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【XTC日本予選特別号】“起業・投資の成功方程式”を投資家ビル・タイ氏が語る

  • 最終更新: 2023年9月6日

 

3月9日に開催されるExtreme Tech Challenge(以降、XTC)の日本予選。
XTC JAPAN運営委員会となり、ガイアックスと株式会社アイティーファーム(以下「IT-Farm」)がこのXTC日本予選を開催しています。
»XTC Japan公式ホームページ

その開催に先立ち、2015年からXTCを開催する共同創設者のYoung Sohn(ヤン・ソン)氏とBill Tai(ビル・タイ)氏のインタビュー動画を記事に抜粋してお届けします。
»動画:The Next Wave with Young Sohn – Riding Waves on the Ocean and in the Cloud with Bill Tai

またこの記事では、XTCの共同設立者そしてアメリカで最も古いVCの一つであるCharles River Venture(チャーリーリバーベンチャー)の元代表のビル・タイ氏が、起業・投資を上手くいかせるコツを「波乗り」に例え、説明しています。そして、次に来るビッグウェーブとは何なのか?についても、XTC共同設立者のヤン・ソン氏からお聞きしています。

最後には、XTC日本予選(※エントリーは2月11日で締め切りました)の説明もご用意していますので、興味のある方は最後まで御覧下さい。

Keypoint

  • XTCとは?
  • XTC開催の背景
  • ビル・タイ氏へのインタビュー
    • ZOOMへの初期投資
    • 投資の成功哲学
    • シリコンバレー起業家のコミュニティ=カイトサーフィン
    • 起業家と投資家の関係性、成功の方程式とは?
    • 次に来るトレンドは?
  • XTC日本予選が3月9日に開催

XTCとは?

XTC(Extreme Tech Challenge)は、国連SDGsなどの人類課題をテクノロジーで劇的に解決するスタートアップを発掘支援する世界最大級のピッチコンテストです。

世界の著名VCや大手企業など71団体の連合により16ヶ国21都市およびオンライン公募で開催され、前回2021年大会は世界92ヶ国から3700社以上のスタートアップが参加。2021年世界大会の出場80社は出場後に合計約200億円の資金調達を実現し、うち43%は女性起業家によるスタートアップでした。

XTC出場スタートアップは農業・食糧、環境・エネルギー、新素材、教育、実現技術、バイオ技術、デジタルヘルスケア、フィンテック、交通、スマートシティの10カテゴリに分かれて、事業計画の市場性と問題解決力を競います。寄付や補助金ではなくビジネスを通じた人類課題の解決がテーマ。決勝出場スタートアップは海外VCやグローバル企業による事業・資金調達の手厚いメンタリングを受けられるのが特徴です。
» XTCグローバル公式ホームページ

XTC開催の背景

もともと、XTC共同創設者のヤン・ソン氏とビル・タイ氏は、旧知の仲でもありました。
ビル・タイ氏は、アメリカで最も古いVCの一つであるチャーリーリバーベンチャーの元代表で、当時ヤン・ソン氏はサムスンの投資責任者。

このXTCは、2015年にイギリス領 ヴァージン諸島 ネッカー島でビル・タイ氏が好きなカイトサーフィンをやりながら、未来の投資市場について語り合うオフサイトイベントを実施したことをきっかけにスタートします。カイトサーフィンがエクストリームスポーツということもあり、この “Extrem Tech Charenge” という名前につながったのだとか。

シリコンバレーには良い企業が多いが、アメリカのエコシステムへアクセスできるのは北米に限られている。カイトサーフィンの集まりでわかるように、欧州、アジア、アフリカなど、面白い魅力的な起業家が多くいる。北米にいないというだけで、シリコンバレーのエコシステムにアクセスできないのはもったいない。どうにかしてグローバルに投資家と起業家を結びつけられないか。

そんな二人の想いが一致し、グローバル規模の活動を広げていきたいと意気投合。

そして、開催年を増すごとに北米の企業だけでなく、南米など様々な地域から企業が集まってきました。

ヤン・ソン氏はマクロン大統領の経済顧問だったということもあり、国連のSDGsと連携して行ったりなど活動を広めて、「グローバル課題をイノベーションによって解決する起業家のための世界最大のスタートアップ・コンテスト」へとXTCは成長してきました。


XTC Overview Video

ビル・タイ氏へのインタビュー:“起業・投資の成功方程式”とは?

シリコンバレーで起業したとしても、その後ろにどんな投資家がいるかどうかで、ビジネスの成功確率は変わってきます。人と人のつながり、経験、メンタリング、コーチング。起業家に寄り添い、的確な提案ができる投資家であるかどうかは、投資を受けた起業家の事業や人生を左右するものでしょう。そして、資金のみならず、様々な面で起業家をサポートできる投資家を海外では「スーパーエンジェル投資家」と呼称します。

日本でのマーケットで満足できない日本の起業家がいるとしたら、そしてその事業を海外でも大きくさせるとしたら、投資資金だけではなく、その背景にあるものの成り立ちや、その土地での経験値も重要になってくることでしょう。そして、そこでは、ビッグウェーブに乗るための方法を教えてくれる指南役の「スーパーエンジェル投資家」が必要。

今回の記事では、ZOOMへ初期投資した一人でもあり、そのスーパーエンジェル投資家でもあるビル・タイ氏が起業・投資を上手くいかせるコツを「波乗り」に例え、説明しています。そして、次に来るビッグウェーブとは何か?についても併せてXTC共同設立者のヤン・ソン氏が聞き手となりお伝えします。

XTC_interview

ーまずは、ZOOMへの初期投資について教えて下さい。

投資について面白いのは、その技術が一般の人からすると今出てきたように見えることです。でも実際は、それが世に知れ渡るまで、4〜5年かかっています。例えば、ZOOMがCanvas LMS連携を行い、授業や会議を録画できるようになると、一気に人気が爆発しヒットしたように見えました。だけれど実際は、ここまでZOOMが成長するのに10年以上かかっているんですよね。

ー私達は、ZOOMへ共同投資家でもありますが、カイトサーフィンの経験を通して、そこでビジネスアイデアの共有をし、友情を築いた仲でもあります。あなたが行ったこれらの全ての投資から何を学んだかについて質問させて下さい。どんなTIPSを将来の投資家や起業家に向けて共有できるでしょうか。

私自身の投資哲学は、けっして自分自身から出てきたという訳ではありません。
実際にSequoia Capital(セコイア・キャピタル)の創業者、Don Valentine(ドン・バレンタイン)氏からもメンタリングを受けてきました。彼は、私の最初のスタートアップの役員でもあり、その時から目をかけていただいていたので、ベンチャービジネスをはじめた時、私は彼とタグ付けされているような状態でした。

ある時、フェニックスからのフライトがキャンセルされ空港に足止めされていた時に、私は非常に若かったこともあって、ドン・バレンタイン氏へ「ビジネスで上手くいくために何をしたらいいのでしょうか?」と聞いたことがあるのです。
その時、彼が教えてくれたことは、この3つのことを正しく行うというものです。

①正しいマーケット、②良いチーム、③投資額をわきまえること

そして、ここで一番重要なのは「マーケット」だということです。いくら良いチームでもマーケットが駄目なら、失敗するとも彼は教えてくれました。だから、常に市場に焦点を合わせること。これが最も重要です。もし、良いマーケットに目をつけ、良いチームがあるのであれば、ある程度の価格で資金調達は成功するでしょう。

ー今まで二人でXTCの取組を進めてきましたが、これまでの歴史と今ワクワクしていることについて少し話しましょうか。カイトサーフィンの取組についてはいかがでしょうか。

カイトサーフィンのコミュニティには、なぜか面白くて新しいことに惹かれる起業家たちが集まるという側面がありました。今から約20年前、カイトサーフィン自体がとても新しいもので、Web2.0やTwitter、Facebook、Googleなどの企業の誕生とも重なります。それらの企業が台頭した頃でもありました。その企業の若者の多くはカイトサーフィンに惹かれていた。そしてどういう訳か、その時期より前から私はカイトサーフィンに親しんでいて、ヤンさんもその5年前からウィンドサーフィンのスポーツ始めていらしたと思うので、私達二人がこれらのスポーツに長く親しんできた訳ですが、それがコミュニティ構築のフラッシュポイントになりました。

学んでもわからないということに対しては、他の人に教えを請う必要がある。

2000年代初頭にセルゲイ・ブリンとラリー・ページがカイトサーフィンを始めた時、そんな背景もあってか多くの起業家がスポーツに殺到しました。その当時、私はカイトサーフィンでスポンサー選手になろうとしていた時期でもありした。そのため、皆が私のところに来て一つのコミュニティが出来上がったんです。

そして、そのコミュニティには、アスリート、芸術家、起業家、技術者、イノベーターらが集まり、自分たちが取り組んでいることを仲間に売り込む文化がありました。またそこでは、コーチング、メンタリングを提供する土壌があったのも特徴です。カイトサーフィンコミュニティは起業家たちのコミュニティでもありました。

そこからオーストラリアでのミートアップや南アメリカのブラジル全土で行ったモバイルアプリのコンテスト、世界最大の技術見本市であるCES(Consumer Electronics Show)とも連携し、Richard Branson(リチャード・ブランソン)をゲストジャッジに招いて実施したものは、結果的に、企業が利益のために行っていることを、この世界のために何か良いことをするという副次的なアウトプットと結びつけることができる、持続可能性の目標に沿った素晴らしいコンテストとなり、このコミュニティ自体も結果として、素晴らしいものになりました。

我々のカイトコミュニティでのカイトサーフィンの旅には、イーロン・マスクからドリュー・ヒューストン、スカイ・デイトンに至るまで、様々な人が参加しています。

おそらく、起業家でもトップクラスの人たちでしょう。このエコシステムによって、新しいアイデアを持つ起業家は、人や資本、コーチングやメンタリングにアクセスすることができ、そのアイデアに光を当てることができるようになりました。

ビル・タイ氏

ー投資家として、あなたが知っているアプローチと方法論を教えて下さい。どのように、”賭けたい”と思うテクノロジーの種類を決定しているのでしょうか?

それは、サーフィンに似ています。

二つのことを説明しましょう。
一つは、「タイミングのようなもの」で、もう一つは「乗り方」です。

タイミングについては、3つのポイントがあります。
まずは、波の前・波の後ろ・波の上です。

波の前にいてパドルをしすぎると疲れます。
「早いというのは間違っているのとよく似ている」ということわざがありますが、その言葉通り、あまりにも早い段階でたくさんのエネルギーを消耗したくはないですよね。

波の後ろにいるのならタイミングが遅すぎるので、波には乗れません。

つまり、波が来るのを感じて、ひとたびパドルする瞬間を選ぶのです。
それを正確に行うと、一度パドルするだけで立ち上がった瞬間、波がライダーを運びます。

そんなふうに私も市場のタイミングを沢山探しているのです。

ベンチャーキャピタルについて90年代と現在を比較すると、90年代はすべてが資本集約的だったので、シリコンバレーでプロジェクトを行うには5000万ドルから1億ドルをだして、100万ドルの資金償却率で5年間待つ必要がありました。

例えば今まではオーナーで共有していたビーチにいるライダーの誰かを選んで、ボードを渡すということをしていましたが、インターネット以降に起こったことは、まずは海を見渡すと様々な波の中に数千の大勢の子供がいて、ハドリングしている子を一人選び、こちら側がジェットスキーでそこに出ると、彼らのボードも動いてしまうので、タイミングが重要になってくるのですが(笑)「波の選択」、「人の選択」に細心の注意を払いライダーと波を選びます。

そして、地理的、年齢的側面を加味し、どの波が彼らにヒットし、前進させる可能性を秘めているのか考えるということも我々の役割の一つです。

そうすることで、お金以上のもので彼らを武装させることができます。
そして、これがXTCについての最も重要な部分なのです。

魅力と優れたチームがあれば、ビジネスは上手くいくかもしれませんが、本当の鍵は、お金以上のものをそのテーブルに持ち込むことができるかどうかです。

例えばチームの誰かが市場の周りの情報の渦に巻き込まれても、投資家の助言によって調整できるようにすることができます。
彼らが投資家から理解を示されるスタンスでコーチング・フィードバックを得て、迅速に変動する市場に身を委ねることができるようになるのです。常にこれが成功の方程式(Winning Formula)です。

ーZOOMのCEOエリックへの初期投資では、次の波をみつけて、そこに上手く乗ることが出来たと思います。その波をあなたが選んでいるとしたら、次に来る波は何でしょうか?

ZOOMが社会に提供したことは、ビデオ会議を次の次元にもっていったことだけではないのです。

少し抽象的な意味で、NFTとは何かを考えます。
いまNFTで起こっていることは、ビジネスのユニットエコノミクスが生産的になったということです。

20年前と比較すると、労働者は所有している1つの会社に結び付けられ、そのオフィスに閉じ込められていましたが、今の時代では1つの会社での雇用されることが常識ではなくなりました。仕事のための、今では全てのアイテムや人々のエネルギーに対して、大きなデジタル仮想化が進んでいます。特定の業界では、人々の働き方、組織の構造について変化が起こっています。
多くの種類のクリエイティブビジネスでは、人々の働き方は完全に変わっているので、ZOOMのプラットフォームなどの上に構築されたアプリケーションには、まだ多くの活路があると思います。

例えば、ブロックチェーンやクラウド技術、データサイエンスの変革によって、ヘルスケアなど多くのビジネス業界の再構築により、大きな効率化がもたらされると思います。そして、暗号通貨(Cryptocurrency)やフィンテックの爆発的な普及など、価値交換の世界全体もそうでしょう。

これは、投資の観点から見ると、インターネットの波と同じような大きさです。

最近、金融のさまざまな側面がデジタル化され、上場するのを見てきました。ペイパルに始まり、今ではストライプなど、この分野で10億ドル以上の評価額で上場する企業が200種類はあるでしょう。


2021年4月公開のインタビューから抜粋

XTC日本予選2022が、3月9日に開催されます

ヤン・ソン氏とビル・タイ氏の手によってスタートした、XTC。
2020年より、ガイアックスとIT-FarmがXTC JAPAN運営委員会となり、このXTC日本予選を開催しています。

XTC JAPAN 2020授賞式の様子
XTC JAPAN 2020授賞式の様子

昨年の様子:https://nexta.community/xtc-japan-2021

本年度の2022年は、日本予選の第3回目の開催となります。
日本予選の優勝スタートアップ2社は、2022年6月に米国で開催予定のXTC世界大会に招待されるほか、海外スタートアップ投資で20年以上の実績を持つベンチャーキャピタル、IT-Farmによるメンターシップのもとで、世界的企業の投資部門や協業責任者に事業をプレゼンができます。

日本から飛び出て、グローバルで優勝すると、シリコンバレーのスーパーエンジェル投資家よりサポートを受けることができます。そして、XTC JAPAN運営委員会では、そんな方が世界進出をする第一歩を後押しします。

日本にある、少子高齢化の進行、食品ロスやマイクロプラスチックの増加、エネルギー政策、地域活性化の不十分など、グローバルに通用する多くの社会課題。今、そのような社会課題を解決する日本発のスタートアップを募集しています。(応募は2月11日で締め切りました)

 

【無料LIVE配信決定】XTC日本予選を2022年3月9日(水)に開催!

テクノロジーでグローバル課題を解決する起業家のコンテスト Extreme Tech Challenge (XTC)
その日本予選が、3月9日に開催されます!こちらの模様は、オンラインでもご覧いただけます。登壇には今日本で勢いのあるスタートアップが集結予定。専門家の特別講演も行います。
日時: 2022年3月9日(水) 15:00-17:50

XTC JAPAN 2022 へ

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