい取り組みが求められています。しかし、あまり引き算の文化や仕組みがないため、業務は積み重なるばかりで、結果的に先生たちはどんどん忙しくなってしまうという悪循環が起こってしまっています。なので、僕もまずは業務を効率化して先生たちの仕事量を圧縮することを優先的に考えて、教科書やプリント、会議資料などの電子化や、チャットツール・Google系サービスの導入、IT機器のレンタル制度構築などに取り組みました。どれも民間企業では当たり前に行われていることですが、当時の学校現場では非常に大きな一歩になりました。

その次に推進したのが、探究学習の導入と普及です。かつては知識やスキルを平均化することが「教育」とされてきましたが、いまの時代はいろいろなものを平均的にこなすよりも、何かを尖らせることが重要視されています。自分でテーマを決めて追求する探究学習はアウトプットの方法も人それぞれなので、「いまの教育に必要なものだ」と思って取り入れました。

起業ゼミ

「全国の学校の力になりたい」。学校を飛び出し、民間への転職を決意

N高へ移ったのには、どのような心境の変化があったのでしょうか?

「もう少しチャレンジしたい」と思ったのがきっかけですね。
最初に赴任した学校で5年間勤務して、取り組んできたことが徐々に評価してもらえるようになりました。県内有数のIT化先進校になったことで、ほかの学校に講師として呼んでもらったり、探究学習でも全国的に注目され、経産省の起業家教育プログラムに採択されたり。自分のなかでやり切った感を感じて、教師としてさらにレベルアップするために、ICTを使った教育や探究学習に力を入れている学校を探してN高に辿り着きました。

やはり、一般的な学校とは違いましたか?

何もかもが違いました。印象的だったのは、赴任して最初のミーティングで「人間がやらなくていい仕事はすべてプログラミングに任せてください」と言われたことです。
生徒と関わる時間をとにかく大切にしていて、そのために学校は先生たちがプログラミングを学べる研修や学習コンテンツを用意しているほどでした。ちょうどいま起業ゼミのアプリを作っているのですが、これは僕がエンジニアの方の知見を借りつつ自分でつくっていて、その頃に培われたスキルが活きていると感じています。

そのままN高で教師を続ける道もあったと思うのですが、どうしてガイアックスへ入社したのでしょうか?

N高は、いま思っても本当に素晴らしい教育をしている学校だと思います。一方で、「これを1つの学校だけでやるのはもったいない」とも感じていて。もともと最初の学校で先生をしていた頃から、一部の学校だけが先進的な取り組みをしてメディアに取り上げられて、他の学校ではマネできないといった状況をどうにかしたいと思っていました。
さすがに特定の学校に籍を置きながら他校のためになることはできなかったので、一度学校を離れて、民間の立場から全国の学校のためになることができればと思ったのがガイアックスへ入社したきっかけです。

社会実装を考えることで“起業の芽”が出る。起業ゼミと探究学習の違いとは?

起業ゼミの導入を検討している学校からは、どのような要望がありますか?

1つは、「新しいことを取り入れたい」「学校の特色をつくりたい」といった要望が約半数を占めます。
現在は約60の学校に導入が決まっていて、そのうちの25%は2000年以降にできた学校なんです。なかには創立100年以上の歴史ある学校もありますが、「時代の流れに合わせて学校改革を行っており、柱の一つにアントレプレナーシップ教育を置きたい」といった想いを持っている学校が多いですね。
もう1つは、2022年度からスタートした「総合的な探究の時間」の使い方を模索している学校です。探究は答えのない問いを自分で設定・追究して、自分なりの解決策を考えてアウトプットするものですが、これまで日本の学校教育で行われてきたいわゆる「勉強」とは性質が異なるので、何をすればいいか頭を悩ませている先生も多いようです。
起業ゼミでは一部の教材をweb上で無償公開しているのですが、そこにたどり着いた先生から「探究の相談に乗ってもらいたい」と連絡をいただくことも増えてきました。

吉川 佳佑

起業ゼミと探究学習との違いはどのような点にありますか?

起業ゼミも探究学習も、自ら課題を設定して解決していくという点では同じです。ただ、両者はアウトプットの方法が異なります。
探究学習の場合は探究したことを論文やポスターセッションなどの形で発表することが多いですが、起業ゼミの場合は解決策をビジネス化し、どう持続可能なものにするかというところまで考えます。机上の空論だけで終わらせずに、社会実装する方法までを考えるのが大きな違いで、実際に起業を志す学生がガイアックスの起業支援のサポートを個別で受けられるのは起業ゼミだけの特徴です。
また、起業ゼミは生徒が自然と熱中してしまうのが1番のポイントだと思います。
起業ゼミは音楽でもスポーツでも、生徒自身の興味関心をベースに課題解決にチャレンジします。インタビューをするにしても、生徒自身が「話してみたい」と思う相手に話を聞きにいくので喜んで行くんですよ。
これまでに約2500名の中高生に対して起業ゼミを実施してきましたが、課題設定からアプトプットまでを通して、「同じものが2つとない」のも特徴だと思います。

教師時代の経験が、起業ゼミの運営にも活かされているのではないでしょうか?

先生たちの忙しさや困っているポイントがよくわかっているので、起業ゼミを導入してもらう上では学校全体のカリキュラムから一緒に考えたり、校長先生に提出する企画書を僕が代わりに作成したり、先生たちの負担を減らすことは意識していて、これは自分自身が教師をしていたからこそできたり、気づけるポイントだと思っています。
創立100年の伝統ある学校と、創立約5年目のN校という両極端な学校で勤めた経験があるので、先生方とお話する機会をいただくと、みなさんがどこに課題を感じているのか、僕自身がその学校にいるくらいの解像度でわかるんです。教師をしてきた7年間の経験を活かし切り、自分の100%を使って取り組んでいます。

たった3日間で生徒は変わる。すべての中高生に「輝くきっかけ」をつくるために、47都道府県で起業ゼミ開催を目指す

起業ゼミを担当していて、やりがいを感じるのはどのようなときですか?

生徒たちがイキイキとした様子で取り組んでいるのを見ると嬉しくなりますし、先生から「あの子は勉強でもスポーツでも目立つタイプではないけれど、起業ゼミだけはやる気がすごいんですよ」と聞いたときには、開催してよかったなと思います。
先日起業ゼミを実施したある学校では、開始前の生徒たちは「先生に無理矢理連れてこられました」といった雰囲気で、話を聞いてもらえているのかもわからない状態でした。でも、2日目には様子がガラッと変わり、最後3日目には何人もの生徒たちが「この学校で起業部をつくります!」「ビジネスコンテストに参加してみようと思います!」と宣言してくれて。たった3日間でこんなに変わるのかと驚かされました。

2日目には様子がガラッと変わり、最後3日目には何人もの生徒たちが「この学校で起業部をつくります!」「ビジネスコンテストに参加してみようと思います!」と宣言してくれて。たった3日間でこんなに変わるのかと驚かされました。

起業ゼミ

逆に難しさを感じるのはどのような点ですか?

「何を結果とするか」にもよりますが、結果が出るまでに時間を要する点で難しさを感じることがあります。
最初に赴任した学校でも起業家教育を行っていましたが、その頃の生徒たちがちょうど今大学3〜4年生になり、起業家輩出企業への就職を目指す子や起業準備をする子が出てきました。改めて教育は目に見える結果が出るまでに時間がかかることを思い知らされので、短期的な変化やアウトプットを期待するのではなく、生徒たちの変容を信じて根気強くやり続けることの重要性を再確認しました。
短期的な変化を望むなら、もともとモチベーションが高い生徒を募って個別にサポートするのも1つの手段だとは思います。でも、既存の学校教育のなかであまり評価されてこなかったり、くすぶっている生徒たちが変わることのほうがインパクトがありますし「起業の裾野拡大」にもつながると思っていて。生徒たちが変わるきっかけをつくるためにも、学校の授業の中で実施することにはこだわっていきたいですね。

最後に、今後のビジョンについて聞かせてください。

1つは、全国に600万人いる中高生たちが、どの学校にいても起業ゼミを受けられるようにすることです。生徒たちが起業ゼミを通して変わっていく姿を目の当たりにしてきたので、日本中の学校で起業ゼミを受けられる状態になったら、大袈裟じゃなく日本が変わると信じています。

生徒たちが起業ゼミを通して変わっていく姿を目の当たりにしてきたので、日本中の学校で起業ゼミを受けられる状態になったら、大袈裟じゃなく日本が変わると信じています。

そのビジョンに向けて、2023年は47都道府県で起業ゼミが開催されている状態を目指していて、この春にはオンデマンド形式で起業について学べるeラーニングサービスのベータ版をリリースしました。
日本には多くの課題があり、悲観的なムードも漂うなか、いま求められているのは自分で課題を見つけて解決していける人だと思っています。起業ゼミを通して「日本を変えていこう」と行動する人が現れたり、挑戦する人たちが賞賛されるようなカルチャーをつくっていきたいと考えています。
将来的には、起業に興味を持った生徒たちがガイアックスのスタートアップスタジオが実施するプログラムに参加してくれたり、ガイアックスから投資を受けるようになったら嬉しいですね。

採用情報

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大学卒業後、新卒で地方の私立高校に赴任し、探究学習や起業家教育の推進を行う。その後N高等高校での勤務を経て、現在は複数の企業の新規事業立ち上げに関わりながら、ガイアックスで中高生や大学生、若手社会人を対象としたアントレプレナーシップ教育プログラムの企画・運営を担当。
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