コロナ禍で激変した、私たちの生活や社会のあり方。
これからの時代を、新しい時流であるシェアリングエコノミーによって我々はどう迎えるのか。

11月16日に一般社団法人シェアリングエコノミー協会主催で開催されたシェアサミット2020。シェアリングエコノミーの事業者や参入に興味のある法人・個人を対象とし、例年の有料でのオフライン開催を本年度はオンラインとし、無料での開催が実現しました。

本記事では、一般社団法人シェアリングエコノミー協会代表理事 兼 当社代表執行役社長の上田が登壇したシェアサミット2020のオープニングトークの一部分と上田がファシリテーターをしました「プラットフォーム環境の未来〜シェアエコ周辺ビジネスの可能性〜」でのセッションの様子を全三部にわたり、ご紹介いたします。

第二部は、「プラットフォーム環境の未来〜シェアエコ周辺ビジネスの可能性〜」のセッション内で議論があった「本人認証/信用評価の未来」を中心にご紹介します。

シェアサービスのトラブル回避には必要不可欠な本人認証。

一般社団法人シェアリングエコノミー協会代表理事 兼 当社代表執行役社長の上田がファシリテーターを担当し、KYC・本人確認の専業会社である株式会社TRUSTDOCKの千葉 孝浩代表、株式会社タイミーの小川 嶺代表、日本経済新聞社の村山 恵一氏を迎え、お話しいただいたセッションの様子をお伝えします。

第一部 シェアエコは人類の「分断」を乗り越える ー SHARE SUMMIT2020 Co-Society ガイアックスCEO 上田 登壇レポート Vol.1 は、こちらから

プラットフォーム環境の未来 〜シェアエコ周辺ビジネスの可能性〜

シェアサミットで議論のもたれた本トピック。プラットフォーマーが安全に事業をするにはどうすべきなのか?
登壇者4名の紹介を経て、本人確認についての話からディスカッションがスタートしました。

登壇者:上田 祐司

株式会社ガイアックス 代表執行役社長
1974年大阪府生まれ、1997年同志社大学経済学部卒業。大学卒業後は起業を志し、ベンチャー支援を事業内容とする会社に入社。一年半後、24歳で起業。30歳で上場を果たす。ガイアックスでは、「人と人をつなげる」のミッションの実現のため、これまでのソーシャルメディア事業に加え、シェアリングエコノミー事業や関連する企業への投資を強化している。一般社団法人シェアリングエコノミー協会の代表理事を務める。

登壇者:村山 恵一

日本経済新聞社 編集局コメンテーター
1992年東北大学法学部卒、日本経済新聞社入社。東京本社編集局産業部に配属、情報通信・エレクトロニクス、自動車、医療、金融などの業界を担当。2004~05年に米ハーバード大学留学。05~09年に米シリコンバレー支局勤務。12年編集委員。15年論説委員を兼務。17年2月から編集局コメンテーター。担当分野はIT、スタートアップ。著書に『STARTUP起業家のリアル』(日本経済新聞出版社)などがある。山形県出身。

登壇者:千葉 孝浩

株式会社TRUSTDOCK 代表取締役

公的個人認証とeKYCに両対応したデジタル身分証アプリと、各種法規制に対応したKYC業務のAPIインフラを提供するKYCの専門機関。
シェアサービスやフィンテックのeKYCをはじめ、行政手続きや公営ギャンブル等、あらゆる業界業種のKYCを、24時間365日運用しているクラウド型KYCサービス。
さらには本人確認だけでなく、銀行口座確認や、法人在籍確認、マイナンバー取得など、社会のデジタル化に必要なプロセスも全て提供し、デジタル・ガバメント構築を民間から支援している。
経産省のオンラインでの身元確認の研究会での委員や、金融庁主催イベントにて、デジタルIDでの登壇等、KYC・デジタルアイデンティティ分野での登壇・講演活動多数。

登壇者:小川 嶺

株式会社タイミー 代表取締役

1997年4月13日生まれ。立教大学経営学部在学中。高校生の時に起業に関心を持ち、リクルート/サイバーエージェントでのインターンを経験。2017年8月にアパレル関連事業の株式会社Recolleを立ち上げるも1年で事業転換を決意。様々なアルバイトを複数掛け持ちする日々の中で「応募から勤務、報酬の受け取りが一つのアプリで完結できたら」と感じ、スキマバイトアプリ「タイミー」の開発に着手。2018年8月10日よりサービスを開始した。「一人一人の時間を豊かに」というビジョンのもと、様々な業種・職種で手軽に働くことができるプラットフォームを目指す。趣味は将棋で認定2段の腕前。

本人確認の現状と未来

上田:早速プラットフォーム環境の未来について話していきたいと思います。シェアエコというと、「どこの誰だかわからない人にやってもらうサービスなの?」と疑問がある方もいると思いますが、そういう意味では本人確認は非常に重要なものだと思うのですが、KYCを取り組まれている千葉さんから、シェアエコにKYCが浸透しているのかや課題など、お聞かせください。
※KYC (Know Your Customer):会員登録や口座開設や取引などの際に要求される本人確認のための確認手続きの総称

千葉:これまではデジタルで何か会員登録するというのは、情報の閲覧がメインのトランザクションでした。そのため、SNS認証などで済むことが多かったのですが、最近のデジタル化はリアルな生活での色々な業務・取引のデジタル化で、当人の認証だけではなくて、身元の確認の重要性が高まってきたと思います。そのため、きちんと身元を確認することでシェアサービスが安心して受けられると思います。

上田:実際に契約されている小川さんはいかがですか?

小川:とても助かっていますね。TRUSTDOCKさんのサービスを弊社も利用していますが、個人情報を全部請け負ってくださるので、身分証をどこに保管するかなど問題も生じません。タイミーはオフラインで働くことも多いので、「誰が来るの?」「何かあったらどうするの?」を「TRUSTDOCKさんがあるので」の一言で説明できる安心感がありますね。

上田:実際に導入してよかったことはありますか?

小川:ありますね。身分証のアップロードを必須にすることによって、ワーカーさんのドタキャン率が減りました。身分証をもとに本人確認をすることで、「何か悪い事をすると、後々バレるんじゃないか」という心理が働いているのだと思います。

千葉:まさにそういうお話が多く、トラブルの抑止力という側面があります。リアルで会うと皆さんいい人ばかりですけど、ツイッターなど匿名の世界だと、色々起こってしまう。そういう点では、安心安全の「抑止力」になっているんじゃないかと思いますね

上田:その「抑止力」について、もう少し踏み込むといかがでしょうか?

千葉:何かトラブルがあった際に、警察に照会する時も、何も手がかりがないと初動で動きにくいということがあります。きちんと身元確認しているサービスである場合、警察などのリレーションも迅速にできるというのが特徴かなと思っています。

上田:この辺り、村山さんいかがでしょう?

村山:色々なタイプのシェアエコが発展、浸透しているので、サービスに規律をもたらして、身元がしっかりしていて、大きな安心材料になるため、本人認証は良いシステムだと思います。また、デジタル時代が前提としてあるので、丁寧に身元を見られるものと、緩やかに柔軟性や迅速性を重視してサービスを提供するものもあるのかと思います。本人確認にも、「こういうサービスなら、こういうレベルの物差しで基準をクリアしていれば良い」というグラデーションの幅を作るという工夫作りも良いのかなと思っています。

上田:千葉さんの目から見て、日本のシェアエコ業界において、実際グラデーションに則り出来ている部分、しっかりしている部分、抜けている部分などはありますか?

千葉:オンラインで「身元確認」する解決策が本当に少ないんです。自身の身分証をアップロードする以外に手立てがほとんどなくて、「当人認証」は、SNS認証やIVR認証、メアド確認など多様性があるけれど、身元確認のHow(どうするか)がまだ少ないなと思います。毎回、本当に免許証をアップロードする必要があるかというのはあるので、本人確認のグラデーションはデジタル社会において必要なのだと思っています。

上田:ちなみに、「プラットフォーム環境の未来」というタイトルですが、未来はどうなっているでしょうか?

千葉:やはり、デジタルに身元を証明できる多様性が、グラデーションを持って増えていくべきかと思います。

小川:誰もが一度はシェアエコサービスに触れたことがあるという世界になっていくのだと思っています。他のシェアサービスを使った時に、信用をリンクできるものをシェアリングエコノミー協会が主導して作っていけるといいですね。中国の芝麻信用(ごましんよう)の日本らしいものも作っていけるのではと思っていますね。

上田:そうなるといいですよね。利用者の方からすると、プラットフォーマーは稼ぎさえすれば事故を起こしてもいいと思っているんじゃないかという印象をもたれている方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことは我々、全くないですよね。いかにトラブルを減らすのかということに各社とも血眼になっているので、小川さんが言っていたようなサービスが出てくるといいなと思います。

小川:実際、個人同士がやり取りするシェアエコは、トラブルが多い現状にあります。新しい領域である分、マニュアルの整備や支援を我々プラットフォーマーができるといいなと思う一方で、その部分を一元化できると面白いなと思います。シリコンバレーでシェアエコが流行っているイメージがありますが、海外はどうなんでしょう?

村山:その部分については、世界中がまだまだ暗中模索の状態だと思います。テクノロジーに関連するサービスはそうなのかもしれませんが、特にシェアエコはその色彩が濃いかなと思います。シェアエコは社会のコンセンサス作りもやっていかないといけないという課題があります。サービスの構造のリスクに対して、安全安心のための仕組みを提供して、インタラクティブなやりとりがユーザーとの間で発生するのだと思います。世界を見ると部分的にはあるかもしれないですが、この分野はまだまだではないでしょうか。
私からすると、これからの起業家の方に期待したいのは、そこを社会との間合いの取り方も含めて起業家の方がぜひ形にしていってもらいたいなと思います。ただ単に、「こんなテクノロジーを形にして最高でしょ?」では足りない時代に入っていて、シェアエコは特にそういう特徴があると思っています。

信用評価の蓄積とその未来

上田:最初「本人確認」の話になりましたが、信用や評価をどう蓄積するかについてに話題が移行してきましたので、そこを深掘りしていきたいと思います。村山さんも信用を積み重ねていくという方向で良いと思われますか?

村山:そうですね。デジタルな時代なので、過去のサービスでどういう実績を積んだのか、評価はどうであったのか、そういった足跡がデジタルに残る時代になってきていると思います。個人情報や個人データの問題はあり、いい加減にはしてはいけないと思うけれど、ポジティブな意味でそういったものをうまく蓄積して、平易な言葉で言うと、頑張っている人には信頼がつく、頑張っている人が報われるような世の中であって欲しいなと思います。サービスの実績が透明性や客観性のある形で蓄積して、それが個人の信頼を表すようにして欲しい。従来は勤め先や年収で社会的価値が図られがちでしたが、そういったものだけで人をそもそも測れるわけではないと思いますので、新しい尺度として、新しい信用の積み重ねは興味深いところですし、期待したい部分です。

上田:確かに。例えばこれまでは、一流の会社に勤めている方だから「すごい」と思っていても、実際一緒に働いてみるとイメージとは異なってがっかりした、というケースもあるかと思います。それに比べるとレビューが積み重なっている方が信頼できますよね。

もう一度確認ですが、シェアサービスのスペースマーケットを使った履歴やタイミーを使用した履歴、TABICAで使用した履歴などを共有することについてはどうでしょう?こういったことの実施については、改めていかがでしょう?

小川:信頼を共有するという点はいいと思います。芝麻信用のように一社だけではなく、複数社があって良いと思います。個人が働く環境をシェアエコで整えるという点では、シェアエコ保険に入れることや、キャリアを一緒に伴走することが大事で、足りない部分を色々な人がみんなで担う考えは良いと思いますね。タイミーも、スキマ時間で利用されている方もいらっしゃるし、365日中340日働かれている方もいらっしゃいます。そういった方に向けて、「どうやってキャリア支援を行っていくか?」はメディアの方からもよくある質問です。プラットフォームの責任として捉えていますが、1社ではできることが限られているので、それをみんなで解決できるのは可能性のあることだと思っています。

上田:私も心の中では大賛成です。とはいえ、本当にいいのかという気持ちもあります。

千葉:ユーザー基点でやるべきだと思います。広告の世界のように、企業が裏側で情報連携をやるのではなく、ユーザーが同意して情報が共有される必要があると思っています。そして、ユーザーが同意した上で機能する、ちゃんとした同意モデルがあるツールを作ることが大事だと思います。

上田:よく言われそうなことに、一回失敗したら、二度とあらゆる世界で浮かび上がれないという話もありますよね。

千葉:そういうディストピアは作ってはいけないと思いますね。僕らは広義では全員、「ソーシャルメディアの第一世代」だと思うんです。100〜200年したら、デジタル上に、「ソーシャルカースト制度」が存在してしまう世の中はだめだと思います。いま時点でも消えないデジタルタトゥー問題があって、例えば、ひ孫がおじいちゃんのデジタルタトゥーに翻弄される世界は見たくないですね。そういうディストピアにしない取り組みについては、一社単独ではなく社会全体で作っていかないといけない話だと思います。

小川:その認識は私にもあります。、例えば、学生時代寝坊癖があって、派遣会社の登録が継続できなかった経験を持つ方もいらっしゃると思います。だから、ユーザー基点でつくるのはもっともな意見だと思っていて、やってはいけないことがルール化されるのはいいけれど、同時に復活する仕組みはあったほうがいいと思いますね。この例で言うと、タイミーでも何か失敗をしてしまった際に、そのペナルティーを「ボランティアをすると復活できる仕組み」として取り入れようかと検討しています。

上田:ボランティアって、アメリカの刑法でよくありますよね。

小川:日本でもボランティアの文化がもっと浸透してもいいと思います。
話が少し変わりますが、コロナになって「働くとは何か?」について考えるシーンが多くなったと思います。オンラインで、どこにいても働ける考え方がある一方で、オンラインで解決してしまう世界にも疑問があります。タイミーのようにオフラインで働くサービスをしていると、働いて目の前で「ありがとう」と言われる経験は、すごい貴重だなと感じていて、「社会にしっかり貢献できてるんだ」という感覚を味わえるのはオフラインだからだなと体感しています。オフラインで働く価値は、金銭を得るだけでなく、承認欲求が満たされ、社会の一員だと認識できる部分もあると思うんです。そう考えるとボランティアをするのも一貫して良いことだと思っています。

上田:利用者という意味でのユーザー基点だと思いますけれど、ありえないことをAプラットフォームでして、追放された人がBのプラットフォームでも、平然と素知らぬ顔ができるのは許したくないことなので、そのユーザー基点と働く側の基点の両方を両立させながら作っていくことが大事ということですね。

ギグエコノミー時代の雇用 ー SHARE SUMMIT2020 Co-Society ガイアックスCEO 上田 登壇レポート Vol.3 へ、続く

ライター : 遠藤桂視子

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上田 祐司

上田 祐司

1997年の大学卒業後に起業を志し、ベンチャー支援を事業内容とする会社に入社。一年半後、同社を退社。1999年、24歳で株式会社ガイアックスを設立する。30歳で名証セントレックス市場へ上場。
社団法人シェアリングエコノミー協会の代表理事を務める。同志社大学経済学部卒。