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【XTC JAPANにかける想い】社会課題解決を目指す起業家と世界をつなぐ

  • 最終更新: 2023年9月6日

 

グローバル課題に取り組む起業家のための世界最大規模のスタートアップ・コンテストであるExtreme Tech Challenge(以下、XTC)。
ガイアックスは株式会社アイティーファーム(以下、IT-Farm)と共にXTC JAPAN運営委員会を立ち上げ、2020年よりXTC日本予選を開催しています。
»XTC Japan公式ホームページ

そして、本年度のXTC日本予選が3月9日に開催されます。
日本予選の開催は今大会で3回目、予選優勝企業2社は2022年6月に米国で開催予定のXTC世界大会に招待されます。

今回はXTC日本予選開催へ向けて、XTC JAPAN開催の背景や、そこに込められた想いについて、ガイアックス代表の上田祐司(うえだ ゆうじ)、XTC JAPAN事務局長を務める千葉憲子(ちば のりこ)、ガイアックスブランド責任者のNatalia Davydova(ナタリア・ダビドバ)に聞きました。

yuji.ueda

上田 祐司

株式会社ガイアックス代表執行役社長(兼取締役)

1997年、同志社大学経済学部卒業後に起業を志し、ベンチャー支援を事業内容とする会社に入社。一年半後、同社を退社。1999年、24歳で株式会社ガイアックスを設立する。30歳で株式公開。一般社団法人シェアリングエコノミー協会代表理事を務める。

Noriko Chiba

千葉 憲子

XTC Japan事務局長・Otell渉外担当責任者

ITシステムの営業と営業企画を経て、2018年 よりガイアックスに転職。社長秘書、社内外が交わる仕組みづくりなどの仕事を行う。また新規事業部でワーケーション関連の事業「Otell」を立ち上げ中。My purpose は「人と人を繋ぎ、新しい価値を生む触媒になる」。

Natalia Davydova

ブランド推進室責任者

2000年、株式会社ガイアックスに参画。エンジニア、デザイナー、Webデベロッパー、クリエイティブディレクターとして数々のソリューション提供に携わる。 2015年より、ガイアックスグループ全体のリブランディングキャンペーンを発足すると共に、本社であるコミュニティビル「Nagatacho GRiD」を新設。 社内外の垣根を超えたコミュニケーションを目指し、最先端のライフスタイルとイノベーション促進に関するイベントを同ビル内で数多くプロデュースした結果、10,000名を超えるコミュニティ形成を実現する。現在は、コーポレートブランドの戦略企画・コンテンツ制作を担当。

XTCとは

XTC(Extreme Tech Challenge)は、国連SDGsなどの人類課題をテクノロジーで劇的に解決するスタートアップを発掘支援する世界最大級のピッチコンテストです。
XTCへ出場するスタートアップは農業・食糧、環境・エネルギー、新素材、教育、実現技術、バイオ技術、デジタルヘルスケア、フィンテック、交通、スマートシティの10カテゴリに分かれて、事業計画の市場性と問題解決力を競います。寄付や補助金ではなくビジネスを通じた人類課題の解決がテーマ。決勝出場スタートアップは海外VCやグローバル企業による事業・資金調達の手厚いメンタリングを受けられるのが特徴です。
» XTCグローバル公式ホームページ

XTC開催の背景

XTCは2015年にYoung Sohn(ヤン・ソン)氏とBill Tai(ビル・タイ)氏によって設立されました。ビル・タイ氏は、アメリカで最も古いVCの一つであるチャーリーリバーベンチャーの元代表で、当時ヤン・ソン氏はサムスンの投資責任者。もともと、二人は旧知の仲でもありました。
2015年にイギリス領 ヴァージン諸島 ネッカー島でビル・タイ氏が好きなカイトサーフィンをやりながら、未来の投資市場について語り合うオフサイトイベントを実施したことをきっかけにXTCはスタートします。
ヤン・ソン氏はマクロン大統領の経済顧問だったということもあり、国連のSDGsと連携するなど活動を広めて、「グローバル課題をイノベーションによって解決する起業家のための世界最大のスタートアップ・コンテスト」へとXTCは成長してきました。

XTC開催の背景についてさらに詳しく知りたい方は「【XTC日本予選特別号】“起業・投資の成功方程式”を投資家ビル・タイ氏が語る」をご覧ください。

XTCの歴史

2015年からスタートしたXTCには毎年世界中から6000社以上のエントリーがあります。Lynq、Elevian、Doctor on Demand、Wanderu、Cresilon、Bloomlifeなど、過去の出場企業はその後、合計で440億円もの資金調達に成功。
世界の著名VCや大手企業など80団体の連合により16ヶ国21都市およびオンライン公募で開催され、前回2021年大会は世界92ヶ国から3700社以上のスタートアップが参加。2021年世界大会の出場80社は出場後に合計約200億円の資金調達を実現。うち43%は女性起業家によるスタートアップです。

これまでの優勝企業

  • 2021年
    • dot
      • 視覚に障がい者向けのドットの触覚ディスプレイといった革新的な技術の活用によりインタラクティブデバイスを開発する企業(韓国)
    • Hillridge Technology
      • オーストラリアをはじめとする世界の農家が天候指標に基づく保護を得られるよう支援するテクノロジーベンチャー企業(オーストラリア)
  • 2020年
    • Genecis
      • 食品廃棄物を生分解性プラスチックやその他の貴重な材料に変換する技術でサーキュラーエコノミーを推進するクリーンテック企業(カナダ)

» 2015〜2019のXTCグローバル優勝企業

GaiaxがXTC JAPANを開催する理由

きっかけは社外取締役からの提案

上田祐司

2019年秋、IT-Farm代表取締役であり、ガイアックスの社外取締役でもある黒崎守峰(くろさき もりお)さんからの打診がきっかけとなり、XTC JAPAN運営委員会が立ち上がりました。

当時の様子について、ガイアックス代表の上田はこのように話しています。「XTCはSDGs全体を包括していて、我々が取り組んでいるソーシャルメディアやシェアリングエコノミーもそこに含まれると思っています。(社会課題を解決するという)大切にしたい想いが一致しているので、黒崎さんからお話をいただいてすぐに、ぜひ一緒にやりましょうという話になりました」。

2019年秋に黒崎さんからの打診があり、12月には実施することが決定されたそう。そして、2020年2月には1回目のXTC JAPANが開催されました。これについて、「ガイアックスがもともと社会課題解決の起業家コミュニティを作っていたことや、Nagatacho GRiDというリアルな場所を持ち、かつ、オンラインイベント配信にも力を入れていたことが、XTC JAPAN開催においても強みとして活かされたのではないか」と話します。

XTC JAPANに対する想い

千葉憲子

人と人を繋げるというミッションを実現し、社会課題の解決を目指すスタートアップスタジオであるガイアックスと、世界中の革新的なスタートアップを支援するシード&アーリー中心の日本発ベンチャーキャピタルであるIT-Farm。「社会課題を解決したい起業家」や「将来的に伴走したい起業家」を見つけていきたいという想いをそれぞれに抱いているようです。

千葉さんは、XTCにはガイアックスの使命と重なる部分があると言います。「これからは“想い”を自分の言葉で語れる起業家やスタートアップでないと、人もお金も集まってこなくなると思います。まず市場ありきで “チャンスがありそうだからビジネスにする” のではなく、「本当に解決したい」という強い想いが必要。そうなった時に、本当に想いを持って話せるものは、自分が影響を受けてきたものなのだと思います。そしてそれが社会課題に繋がってくると、大きな共感とマーケットもそこについてくるのだと思います」。

ガイアックスがXTC JAPANを開催して今年で3年目。しかしながら、1回目が開催された2020年2月末は、ちょうど新型コロナウィルスが流行し始めた時期。どのような形でイベントを開催するかは議論があったそうです。そして2回目は完全オンラインで開催されたこともあり「(ノウハウを)積み上げてきたというより、毎年異なるイベントを開催しているような気持ちです」とXTC JAPAN事務局長の千葉さんは言います。

XTC JAPAN これまでの優勝企業

2020年のXTC Japanで優勝したのは、Axelspace Corporation(エアロスペースコーポレーション)とinstalimb(インスタリム)の2社。Axelspace Corporationは超小型衛星等を開発している。大企業だけでなく、小さな規模の企業やチームなどが実現したいソリューションに寄り添い、安価に飛ばせる衛星であることが特徴。

instalimbは、3Dプリンタで義足を作っている企業です。日本で義足を購入する際には、補助金や国からの融資が受けられる。一方、発展途上国では義足に対して補助金を出せず、多くの人が義足を使えていない状況にある。3Dプリンタにより義足自体を安価に製作することができれば、よりたくさんの人が義足を使えるようになると考えています。
» XTC JAPAN 2020の様子はJAPAN COMPETITION 2020からご覧ください。

2021年に特別賞を受けたWasteless Ltd.(ウエストレス)は、生鮮食品小売で廃棄を減らし売上を増やす「値引き最適化AIエンジン」を開発し、ダイナミックプライシングを食品の分野で実現しています。適切な時間に適切な価格に値下げすることで食品ロスも減らすことができ、売上も伸ばせるということを数値的に導くスタートアップです。
» XTC JAPAN 2021の様子はJAPAN COMPETITION 2021からご覧ください。

なお、Wasteless Ltd.は、日本予選で後にグローバル大会へ出場し、フードテックの分野でカテゴリー優勝を果たし、注目を浴びたことで資金調達につながっています。
XTCに参加するには2つ方法があります。直接グローバル大会に応募するか、日本予選のように、どこかの地方の予選に参加するか。過去日本予選がなかった際は直接グローバル大会へ応募するしかなく、日本初のスタートアップがXTCで注目されることはありませんでした。それが今では、日本予選で勝てばグローバル大会に参加することや、グローバルレベルのメンタリングを受けることが可能になりました。
» 【XTC Japan優勝企業3選】社会課題をテクノロジーで解決する企業の全貌

日本の起業家と世界をつなぐ架け橋

最後に、XTC JAPANの今後のビジョンについても聞きました。

「これまでは、社会課題やSDGsを意識しない中で普通のビジネスコンテストが行われたり、エクイティファイナンスもされて、成功という基準が置かれていました。XTCのように、社会課題を解決する起業家を取り上げることによって、世の中全体の目がSDGsや社会課題解決に向くといいなと思います。また、ガイアックス自体が社会課題を解決するような会社に投資しているので、世の中自体のムーブメントがそちらに動いて、我々がご一緒できる企業が増えると嬉しいですね」(上田)

千葉さんは、海外ではソーシャルインパクト投資という分野が伸びているのに、日本での投資額が伸びていない現状についても触れています。
「グローバルの課題解決という大きなものをゴールに見据えている企業が少なかったり、そういう想いのある人は海外に出てしまって、そもそも日本で起業しようとは思わない場合もあるのではないでしょうか。日本のインパクト投資の市場を盛り上げたいというよりは、日本からでも世界を見据えてチャレンジしていこうと思える起業家が増えていくことを応援していきたいです」と話していました。

過去のインタビューの中で、黒崎さんは日本の起業家がグローバルな視点を持たない理由について、「日本は良くも悪くも、人口が一億数千万人なので“市場”として成り立っています。国内でIPOもできるので、グローバルな視点を持てと言われても、なかなか難しいと思います」と語っています。
» 【投資家の目④】こんなにも違う!海外と日本スタートアップの役員構成や持株比率

XTC JAPANは、そのような世界に出ることをどこかで諦めていた起業家の架け橋となり得るかもしれません。

Natalia Davydova

また、ガイアックスのブランド責任者であるナタリアさんは、ガイアックスの幅広い活動を通して若い世代に対して様々な可能性を提示したいと話します。「日本では、まだまだ若い世代の中で起業という選択肢はマイナーです。そこでガイアックスでは、中高生向けの起業ゼミやXTC JAPANというグローバルなスタートアップピッチを開催し、起業家という道や、さらにはグローバル起業家という道もあることを示していきたいです。起業ゼミに参加した中学生が数年後にXTCに出るということが、ガイアックスとしての夢ですね」。

また、これまでのXTC JAPANの活動は年一回のピッチイベントのみでしたが、今後は定期的なイベントも開催する予定。世界中から各カテゴリごとの有識者を招いて、さまざまなコンテンツをお届けしていきます。2022年中には「XTCアカデミー」の開催も企画しており、アカデミープログラムを通して、社会課題を常に意識しながら、起業へと踏み出す世代を育てていきたいと考えています。

XTC JAPAN 2022は3月9日に開催されます

ヤン・ソン氏とビル・タイ氏の手によってスタートした、XTC。本年度の2022年は、日本予選の第3回目の開催となります。
日本予選の優勝スタートアップ2社は、2022年6月に米国で開催予定のXTC世界大会に招待される他、海外スタートアップ投資で20年以上の実績を持つベンチャーキャピタル、IT-Farmによるメンターシップのもとで、世界的企業の投資部門や協業責任者に事業をプレゼンができます。日本から飛び出て、グローバルで優勝すると、シリコンバレーのスーパーエンジェル投資家よりサポートを受けることができます。そして、XTC JAPAN運営委員会では、そんな方が世界進出をする第一歩を後押しします。

2022年に日本予選に出場する10社の内、8社はディープテック(高度研究開発型)の大学発ベンチャーです。XTC JAPANに大学発のディープテックが増えた理由は、ディープテック分野は、海外の方が投資家や企業の反応が素早いケースが多いこと、そして世界を真に良くしたいという大学の思いがXTCテーマへの共感につながったことが挙げられるでしょう。
» 2022年のXTC日本予選に出場する10社の詳細はこちら

XTC JAPAN パートナーからのコメント

IT-FARMパートナー / XTC JAPAN幹事の春日 伸弥(かすが しんや)氏、ゴールドパートナーの日本電気株式会社(NEC Corporation)様からもコメントをいただいていますので、最後にご紹介します。

春日 伸弥

IT-FARMパートナー / XTC JAPAN幹事 春日 伸弥氏

大企業、投資家、起業家の全てが、SDGsや社会課題の解決を掲げて、ひとところに集まってきています。皆が一つになれるテーマは今の時代めずらしく、貴重なこと。このイベントをきっかけにして、想像外のシナジー、協業を実現していただきたいです。
XTCグローバルパートナーとしては、富士通株式会社、Benhamou Global Ventures、ゴールドパートナーとしては、三菱地所株式会社や日本電気株式会社(NEC)、XTC JAPANシルバーパートナーとしては、三菱電機株式会社、ノーリツ鋼機株式会社の方々が参加してくださいます。投資家としては、IT-FARMや富士通のCVC、Plag and Play JapanなどをはじめとしたアクセラレーターやVCが熱い視線を送っています。国内の先には、海外の一流大手の企業、VC、CVCが70社以上参加予定です。
ぜひこのエコシステムに参加いただき、ご活用いただければ幸いです。

春日 伸弥氏プロフィール
IBMで研究員を務めたのち、起業家として(有)スウィフト取締役、(株)ブロードテイル共同創業者、Ubitus Inc.日本代表など20年以上に渡って事業立ち上げを手掛ける。現在は欧州・北米を中心に海外と日本のアーリーステージ技術スタートアップをVC投資と事業開発の両面でハンズオン支援し、海外スタートアップコンテストの審査員やオーガナイザーを手掛ける。ソフトウェア、ヘルスケア、製造業、自動車、ゲーム/エンタテインメント、食料・農業、環境・エネルギーなど幅広い技術ビジネスに精通。世界的スタートアップコンテストXTCの日本予選や、欧州最大のAIコンソーシアムCyber Valleyとの起業家コンテストAI GameDevを主宰する。米国の医療機器スタートアップRespirix社外取締役。

日本電気株式会社 (英文: NEC Corporation)

世界が直面している多くの社会課題は、複雑で広範にわたり、企業単独では解決できません。NECは、ありたい「未来の社会像」を提示し、多様なステークホルダーとの共感の輪を広げて、その実現を目指していきたいと考えています。
安全・安心・公平・効率という生活者の立場にたった具体的な価値に転換し、それを社会に継続的に届けていくことーこのPurposeを果たすため、私たちは先進的な技術・様々な知見・経験・アイディアを駆使し、イノベーションを起こすことで、全世界共通の社会課題解決の目標であるSDGs達成に貢献してまいります。
弊社と同様の志を持ち、人類が直面する課題をテクノロジーで解決していくスタートアップ企業の皆様を、ゴールドパートナーとして応援しています。
» SDGs達成に貢献するNECの取り組み


3月9日、日本で勢いのあるスタートアップが集まり、日本を代表する2社が決定します。ご期待ください!


ライティング:黒岩麻衣
構成・インタビュー・編集:遠藤桂視子

【無料LIVE配信決定】XTC日本予選を2022年3月9日(水)に開催!

テクノロジーでグローバル課題を解決する起業家のコンテスト Extreme Tech Challenge (XTC)
その日本予選が、3月9日に開催されます!こちらの模様は、オンラインでもご覧いただけます。登壇には今日本で勢いのあるスタートアップが集結予定。専門家の特別講演も行います。
日時: 2022年3月9日(水) 15:00-17:50

XTC JAPAN 2022 へ

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