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新卒から視座を上げる。挑み続けられたのは、失敗が許される環境があったから ー 株式会社アドレス代表取締役社長 佐別当隆志

  • 最終更新: 2023年11月9日

困難なことがあっても、状況に合わせて柔軟に立ち直る「しなやかな強さ」をレジリエンスと呼びます。変化やストレスの多い現代社会にうまく適応し、精神の健康を保ち、どのように回復しているのか?ガイアックスでは、リーダー達のレジリエンスをシリーズでご紹介します。

今回インタビューしたのは株式会社アドレス代表取締役社長の佐別当隆志(さべっとう たかし)さん。

佐別当さんは2000年にガイアックスに入社し、広報や新規事業開発を経てシェアリングエコノミー協会の立ち上げや、“日本で一番シェアを体験できるビル”NagatachoGRiDの立ち上げ、多拠点生活プラットフォームであるADDressの立ち上げを行ってきました。まさに「旗を立てる人」といえる佐別当さんに、チャレンジし続けるために大切にしていることをお聞きしました。

佐別当さんのキャリアストーリーは「投資先経営者シリーズ」でご紹介させていただいておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。
1.「ADDress佐別当隆志代表に聞いてみた|新時代の価値を生み出す人は20代に何をしていたか」
2.「定額住み放題サービスADDressが切り拓く、これまでの延長線上“じゃない”未来」

佐別当 隆志

佐別当 隆志

株式会社アドレス代表取締役・シェアリングエコノミー協会理事

2000年2月入社。広報・事業開発を経て、2015年シェアリングエコノミーに特化したWebメディア「Share! Share! Share!」を公開。2016年1月一般社団法人シェアリングエコノミー協会を設立し、事務局長に就任。ガイアックスではブランド推進室に所属。 副業でシェア時代の家族とゲストの一軒家、「Miraie」を運営。New York Timesなど国内外のメディアが注目。

ガイアックスではオンライン座談会にて、ガイアックスメンバーに直接疑問をぶつけることができます。「採用に興味がある」や「ガイアックスってどんな会社だろう?」と思った方は以下よりご確認ください。
» ガイアックス採用ページ

新卒1年目のハードシングスが視座を引き上げてくれた

ー これまでに色々なハードシングスを経験されていそうですが、印象的な出来事はありますか?

インターンを経て新卒でガイアックスに入社し、飲食店向けの会員サイトの営業マネージャーになった時のことですね。当時は光通信系の会社から40人くらい出向の社員を受け入れていて、僕はいくつかあるチームのマネージャー陣を束ねながら、自身のチームを持っている状況でした。

その事業は半年後に5億円ほどの赤字を出して撤退することになり、ガイアックスは最初の倒産の危機を迎えました。僕は営業マネージャーとして現場の人達と一番交流していたのですが、「2〜3人を残して全員リストラしてください」と言われて…。当時のメンバーは約40人いたので、37人をリストラしなければならない。寝食を共にして、結婚や子供が生まれたという話をたくさん聞いていたんですよ。光通信系から憧れのIT業界に移れて、「頑張って社員になりたいです」という人達が大勢いました。

それが新卒1年目の出来事で、当時は体重が10キロくらい落ちましたね。

ー 聞いているだけで鳥肌が立ちます…。

もう無理だと思い、事業部長に「屋久島に行ってきます」とだけメールで伝え、逃げるようにして東京から脱出しました。1週間ほど仕事から離れて屋久島の縄文杉を見て、「僕が経験したことは、地球の何千年何万年の歴史と比べると小さな苦労だったんだな」と初心を取り戻すことができました。10年くらいベンチャーでやっていくなら、失敗しないわけがないじゃないかと。「まずトライしよう」というところから始まったので、成功することがゴールではないはずだったんですよね。
あれだけ多くの人たちに迷惑をかけてお金も費やしたのだから、「この経験を絶対に次に生かしていこう」と前向きに捉え、その後の再チャレンジに繋げていきました。

その時に学んだんですけど、営業マネージャーといっても、本当は営業だけしていればいいわけではなかったんだと思うんですよね。
当時はプロダクトがボロボロの状態で走りすぎてしまったので、まずはプロダクトの品質を上げるなり、一旦営業を減らして調整するなり、他にもやり方があったと思うんです。

その時の僕は営業のことしか考えていなくて、事業全体のことを考えていなかった。だから、商品が悪いからとかまだ認知度が低いからとか、いろいろと言い訳があって、無意識に自分の中に逃げ道を作っていたんだと思います。事業全体のことを考えた時に「このプロダクトを成功させるにはどうしたらいいか」という視点をちゃんと持っていれば、もっとできることがあったなと気づき始めて。そこからは、どんなことでもまず当事者意識を持って、その事業を成功させるにはどうするかということに自分の意識を集中させようと考え方が変わりました。

ー 濃い経験をされたからこそ、大きな気づきもあったのですね。1週間休んで仕事に復帰されたのですか?

メールだけ送って1週間失踪して帰ってきて、普通なら怒られたりクビになるかなと思うじゃないですか。でも、僕が「もう一度頑張ろうと思います」と話をしたら「そうか!絶対辞めるって言うと思ってたわ!」と言って迎えてくれたんですよね。大きな損失を出して逃げて、また戻るという選択をしたときに「おお、戻ってきた」みたいな感じなんですよ。その時に、ここは失敗しても大丈夫な場所なんだという感覚が自分の中に醸成されました。ガイアックスの中では失敗することに対する恐怖の度合いは低いし、大した事象ではない。むしろ、失敗から得られるものもたくさんあるということを学びました。

その後も、オンラインゲーム事業の責任者を担って、海外からライセンスを買って事業を行なっていたのですが、結果としてまた2億円の赤字を出してしまいました。その頃にCFOとしてジョインしてきた小高さん(現株式会社Tokyo Otaku Mode代表取締役社長)の最初の仕事が、オンラインゲーム事業を売却するという仕事で…。本来5億円以上の赤字を出すところがだいぶ抑えられて、本当に小高さん様様です(笑)。事業としては上場するきっかけにもなりましたし、一方でまた会社が危ない状況にもなって、仲間たちと一緒に乗り越えてきたというのが大きな経験になっていますね。

休憩は助走期間。エネルギーを充電し、さらなる進歩に繋げる

ー 何回折れかかっても立ち直る、まさにレジリエンスですよね。どうしてそれができるのでしょうか?

無理しすぎると心身が疲弊するだけなので、しんどかったら休めばいいし、無理だと思ったら逃げればいいと思います。それが僕のポリシーです。睡眠が足りていなかったり、劣悪な環境で仕事をしていたり、追い込まれるだけで結果に繋がらないようなプレッシャーがあるなら、休む・逃げる・環境を変える、というのは決して悪いことではないかなと。
ただ、それが本当に努力して頑張った結果であればいいんだけど、余力を残しながらやって、やり切らずに途中で逃げるというのは勧めないです。

僕の場合は失敗慣れをしているので(笑)、自分で自分の限界がわかるんですよ。限界がわからなければ潰れてしまうと思うので、その時の自分の状態が黄色信号なのか赤信号なのか、わかるようになっておいた方がいいですよね。無理して潰れない方がいいんですけど、一回とことんやってみて、自分の限界がどこなのかを知るのも大事かなと思います。

そして、逃げたり休んだりしたら元気は出てくると思うので、そのタイミングでもう一回頑張ればいいと思うし、その時に迎え入れてくれる仲間がいるかどうかも大切になってくると思います。自分の状況を正直に話せたり、働き方について相談できたり、常日頃からちゃんと信頼関係を作っておくことも大事だと思いますね。

僕自身、関係性の質は常に大事にしていて、人と人との関係がどれだけ良質なのかというのは意識しています。自分とは合わない人達もいると思うので、できるだけ自分と合う人と一緒にいた方がいいですし、その人達との関係性を大事にしようと思っています。一緒にお酒を飲むのでもいいですし、人を紹介したり、自分も楽しくて相手も喜んでくれるようなことをして関係性の質を良くすることは大切にしていますね。

あとは、頑張っている時と休んでいる時を繰り返し続けています。
頑張ってもうまくいかない時や失敗する時もあって、休む時は次に向けて準備をする期間だと捉えているんです。頑張りすぎている時って、アウトプットばかりでインプットが少なくなりがちだと思うんですよね。

休む時は自分にとっての充電期間だと捉えて、食生活を改善したり朝の時間に運動をしたり、自然のある場所に行ってみたり。僕の場合は温泉やサウナに行ったり、昼間からお酒を飲んだり、仕事尽くしにならないように遊びの時間もできるだけ作るようにしています。充電しながら時間が経てばエネルギーが充満してくると思うので、そういう助走期間があることが次の進歩に繋がっていくのではないでしょうか。

ー ありがとうございました!

インタビュー:荒井智子
ライティング:黒岩麻衣

編集後記
余力を残さずにやり切って、休む。メリハリを利かせることで、休んでいる間も思いっきり充電できるようになるのかもしれません。トライしてみます!

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レジリエンス〜心が折れないための習慣〜
1. 「感情に蓋をする方が楽だった」メンタルヘルスを整え、質の良い仕事をするための習慣とは – ソリューション事業本部・本部長 管大輔
2. 相手を尊重し許容する、母心のマネジメントスタイル – 親分型マネジメントからの変遷 – GRiD事業部部長 野口佳絵
3. 戦国時代に学ぶビジネスマインドセット – 人生100年時代の働き方 – Tokyo Otaku Mode代表取締役社長 小高奈皇光
4. 「力任せに駆け抜けた」完璧主義を手放し、自分らしいスタイルを探求する – アディッシュ株式会社取締役 杉之原明子
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8. 過去も未来もコントロールできない。できるのは「今を精一杯生きること」 – 執行役 野澤直人
9. 新卒から視座を上げる。挑み続けられたのは、失敗が許される環境があったから ー 株式会社アドレス代表取締役社長 佐別当隆志
佐別当 隆志
2000年2月入社。広報・事業開発を経て、2015年シェアリングエコノミーに特化したWebメディア「Share! Share! Share!」を公開。2016年1月一般社団法人シェアリングエコノミー協会を設立し、事務局長に就任。ガイアックスではブランド推進室に所属。 副業でシェア時代の家族とゲストの一軒家、「Miraie」を運営。New York Timesなど国内外のメディアが注目。
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