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情熱が成長曲線を左右する。意図を持つことで働き方は変わる – 株式会社Tokyo Otaku Mode 代表取締役社長 小高 奈皇光

  • 最終更新: 2023年9月6日

2020年、コロナ禍で働く人々の価値観は大きく変容しました。これまでの「当たり前」が当たり前でなくなり、働き方も多様化してきています。
働く「手段」が注目される中で、「何のために働くのか?」と働く目的や意図について思いを巡らせた方もいるのではないでしょうか。

今回インタビューしたのは小高 奈皇光(こだか なおみつ)さん。

元ガイアックスのCFOであり、現在はTokyo Otaku Mode(以下:TOM)の代表取締役社長を務める小高さんは、どんな時でも楽しそうに仕事をしている様子が印象的です。
「もともとは文学部を志望していた」という小高さんは、なぜビジネスの道を志すようになったのでしょうか?学生時代からメリルリンチ時代のお話を通して、小高さんの仕事の土台となる考え方や価値観に触れていきます。

小高 奈皇光(こだか なおみつ)
Tokyo Otaku Mode代表取締役社長
大学卒業後、2000年にメリルリンチ投資銀行部に入社。電通IPOやソニーの資金調達(2,500億円)、大成火災の会社更生計画(現損保ジャパンへの統合)など多数の案件に携わる。
2006年、株式会社ガイアックスのCFOに就任。自社株TOBなど資本政策、M&A・人事・経営企画などを管轄、フィリピン及びシンガポールの子会社設立を主導した。2011年には厚生労働省「両立支援ベストプラクティス推進事業」委員を務める。
2012年、Tokyo Otaku Modeを共同創業者として設立し、米国500startupsから資金調達。翌年第1回Japan Startup Awardグランプリを受賞し、2014年にはCool Japan Fundより第1号案件として投資を受けた。その後中国市場への参入と商品開発を始め、商品企画/グローバル流通/メディアを兼ね備えた総合サービスを展開中。近年は渋谷パルコにリアル店舗を出店し、B2B向け配送代行サービス「セカイロジ」をローンチしている。現在Tokyo Otaku ModeのFacebookファン数は2,000万人を超え、世界130カ国以上に日本のアニメグッズを届けている。
慶應大学総合政策学部卒/University of Pennsylvania – The Wharton School Executive Education Program修了/オタクコイン協会理事

ビジネスは手段。課題を解決するために何ができるか

時間は有限。興味のあることに全力を尽くした学生生活

ー まずは自己紹介をお願いします。

小高:株式会社Tokyo Otaku Modeの小高奈皇光と申します。ガイアックスには2006~2013年の7年間在籍していました。

ー まずは学生時代のお話をお聞きしたいのですが、小高さんはどのような学生でしたか?

小高:笑い声が大きく、騒がしい奴だと言われていました(笑)。田舎の広い校舎にも関わらず、友人曰く「かなり遠くからでも奈皇光がいるとわかる」と。僕は5人兄弟の末っ子ということもあり、自己主張をしないと存在を忘れられてしまうという幼少期の経験も影響していたかもしれませんね。
学生生活では自分の興味のあることを全力で頑張っていました。1年生の時からボランティア活動に力を入れたり、飲み会が好きで何度も酩酊したことがあります。ボランティアだけでなく、遊ぶことや飲み会も含めて大学生活を無駄にしたくないという思いを持って過ごしていました。

先生の言葉がきっかけで社会との向き合い方を考える

ー 小高さんはSFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)に7期生という早いタイミングで入学されていますが、どのような理由で進路を選択しましたか?

小高:実は、僕はもともと早稲田大学文学部を志望していて、作家になりたいという思いがありました。でも、高校1~2年生の時に先生に言われたんです。
「これからの時代は1つのことで専門性を高めるのも大事だけど、多面的に色々な学問を学んで総合的に物事を判断しないと、社会情勢が変わっていく中では課題解決ができない」と。それまで受験勉強しかしてこなかった立場からすると、その先生の言葉によってとても視野が広がりましたね。そして、多面的に学んで課題解決することを目指す学部として総合政策学部ができたと聞き、気持ちが一気に変わったんです。
その先生は高校時代の多感な時期に、文学や勉強だけではなく「社会に対してどのように接するか」を考えるきっかけを与えてくれたと思っています。

「力をつけたい」社会に与える影響を大きくするために、ビジネスの道を志す

ー 1年生の頃からボランティア活動をされていたとのことですが、なぜボランティアをやろうと思ったのでしょうか?

小高:当時の僕の目には、企業が利益を追求することが「悪いこと」のように映っていたんですよね。大人ってなんて汚いんだろう、と。もっと清らかな気持ちで社会のために働きかけたいという気持ちもありましたし、ボランティアも実際にやってみないことにはわからないことが多そうだと考えて活動を始めました。
でも何回か活動をする中で、僕や友人数名でボランティアをやっても社会に与える影響が少ないと実感することがあって。ボランティアなどの地道な活動も大事にしつつ、実力をつけて、自分の力が何倍にもなって社会に対して影響するような仕組みを作らないと抜本的な解決にはならないと思いました。
それに1~2年生で勉強した中で、いずれ自分がビジネスをすると考えた時にはアカデミックな勉強よりも実践を通して学ぶ方がいいのではないか、と考えるようになりました。経済を活性化することが目的なのであれば、客観的に分析する立場にいるのではなく、自分自身がビジネスとして成功して規模を大きくしていくことの方がワクワクしたんですよね。そのために「もっと早く成長したい」と思い、大学2年頃からはインターンシップを始めました。

ー インターンではどのような業界を選びましたか?

小高:業界にこだわりがあったわけではなく、とにかく実践で経験を積みたいという思いが強かったので、総合政策学部なのに半導体商社に入りました(笑)。当時はまだインターンという概念がほとんどなく、イベントがきっかけで繋がった半導体商社の社長さんに「働かせてください」とお願いしました。その会社が新たにコンサルタントのような業態の事業を立ち上げるということで、学生なりに半導体に関する知識がなくても頑張れそうだと思ったんです。半導体商社では2年生の途中から1年ちょっと働いて、その後は4年生の春頃まで野村総合研究所で働いていました。

情熱が成長曲線を左右する。意図を持つことで働き方は変わる
情熱が成長曲線を左右する。意図を持つことで働き方は変わる

情熱を持って取り組むからこそ、成長できる

就活における判断基準は「いかに早く成長できるか」

ー 卒業後はメリルリンチに就職されていますが、どんなことを軸に就職活動をしていましたか?

小高:大学4年生の時には、まだ自分でやりたいことがありませんでした。でも「もっと成長しなければ」という危機感だけはあったので、「いかに早く成長できるか」という判断基準で就活をしていました。
当時の僕は、企業価値を測ったり債権価値をバリュエーションしたり、実践的なことを学べる金融系の研究会に入っていて、外資系の投資銀行がかなり厳しい環境だという話を聞いていたんです。基本的に入社してから2年契約で、成果が出せなければすぐクビになるらしいぞ、と。
自己成長を図るにはもってこいの環境だと思い、メリルリンチに応募しました。

ー 実際に入社してからはどのような日々でしたか?

小高:想像を超えるくらい、非常によく働いていました(笑)。2年で契約が終了する、かつ評価が低いと即クビになってしまうというプレッシャーがあったので、身も心も捧げていましたね。会社に寝泊まりすることも多く、起きている間はずっと仕事をしているような状態でした。
最初の2年間が過ぎて契約更新となり、徐々に若手が入ってきて僕の働き方も少し緩やかになっていきましたが、5~6年はそういう生活を続けていましたね。でも、体力と気力があってラーニングカーブ(学習曲線)が高い状態で長時間仕事ができるタイミングって若い時しかないので、今振り返ればあのような働き方も経験としてよかったなと思っています。

白兵から指揮官に。熱中して仕事に取り組むうちに目線が上がる

ー 入社から数年が経ち、入ったばかりの頃と比べるとご自身に変化はありましたか?

小高:見た目はだいぶ老けたでしょうね(笑)。気持ちの面では、仕事を少し俯瞰して見られるようになったと思います。入社した当時はとにかく仕事をこなしているような状態で、こなしている途中でも別の仕事が来たりして。気づけば10個くらいプロジェクトを抱えていて、そうなると白兵戦(目先の戦い)しかできなくなってしまう。最初は目の前の敵とどう戦うかということに明け暮れていたんですけど、数年経ってくると部下が入ってきてプチ指揮官という形になり、全体を見ながらリソースの配分や案件の優先順位を考える視点が増えてきました。22歳の頃に比べたら28歳の僕は俯瞰して仕事を見られるようになったかなと思います。

ー 徐々に緩やかな働き方になったとはいえ、心が折れそうになることはありませんでしたか?

小高:僕はあまりなかったんですよね。「早く実力をつけたい」という思いに則っていたので、満足しながらやっていました。社会の一員として働いているぞ、と。
それに、やっていることが楽しいと辛さって感じないですよね。単に仕事だと思ってやるのか、情熱を持ってやるのか。僕は歴史とゲームが好きなんですが、それらが合わさった歴史ゲームになると1日に20時間くらいできるんですよ。仕事も趣味と同じ領域とまではいかなくても、やりがいやパッションがあると客観的に言われるほどキツくはないですし、プツンと切れるということはなかったですね。徐々に仕事の規模が大きくなったり、関わる人が増えていくことでやりがいが積み重なっていくことを実感していました。

ー ありがとうございました!次回は、メリルリンチからガイアックスへ転職した経緯や、Tokyo Otaku Modeについてお聞きしていきたいと思います。

後編のブログはこちら: 人間は、人間らしく働こう。 情熱を持って自分のど真ん中を走り続ける

インタビュー:荒井智子
ライティング:黒岩麻衣

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編集後記

会社に寝泊まり、と聞くと「キツそう」「ブラックだ」と思ってしまいそうですが、小高さんの話からは悲壮感は全く感じられません。むしろ、生き生きとした雰囲気で満ちていました。長時間働くことは、一概に「悪いこと」とも言い切れないのかもしれませんね。

このインタビュー記事の動画も是非ご覧ください


Vision Notes Episode 5 – 株式会社Tokyo Otaku Mode 代表取締役社長 小高 奈皇光
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小高 奈皇光
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