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リーダー交代でも揺るがない。対話を通じて育まれた自律性 ~計画からの逆算ではなく、人をベースに組織を作る〜

  • 最終更新: 2022年6月21日

リモートワークが普及したことにより働き方が多様化したことで、誰かの指示命令ではなく、一人一人が自分のビジョンに突き動かされて自走する自主自律的な組織づくりの必要性を感じる企業も多いのではないでしょうか。フラットな組織、挑戦の邪魔をしないカルチャーのガイアックスも、自主自律的な組織づくりに取り組んでいます。今回スポットライトを当てるのは、SOCことソーシャルメディアマーケティング事業部(以下、SOC)。ガイアックスの中の1つの事業部でありながら、リモートワークやクラウドソーシングの活用といった新しい働き方に早くから取り組み、自主自律的な組織づくりを進めてきました。

いち早く働き方をシフトしたSOCですが、様々な葛藤を経て現在に至っています。その過程でも、メンバーが一堂に会するミーティングの場において株式会社はぐくむの小寺さんによるチームセッションを取り入れたことは、重要なターニングポイントとなりました。今回は「組織変革物語」をテーマに、SOCが小寺さんとの関わりの中でどのようにして自主自律的な組織へと変革していったのか伺っていきます。

第5回 リーダー交代でも揺るがない。対話を通じて育まれた自律性 ~計画からの逆算ではなく、人をベースに組織を作る〜

「360°フィードバック」で自己評価と他者評価のギャップに向き合い、自由の中に秩序を生み出したSOC。「自分の持っている命を輝かせたい」と思って仕事に取り組むメンバーの存在によって、自由を妨げている制約が取り払われていき、個人と組織のシンクロを強める土壌が出来上がっていきました。
時を同じくして、リーダー交代の波を迎えたSOC。そこにあったのは、状況に応じてメンバーが自主的にリーダーシップを発揮する、シチュエーショナル・リーダーシップでした。対話を通じて、お互いを補完し合う関係がはぐくまれ、本来であれば組織を揺るがすはずのリーダー交代も自然な形で乗り切ります。シリーズ最終回、組織運営のあり方についても語っていただきます。

小寺 毅

小寺 毅

株式会社はぐくむ 代表取締役

株式会社はぐくむにて、脱・ヒエラルキー、脱・指示命令コントロール型の組織を目指す方々を対象にした経営コンサルティング事業を展開。支援実績としては、Uber、DeNA、ガイアックスなど。 コーチとしては2006年から活動。現在は企業の社長や幹部を対象に1on1コーチングやチームセッションを実施している。コーチング研修や自主自律型組織を目指す上での各種研修講師も務めている。 書籍『奇跡の経営』で知られ、『ティール』でも触れられているブラジルのセムコ社が、自社の経営スタイルを広めるために運営している「セムコスタイル・インスティチュート」。その組織の中で、日本には数人しかいない公式コンサルタントも務めている。
*ブログ『社内コーチの働きかけが、他律型から自律型へと組織を突き動かす』
*参考『中断、さえぎり、自分の話……上司がついやりがちな人の可能性をつぶす12の聴き方』

管大輔

管 大輔

ソリューション事業本部長

2013年新卒でガイアックスに入社。2015年9月から事業部長を務め、クラウドソーシングの活用、リモートワークの推進など働き方の多様化を積極的に進めた結果、2年間で離職率を40%から0%に、売上が5倍に成長。2019年に本部長就任。2020年に新卒採用支援サービス『オンライン就活』を立ち上げ、事業責任者を兼務。複業ではコーチング事業を展開する会社を設立し、コーチング型マネジメントの普及に注力している。2019年の9月からオランダに移住。

重枝 義樹

重枝 義樹

ソーシャルメディアマーケティング事業責任者

デジタルマーケター。2014年Gaiax入社。自らも企業のソーシャルメディアマーケティングの戦略コンサルを行いながら、部署のコンサルタント、運用支援チームを統括する。休みの日はNetflixとHuluとAmazon primeをはしご。

第一回『対話による自主自律型組織へ – すべての始まりはあのチームセッション』
第二回 “本音を話せる土壌”が組織にもたらした、深い相互理解という宝物
第三回「仕事だけの関係性」では自律型組織は育まれない〜森のリトリートが起こした組織変容とは〜
第四回 緊迫感の漂う”本音”のフィードバック。激烈な会話がもたらした「自由と秩序」の共存

詳細は、『ガイアックス × はぐくむの自主自律型組織変革コンサルティング』よりご覧いただけます。

ついにメンバー自らの言葉で組織のビジョンが語られ始めた

ー 自由の中にも秩序が生まれた時、組織はどのような状態だったのでしょうか?

SOCとして事業の新しい柱を作るために、採用支援の新サービスを立ち上げるタイミングでした。僕が新規事業にコミットするため、担当していた新規営業先の開拓や採用といった外交的な部分を、事業全体の数字を管理していた大久保さんへ引き継ぎました。副事業部長だった重枝さんには、今まで通りサービスの開発、クオリティコントロール、メンバーの育成を担当してもらうことで、組織体制は大きく変えずに新規事業へチャレンジしようとしていました。

小寺 印象に残っているのは、管さんが既存事業から離れていくタイミングと、大久保さんのチームセッションでの姿勢が変化しているのが重なったことです。それまでの大久保さんはセッション中、こちらから聞くまでは自分のことを多く語らない方でした。

重枝 当時の大久保さんには、「管さんが実現したいことを実現するためにはどうしたらいいか」という発想が多かったと感じていました。

ー 大久保さんはどのように変化していったのでしょうか?

小寺 「大久保さんはどうですか?」とスポットライトをあてて、「大久保さんにも考えや感情があるのではないですか?大久保さんの気持ちを聞かせてほしい」とアプローチしていきました。結構しつこく「大久保さんがどう感じているか」と毎回のセッションで問いかけました。そういった関わりを続けていく中で、ある時、大久保さんが自分の意見をまとめてきてくれて、SOCのミッションやビジョンを語り出した時に、ものすごく感動しましたね。

重枝 チームセッションで毎回「あなたがどうしたいの?」と問われたことで、リーダーシップが引き出されたことを記憶しています。その少し前に、大久保さんが「社会的意義」という5文字の言葉を頻繁に口にするようになって、変化し始めていることを感じていました。実際に大久保さんがリーダーシップを取って、広告代理店とのアライアンスを組んできましたよね。

そうでしたね。大久保さんが自分の言葉を使い始めたのは大きい変化でした。小寺さんが問いかけ続けてくれたこともありますが、毎日ジャーナリングを続けて、自分が考えていることを言語化する習慣を身につけたことも大きくて。自分の言葉が出てこない大久保さんを見て、小寺さんが「毎日ジャーナリングをしてください」と言われて、忠実に守って努力を重ねていました。回を重ねていくことで、自ら意見を言い始め、リーダーシップが発揮されていることを感じていました。

小寺 毅

シチュエーショナルリーダーシップが発揮され、台頭する人が増える

ー みなさんはリーダーの交代を、どのように見ていましたか?

重枝 通常、リーダーが交代する時は組織全体が揺れ動くことがあると思いますが、当時のSOCでは大きな揺れになりませんでした。

小寺 リーダーシップの変更に伴う大きな揺れや痛みは、リーダーに依存している組織であればあるほど起こりうると思っています。その意味では、SOCが一人の絶対的なリーダーに依存している組織でなかった証と感じています。

海外では「シチュエーショナル・リーダーシップ」という言い方があります。シチュエーション(状況)によってリーダーが変わるということで、特定の人が常にリーダーシップを発揮するのではなく、状況に合わせて、最適な人がリーダーシップを発揮することを指します。

管さんの業務を引き継がれた大久保さん以外にも、現場で活躍するメンバーのシチュエーショナル・リーダーシップを発揮されていた方が多かったのではないかと思っています。

自分が最適だと思ったら、メンバー自らリーダーシップを取れることは大事ですよね。

SOCに着任してからの数年は、僕が信頼しているのは重枝さんと大久保さんの2人だけで、常に3人で経営的な判断していました。そもそも、メンバーに任せるという発想すら持ち合わせていませんでした。もし僕が当時の思考のままだったら、シチュエーショナルリーダーシップは起こり得なかったはず。メンバーからすると「どうせ自分がリーダーシップを発揮しようと思っても、管が止めるんでしょ」と思っていたのではないかと。

僕がその意識を手放せるようになったり、むしろメンバーを頼った方がいいと思えるようになったのは、対話の力が大きかったです。対話を通して、純粋にメンバーの得意なことや、やりたいことに耳を傾けた結果、3人が完璧でいることよりも、メンバーそれぞれの得意分野を出し合ってもらうことが部署にとって良いと思えるようになりました。

重枝 問題が発生した時に、誰が何が得意で、誰がどう動くべきかをメンバー自ら判断して動ける文化になっていました。チームセッションを通じて、「誰が、何を見ているか」をお互い知ったことで、スムーズに割り振りが行われている状態でした。

組織って体に例えられますよね。頭、口、手、足…。頭がすべて指令を出して、頭からの指令によって手が動くとイメージするかもしれません。SOCの場合、全神経は繋がっていて情報は来るが、各部位が主体性を発揮している状態。手の得意なこと、手が見ているものを分かるようになった感覚です。

小寺 すごく簡単に言ってしまうと「お互いのことをよく知りましょう(感じましょう)」ということだと思うのですが、それが簡単なようで難しい。お互いをよく見て、お互いを感じ合えている状態であるためには普段からコミュニケーションしたり、信頼関係が育まれていることが重要ではないかと思っています。

管 大輔

メンバーの内発的動機をベースに組織を作る

ー 事業としてはどのようなフェーズを迎えていたのでしょうか?

重枝 事業としては伸び悩んでいた時期で、今まで注力してきたリード数や発信するコンテンツの数が目標達成したこともあり、次はサービスの質が大事になるフェーズでした。

組織体制は、営業とサービス開発を別々にマネジメントするスタイルでしたが、顧客に合ったサービスを提供していくためには、この2つの領域をシームレスにする体制作りが必要と感じていました。

そのタイミングで営業のマネジメントを担当していた大久保さんの退職が決まり、僕が全体を統括する立場になりました。

引き継がれる段階で、営業側の運営体制は大久保さんがすでに取りまとめていたのがあり、自分がやるべきことはサービス開発側とのシームレスなやりとりをすることでした。実際に運営体制を改善していき、より顧客にあった提案が可能になり、売上げが伸長していったことを覚えています。

ー 新たに事業を統括する立場になった重枝さんが、組織運営で大事にしているのはどんなことですか。

重枝 事業戦略を人ベースで考えることを大事にしています。人がいて、組織が存在した上で、お客様への提供する価値を考える、という流れです。逆に、提供したいサービスがあって、こういう人が必要だというアプローチは積極的にはせず、「今いるメンバーで最大限できることを模索する」ことを最初に考えることにしています。

僕はいわば頭の役割をしていて、今後どんな事業展開が考えられるか、あらゆる可能性を考えています。様々な分岐点が見えていて、人ありきで事業の方向性を選択するので、新たに始まる領域もあれば、収束していくものもある。最近だと、データサイエンスの領域に強いメンバーが加わってくれて「こんなことができますよ」と提案してくれたことがありました。もともとデータを活用してマーケティング力を高めたいと思っていたので、彼に任せることにしました。今では、データサイエンスに基づいたSNS運用ノウハウを事業に活かし、データサイエンスチームをまとめる役割を担ってくれています。

メンバーの内発的に湧き上がる想いは、誰もコントロールできないこと。メンバーに出会って、想いに触れることで、分岐を瞬時に選択しています。

ー 思い描いているいくつかの分岐の先にその戦略があって、逆に予めひとつに絞られた戦略に当てはめるように採用してはしていない、ということですね。重枝さんは、採用でどんなことを意識しているのですか?

重枝 SOCの組織カルチャーに合うかどうかで採用しています。面接で徹底的に組織カルチャーの話をして、適用できそうかの確認をしっかり取った上で、入社後3ヶ月の試用期間中に適用できるかを見極めています。適用できるならば、その人の能力は自然と発揮されていくと考えています。

一般的には、能力重視で業務内容に当てはめて採用することがあるかと思うのですが、それにはどんなリスクがあると考えていますか?

重枝 思い描いた通りになることは本来ないはずなのに、それを期待しすぎること。これは僕の考えですが、人間の考えた計画が思い通りにいくことなんてないと思っています。

能力重視で採用した場合、計画を実現するための役割に応じて業務をお願いしますよね。ただ、その計画自体が想定からズレてきた時に、雇用する側は「柔軟に対応してほしい」となり、雇用された側は「聞いていた話と違う」となってくるわけです。だからこそ、一定の幅を持たせたり、あるいはいろんな選択肢を考えたりすることが必要で、能力重視ではなく、人をベースにした組織づくりを大事にしています。

小寺 メンバーの内発的に湧き上がるものを最大限に活かす組織作りに共感します。躍動感のある組織は、チームメンバー1人1人が本当にイキイキとしています。それは1人1人から湧き上がるものを大切にするからこそ実現できるのであり、上司や会社の都合で他のメンバーの気持ちが犠牲になる組織ではないのです。

重枝 義樹

始まりはリーダーの決断、続ける意思はリーダーとメンバーの共創

ー 改めて、全5回のインタビューを振り返ってみての感想を伺えますか。

僕と似た考え方をしているリーダーは珍しくない気がします。SOCだから変われたわけではなく、どの組織でも適用できることだと思っています。特殊なことを実施した訳ではなく、対話を通してメンバーと向き合い、リーダーのマインドとして自分が最適解を導き出せるという過信や誤った認識を手放して、メンバーに任せてみる。こういった取り組みからSOCの変化は始まりました。

メンバーの話を聞いて、それぞれができることを知り、最初はアサインしながらも、最終的には自ら最適解を導き出して動いている。お互いの気持ちに耳を傾け、自然に成長できるとメンバーもハッピーだろうし、お客様にも良いサービスを提供できると感じました。全5回にわたるSOCの物語が、いろんな組織に届き、勇気になるといいなと思っています。

重枝 改めて振り返ると、エピソードの時系列を明確に覚えてないんです。意図はありましたが、いろんなことが自然発生的に起こっていき、計画通りではなかったんだなと思いました。

一つ言えることは、組織が変わるためにはリーダーの決断がとても重要です。どんなに組織運営のあり方を頭で描いたとしても、実際の行動はかなりの勇気がいること。どの組織でも再現できる可能性がありつつも、リーダーである管さんの意志になしには実現できなかった変化だと思います。

小寺 リーダーの初めの決断なくして、変化は起こらない。同時に、続ける意志を持つことも組織が変わるためには重要です。やってみようと始めたとしても、リーダーをはじめ、組織にいるメンバーが続けたいと思い続けることなしには、組織の変化は止まってしまいます。

関係性という数字には現れにくい変化を「数字には現れない部分もあるよね」と受け入れて楽しめたこと。リーダーの管さんに対話の可能性を信じていただき、同時にメンバーも流れに乗って自分たちが思っていることを表現し続けてくれました。組織の変化がリアルに描かれたこの物語が、多くの方々に届いてほしいなと思っています。

インタビュー 宇田川寛和
ライティング 樗木 亜子

編集後記
組織の変化は、リーダーの変化なしには生まれない。今までのことを、等身大の言葉で語られていたのが印象的でした。そこにあったものに向き合い、メンバーの可能性を信じ、主観を手放すことは容易ではなかなったはず。人や組織が変わることはそう簡単ではないからこそ、信じて、伴走してくれる人の存在の大きさも改めて感じました。この物語がみなさんの組織づくりの一助になれば幸いです。(樗木)
全5回のインタビューが、まさに1つの物語を味合わせていただいてるような感覚でした。感情を味わう事は、時に怖さを感じるもの。それを乗り越えて対話を継続し続けたSOCの意志こそが、この変化の一番の要因だったんだと私自身も感じております。これまでの流れを分かち合わせていただいたからこそ、これからのSOCの変化をみさせていただけることが楽しみです!(宇田川)

自主自立型組織物語〜ソーシャルメディアマーケティング事業部〜
1. 対話による自主自律型組織へ – すべての始まりはあのチームセッション
2. “本音を話せる土壌”が組織にもたらした、深い相互理解という宝物
3. 「仕事だけの関係性」では自律型組織は育まれない〜森のリトリートが起こした組織変容とは〜
4. 緊迫感の漂う”本音”のフィードバック。激烈な会話がもたらした「自由と秩序」の共存
5. リーダー交代でも揺るがない。対話を通じて育まれた自律性 ~計画からの逆算ではなく、人をベースに組織を作る〜
Gaiax favicon

SNSの運用、コンサルティングで企業支援を行うチームです。重要度が上がるTwitter、Facebook、InstagramなどのSNSを活用し、マーケティングやブランディングをする上でのお悩みを解決します。分析・蓄積したデータをもとに、累計1,000社以上の支援実績があります。

  • 最終更新: 2022年6月21日

リモートワークが普及したことにより働き方が多様化したことで、誰かの指示命令ではなく、一人一人が自分のビジョンに突き動かされて自走する自主自律的な組織づくりの必要性を感じる企業も多いのではないでしょうか。フラットな組織、挑戦の邪魔をしないカルチャーのガイアックスも、自主自律的な組織づくりに取り組んでいます。今回スポットライトを当てるのは、SOCことソーシャルメディアマーケティング事業部(以下、SOC)。ガイアックスの中の1つの事業部でありながら、リモートワークやクラウドソーシングの活用といった新しい働き方に早くから取り組み、自主自律的な組織づくりを進めてきました。

いち早く働き方をシフトしたSOCですが、様々な葛藤を経て現在に至っています。その過程でも、メンバーが一堂に会するミーティングの場において株式会社はぐくむの小寺さんによるチームセッションを取り入れたことは、重要なターニングポイントとなりました。今回は「組織変革物語」をテーマに、SOCが小寺さんとの関わりの中でどのようにして自主自律的な組織へと変革していったのか伺っていきます。

第5回 リーダー交代でも揺るがない。対話を通じて育まれた自律性 ~計画からの逆算ではなく、人をベースに組織を作る〜

「360°フィードバック」で自己評価と他者評価のギャップに向き合い、自由の中に秩序を生み出したSOC。「自分の持っている命を輝かせたい」と思って仕事に取り組むメンバーの存在によって、自由を妨げている制約が取り払われていき、個人と組織のシンクロを強める土壌が出来上がっていきました。
時を同じくして、リーダー交代の波を迎えたSOC。そこにあったのは、状況に応じてメンバーが自主的にリーダーシップを発揮する、シチュエーショナル・リーダーシップでした。対話を通じて、お互いを補完し合う関係がはぐくまれ、本来であれば組織を揺るがすはずのリーダー交代も自然な形で乗り切ります。シリーズ最終回、組織運営のあり方についても語っていただきます。

小寺 毅

小寺 毅

株式会社はぐくむ 代表取締役

株式会社はぐくむにて、脱・ヒエラルキー、脱・指示命令コントロール型の組織を目指す方々を対象にした経営コンサルティング事業を展開。支援実績としては、Uber、DeNA、ガイアックスなど。 コーチとしては2006年から活動。現在は企業の社長や幹部を対象に1on1コーチングやチームセッションを実施している。コーチング研修や自主自律型組織を目指す上での各種研修講師も務めている。 書籍『奇跡の経営』で知られ、『ティール』でも触れられているブラジルのセムコ社が、自社の経営スタイルを広めるために運営している「セムコスタイル・インスティチュート」。その組織の中で、日本には数人しかいない公式コンサルタントも務めている。
*ブログ『社内コーチの働きかけが、他律型から自律型へと組織を突き動かす』
*参考『中断、さえぎり、自分の話……上司がついやりがちな人の可能性をつぶす12の聴き方』

管大輔

管 大輔

ソリューション事業本部長

2013年新卒でガイアックスに入社。2015年9月から事業部長を務め、クラウドソーシングの活用、リモートワークの推進など働き方の多様化を積極的に進めた結果、2年間で離職率を40%から0%に、売上が5倍に成長。2019年に本部長就任。2020年に新卒採用支援サービス『オンライン就活』を立ち上げ、事業責任者を兼務。複業ではコーチング事業を展開する会社を設立し、コーチング型マネジメントの普及に注力している。2019年の9月からオランダに移住。

重枝 義樹

重枝 義樹

ソーシャルメディアマーケティング事業責任者

デジタルマーケター。2014年Gaiax入社。自らも企業のソーシャルメディアマーケティングの戦略コンサルを行いながら、部署のコンサルタント、運用支援チームを統括する。休みの日はNetflixとHuluとAmazon primeをはしご。

第一回『対話による自主自律型組織へ – すべての始まりはあのチームセッション』
第二回 “本音を話せる土壌”が組織にもたらした、深い相互理解という宝物
第三回「仕事だけの関係性」では自律型組織は育まれない〜森のリトリートが起こした組織変容とは〜
第四回 緊迫感の漂う”本音”のフィードバック。激烈な会話がもたらした「自由と秩序」の共存

詳細は、『ガイアックス × はぐくむの自主自律型組織変革コンサルティング』よりご覧いただけます。

ついにメンバー自らの言葉で組織のビジョンが語られ始めた

ー 自由の中にも秩序が生まれた時、組織はどのような状態だったのでしょうか?

SOCとして事業の新しい柱を作るために、採用支援の新サービスを立ち上げるタイミングでした。僕が新規事業にコミットするため、担当していた新規営業先の開拓や採用といった外交的な部分を、事業全体の数字を管理していた大久保さんへ引き継ぎました。副事業部長だった重枝さんには、今まで通りサービスの開発、クオリティコントロール、メンバーの育成を担当してもらうことで、組織体制は大きく変えずに新規事業へチャレンジしようとしていました。

小寺 印象に残っているのは、管さんが既存事業から離れていくタイミングと、大久保さんのチームセッションでの姿勢が変化しているのが重なったことです。それまでの大久保さんはセッション中、こちらから聞くまでは自分のことを多く語らない方でした。

重枝 当時の大久保さんには、「管さんが実現したいことを実現するためにはどうしたらいいか」という発想が多かったと感じていました。

ー 大久保さんはどのように変化していったのでしょうか?

小寺 「大久保さんはどうですか?」とスポットライトをあてて、「大久保さんにも考えや感情があるのではないですか?大久保さんの気持ちを聞かせてほしい」とアプローチしていきました。結構しつこく「大久保さんがどう感じているか」と毎回のセッションで問いかけました。そういった関わりを続けていく中で、ある時、大久保さんが自分の意見をまとめてきてくれて、SOCのミッションやビジョンを語り出した時に、ものすごく感動しましたね。

重枝 チームセッションで毎回「あなたがどうしたいの?」と問われたことで、リーダーシップが引き出されたことを記憶しています。その少し前に、大久保さんが「社会的意義」という5文字の言葉を頻繁に口にするようになって、変化し始めていることを感じていました。実際に大久保さんがリーダーシップを取って、広告代理店とのアライアンスを組んできましたよね。

そうでしたね。大久保さんが自分の言葉を使い始めたのは大きい変化でした。小寺さんが問いかけ続けてくれたこともありますが、毎日ジャーナリングを続けて、自分が考えていることを言語化する習慣を身につけたことも大きくて。自分の言葉が出てこない大久保さんを見て、小寺さんが「毎日ジャーナリングをしてください」と言われて、忠実に守って努力を重ねていました。回を重ねていくことで、自ら意見を言い始め、リーダーシップが発揮されていることを感じていました。

小寺 毅

シチュエーショナルリーダーシップが発揮され、台頭する人が増える

ー みなさんはリーダーの交代を、どのように見ていましたか?

重枝 通常、リーダーが交代する時は組織全体が揺れ動くことがあると思いますが、当時のSOCでは大きな揺れになりませんでした。

小寺 リーダーシップの変更に伴う大きな揺れや痛みは、リーダーに依存している組織であればあるほど起こりうると思っています。その意味では、SOCが一人の絶対的なリーダーに依存している組織でなかった証と感じています。

海外では「シチュエーショナル・リーダーシップ」という言い方があります。シチュエーション(状況)によってリーダーが変わるということで、特定の人が常にリーダーシップを発揮するのではなく、状況に合わせて、最適な人がリーダーシップを発揮することを指します。

管さんの業務を引き継がれた大久保さん以外にも、現場で活躍するメンバーのシチュエーショナル・リーダーシップを発揮されていた方が多かったのではないかと思っています。

自分が最適だと思ったら、メンバー自らリーダーシップを取れることは大事ですよね。

SOCに着任してからの数年は、僕が信頼しているのは重枝さんと大久保さんの2人だけで、常に3人で経営的な判断していました。そもそも、メンバーに任せるという発想すら持ち合わせていませんでした。もし僕が当時の思考のままだったら、シチュエーショナルリーダーシップは起こり得なかったはず。メンバーからすると「どうせ自分がリーダーシップを発揮しようと思っても、管が止めるんでしょ」と思っていたのではないかと。

僕がその意識を手放せるようになったり、むしろメンバーを頼った方がいいと思えるようになったのは、対話の力が大きかったです。対話を通して、純粋にメンバーの得意なことや、やりたいことに耳を傾けた結果、3人が完璧でいることよりも、メンバーそれぞれの得意分野を出し合ってもらうことが部署にとって良いと思えるようになりました。

重枝 問題が発生した時に、誰が何が得意で、誰がどう動くべきかをメンバー自ら判断して動ける文化になっていました。チームセッションを通じて、「誰が、何を見ているか」をお互い知ったことで、スムーズに割り振りが行われている状態でした。

組織って体に例えられますよね。頭、口、手、足…。頭がすべて指令を出して、頭からの指令によって手が動くとイメージするかもしれません。SOCの場合、全神経は繋がっていて情報は来るが、各部位が主体性を発揮している状態。手の得意なこと、手が見ているものを分かるようになった感覚です。

小寺 すごく簡単に言ってしまうと「お互いのことをよく知りましょう(感じましょう)」ということだと思うのですが、それが簡単なようで難しい。お互いをよく見て、お互いを感じ合えている状態であるためには普段からコミュニケーションしたり、信頼関係が育まれていることが重要ではないかと思っています。

管 大輔

メンバーの内発的動機をベースに組織を作る

ー 事業としてはどのようなフェーズを迎えていたのでしょうか?

重枝 事業としては伸び悩んでいた時期で、今まで注力してきたリード数や発信するコンテンツの数が目標達成したこともあり、次はサービスの質が大事になるフェーズでした。

組織体制は、営業とサービス開発を別々にマネジメントするスタイルでしたが、顧客に合ったサービスを提供していくためには、この2つの領域をシームレスにする体制作りが必要と感じていました。

そのタイミングで営業のマネジメントを担当していた大久保さんの退職が決まり、僕が全体を統括する立場になりました。

引き継がれる段階で、営業側の運営体制は大久保さんがすでに取りまとめていたのがあり、自分がやるべきことはサービス開発側とのシームレスなやりとりをすることでした。実際に運営体制を改善していき、より顧客にあった提案が可能になり、売上げが伸長していったことを覚えています。

ー 新たに事業を統括する立場になった重枝さんが、組織運営で大事にしているのはどんなことですか。

重枝 事業戦略を人ベースで考えることを大事にしています。人がいて、組織が存在した上で、お客様への提供する価値を考える、という流れです。逆に、提供したいサービスがあって、こういう人が必要だというアプローチは積極的にはせず、「今いるメンバーで最大限できることを模索する」ことを最初に考えることにしています。

僕はいわば頭の役割をしていて、今後どんな事業展開が考えられるか、あらゆる可能性を考えています。様々な分岐点が見えていて、人ありきで事業の方向性を選択するので、新たに始まる領域もあれば、収束していくものもある。最近だと、データサイエンスの領域に強いメンバーが加わってくれて「こんなことができますよ」と提案してくれたことがありました。もともとデータを活用してマーケティング力を高めたいと思っていたので、彼に任せることにしました。今では、データサイエンスに基づいたSNS運用ノウハウを事業に活かし、データサイエンスチームをまとめる役割を担ってくれています。

メンバーの内発的に湧き上がる想いは、誰もコントロールできないこと。メンバーに出会って、想いに触れることで、分岐を瞬時に選択しています。

ー 思い描いているいくつかの分岐の先にその戦略があって、逆に予めひとつに絞られた戦略に当てはめるように採用してはしていない、ということですね。重枝さんは、採用でどんなことを意識しているのですか?

重枝 SOCの組織カルチャーに合うかどうかで採用しています。面接で徹底的に組織カルチャーの話をして、適用できそうかの確認をしっかり取った上で、入社後3ヶ月の試用期間中に適用できるかを見極めています。適用できるならば、その人の能力は自然と発揮されていくと考えています。

一般的には、能力重視で業務内容に当てはめて採用することがあるかと思うのですが、それにはどんなリスクがあると考えていますか?

重枝 思い描いた通りになることは本来ないはずなのに、それを期待しすぎること。これは僕の考えですが、人間の考えた計画が思い通りにいくことなんてないと思っています。

能力重視で採用した場合、計画を実現するための役割に応じて業務をお願いしますよね。ただ、その計画自体が想定からズレてきた時に、雇用する側は「柔軟に対応してほしい」となり、雇用された側は「聞いていた話と違う」となってくるわけです。だからこそ、一定の幅を持たせたり、あるいはいろんな選択肢を考えたりすることが必要で、能力重視ではなく、人をベースにした組織づくりを大事にしています。

小寺 メンバーの内発的に湧き上がるものを最大限に活かす組織作りに共感します。躍動感のある組織は、チームメンバー1人1人が本当にイキイキとしています。それは1人1人から湧き上がるものを大切にするからこそ実現できるのであり、上司や会社の都合で他のメンバーの気持ちが犠牲になる組織ではないのです。

重枝 義樹

始まりはリーダーの決断、続ける意思はリーダーとメンバーの共創

ー 改めて、全5回のインタビューを振り返ってみての感想を伺えますか。

僕と似た考え方をしているリーダーは珍しくない気がします。SOCだから変われたわけではなく、どの組織でも適用できることだと思っています。特殊なことを実施した訳ではなく、対話を通してメンバーと向き合い、リーダーのマインドとして自分が最適解を導き出せるという過信や誤った認識を手放して、メンバーに任せてみる。こういった取り組みからSOCの変化は始まりました。

メンバーの話を聞いて、それぞれができることを知り、最初はアサインしながらも、最終的には自ら最適解を導き出して動いている。お互いの気持ちに耳を傾け、自然に成長できるとメンバーもハッピーだろうし、お客様にも良いサービスを提供できると感じました。全5回にわたるSOCの物語が、いろんな組織に届き、勇気になるといいなと思っています。

重枝 改めて振り返ると、エピソードの時系列を明確に覚えてないんです。意図はありましたが、いろんなことが自然発生的に起こっていき、計画通りではなかったんだなと思いました。

一つ言えることは、組織が変わるためにはリーダーの決断がとても重要です。どんなに組織運営のあり方を頭で描いたとしても、実際の行動はかなりの勇気がいること。どの組織でも再現できる可能性がありつつも、リーダーである管さんの意志になしには実現できなかった変化だと思います。

小寺 リーダーの初めの決断なくして、変化は起こらない。同時に、続ける意志を持つことも組織が変わるためには重要です。やってみようと始めたとしても、リーダーをはじめ、組織にいるメンバーが続けたいと思い続けることなしには、組織の変化は止まってしまいます。

関係性という数字には現れにくい変化を「数字には現れない部分もあるよね」と受け入れて楽しめたこと。リーダーの管さんに対話の可能性を信じていただき、同時にメンバーも流れに乗って自分たちが思っていることを表現し続けてくれました。組織の変化がリアルに描かれたこの物語が、多くの方々に届いてほしいなと思っています。

インタビュー 宇田川寛和
ライティング 樗木 亜子

編集後記
組織の変化は、リーダーの変化なしには生まれない。今までのことを、等身大の言葉で語られていたのが印象的でした。そこにあったものに向き合い、メンバーの可能性を信じ、主観を手放すことは容易ではなかなったはず。人や組織が変わることはそう簡単ではないからこそ、信じて、伴走してくれる人の存在の大きさも改めて感じました。この物語がみなさんの組織づくりの一助になれば幸いです。(樗木)
全5回のインタビューが、まさに1つの物語を味合わせていただいてるような感覚でした。感情を味わう事は、時に怖さを感じるもの。それを乗り越えて対話を継続し続けたSOCの意志こそが、この変化の一番の要因だったんだと私自身も感じております。これまでの流れを分かち合わせていただいたからこそ、これからのSOCの変化をみさせていただけることが楽しみです!(宇田川)

自主自立型組織物語〜ソーシャルメディアマーケティング事業部〜
1. 対話による自主自律型組織へ – すべての始まりはあのチームセッション
2. “本音を話せる土壌”が組織にもたらした、深い相互理解という宝物
3. 「仕事だけの関係性」では自律型組織は育まれない〜森のリトリートが起こした組織変容とは〜
4. 緊迫感の漂う”本音”のフィードバック。激烈な会話がもたらした「自由と秩序」の共存
5. リーダー交代でも揺るがない。対話を通じて育まれた自律性 ~計画からの逆算ではなく、人をベースに組織を作る〜
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