
中村 真奈
執行役
株式会社CREAVE 代表取締役
慶應義塾大学総合政策学部卒業。2020年より、株式会社ガイアックスにてオンライン配信サービスの立ち上げに参画し、主に大企業向けの営業からPM/CS業務を幅広く担当。2021年5月より、GENIC LAB事業部 事業責任者を務める。2023年2月スナップマート株式会社代表取締役を経て、2024年2月より株式会社CREAVE代表取締役を務め、35万人のクリエイターネットワークを強みとした、企業のマーケティング支援・クリエイティブ支援事業を運営する。2025年3月より株式会社ガイアックス執行役に就任。

廣渡 裕介
スタートアップスタジオ事業部 マネージャー
DAO事業部 事業責任者
学生起業後、3年で上場企業に売却。株式会社ガイアックスにてスタートアップスタジオ事業部で新規事業支援をした後に、DAO特化の事業部を開始。DAO組成運用のコンサルティング支援とツール「DAOX」を展開中。約50の企業・自治体・団体へのDAO支援実績あり。
「個」の突破力か、「組織」の勝率か。既存スタジオとの決定的な違い
ーー Gaiaxには既に有名な「スタートアップスタジオ」があります。なぜ今、あえて「NEWB」という別の仕組みを立ち上げたのでしょうか?
中村: 最大の違いは、「外に出ていく起業家を作るのか」それとも「社内アセットを活用してシナジーを生み出すのか」という目的の差です。
既存のスタートアップスタジオは、基本的に「起業家支援」がメインです。社内で起業家を育てて、カーブアウト(外部へ切り出し)させていく。あくまでコンセプトは「外に出ていく起業家をつくりにいく」という点にあります。
一方で今回の「NEWB」は、社内にノウハウや利益を還流(内留)させ、既存事業とのシナジーを掛け合わせていくことを目的としています。 具体的には、Gaiaxが強みを持つ「ソーシャルメディア領域」や「シェアリングエコノミー領域」にカテゴリーを絞っています。既存事業が持っている顧客基盤やノウハウを活用することで、ゼロイチの難易度を下げ、成功確率を「設計」しにいっているのが特徴です。
廣渡: そうですね。僕自身、普段はスタートアップスタジオで投資先の支援をしていますが、常々「もったいない」と感じていた部分があったんです。 社内には様々な事業部があり、投資先もたくさんある。例えば「A事業部のここと、B事業部のここをつなげて、間に一つ事業を作れば、全体的に自然と儲かるのに」というポイントがいくつも見えていました。
でも、既存の縦割りの事業部の中でそれをやるのは意外と難しい。既存メンバーは目の前のPL(損益)やKPIを追っているため、新しい実験にリソースを割きづらいし、評価もしにくい。 だからこそ、部署を横断して、100万円程度の予算でサクッとテストできる「枠組み」があれば、めちゃくちゃやりたいなと思っていたんです。それが野澤さん(取締役)との会話などから具体化し、NEWBとして立ち上がりました。
ーー なるほど。「個人の情熱」に投資するスタジオに対し、「組織の勝ち筋」に人をアサインするのがNEWBということですね。
中村: その通りです。例えば、新規事業を作る時の最大のハードルの一つに「集客(リード獲得)」があります。通常なら広告費がかかりますが、既存事業のユーザーを活用して新しい事業Bを立てれば、最初の集客コストがほとんどかからないという設計も可能です。 「新規参入コストの低さ」と、出来上がった後の「クロスセル(相互送客)」が見込める。この「勝率を設計できる企画」であることが、NEWBで取り組む事業の条件ですね。

100万円で何ができる? 「撤退」を決めるためのシビアな検証
ーー とはいえ、新規事業の立ち上げ予算が「1サービス100万円」というのは、正直かなり少ないように感じます。開発費も含めてその金額なのでしょうか?
廣渡: 誤解を恐れずに言うと、「100万円で事業を作る」のではなく、「100万円で事業を続けるかどうかの判断材料を集める」というのが正しい定義です。
この100万円には、私たち2名の人件費は含みません(参画メンバーの業務委託費用は含みます)。あくまで市場調査やLP(ランディングページ)制作、そしてテストマーケティングの広告費などの「実費」です。 例えば、システム開発にいきなりお金をかけることはしません。まずは企画を作り、LPを立ち上げ、広告を回して顧客獲得コスト(CPA)や反応率を見る。これだけなら100万円あれば十分すぎるほど検証できます。
むしろ、予算を200万円、300万円と増やしても、検証の精度は大して変わりません。余計なことに使い始めて判断が鈍るだけです。「限られた予算内で、次に進むべき明確な証拠(トラクション)が出せるか」。この制約こそが、質の低いアイデアをフィルターにかける最初の壁になります。
中村: 実際に動き出す前に、「検証シート」というものを作成し、仮説と検証事項、スケジュール、そして予算配分をガチガチに決めます。 「この期間内に、この数値が出なければ撤退する」という基準を最初に握っておくことが重要です。そうしないと、「もう少しやればうまくいくかも」という情が湧いて、ズルズル続けてしまうからです。
ーー なるほど。では、その「撤退基準」はどこに置いているのでしょうか?
廣渡: 「既存事業とのシナジーがあるか」。ここがボーダーラインです。 NEWBはあくまでGaiaxという組織の成長に貢献するための部隊です。どんなに面白いアイデアでも、小遣い稼ぎレベルで終わる規模感のものは扱いません。Gaiaxが全社で売上100億円を目指す中で、既存事業でシナジーを出していくことで、そこにインパクトを与えられるサイズになる必要があります。
初期検証(予算100万円)で、顧客獲得の数字が良い数字で取れたとしても、インパクトを与える絵が描けなければ、その時点で「Go」は出しません。そこは非常にシビアに見ています。

「複業」のリアル。週10時間の稼働で、本当に事業は作れるのか
ーー NEWBの特徴として、最初から転職(フルコミット)を求めず、まずは「複業(週10〜15時間程度)」からの参画を推奨しています。正直なところ、そんな短時間で事業検証できるのでしょうか?
廣渡: 結論から言うと、できます。ただし「迷う時間」をゼロにすれば、ですが。 僕自身、過去に事業立ち上げをしていた時は、他の仕事をしながら全体の5%くらいのリソースで回していたこともあります。重要なのは時間数ではなく、「検証ポイントを絞り切ること」です。1ヶ月でLPを作ってヒアリングを完了させるなど、短期集中でメリハリをつければ十分に可能です。最近はAIが基礎と構成はつくってくれますし。
中村: そのために私たちが用意しているのが、「NEWB独自の検証プロトコル(型)」と「経営陣による壁打ち」です。複業メンバーの方には、ゼロから「何をしようか」と悩む時間は使わせません。それが私たちの役割です。週1回、私たち執行メンバーとの定例ミーティングを設けていますが、そこですべての意思決定と軌道修正を行います。メンバーの方には、今の仕事を続けながら「Gaiaxの経営陣の脳みそをハックする」くらいの感覚で使い倒してほしいですね。
ーー キャリアにおける「リスクヘッジ」をしながら、経営者視点をインストールできるということですね。
中村: そうです。いきなり起業したり転職したりするのはリスクが高いですが、NEWBなら今のキャリアを維持したまま、「事業責任者」としての打席に立てます。 実際に今、大手企業に勤めながら映像制作の事業検証に関わってくれているメンバーがいますが、「自分で意思決定し、結果がダイレクトに返ってくる手触り感」を楽しんでくれています。
もし検証がうまくいって事業化が決まれば、そのまま事業責任者として転籍してもいいし、カーブアウト(独立)して社長になってもいい。あるいは、複業のまま関わり続けてもいい。 「事業が育ってから、自分の身の振り方を決められる」というのは、個人のキャリア戦略としても非常に合理的かつ贅沢な環境だと思います。

検証3件、リリース2件。「勝てる型」が見えた2025年の振り返り
ーー 2025年の下半期からNEWBの取り組みがスタートしました。初年度の実績と手応えはいかがでしたか?
中村: 2025年は、まさに「手探りでの検証期間」でした。8月から12月までの実質4〜5ヶ月で、3つの事業案を検証し、そのうち2つをサービスリリースまで持っていくことができました。 「3件中2件」という数字だけ見ると打率が高いように見えますが、重要なのは数ではありません。「NEWBが定めた『型』に沿って進めれば、組織のアセットを使って本当に事業が立ち上がるのか」という仮説が証明できたことが最大の成果です。
廣渡: その象徴的な成功事例が、「Komorebi Estate(コモレビ・エステート)」という外国人富裕層向けの不動産販売サービスです。 これはまさに、Gaiaxグループのシナジーだけで勝ち筋を作った案件でした。 グループ会社にインバウンド向けのサービスを展開している企業があり、既に日本に関心のある外国人顧客リストを持っていた。そこに対してヒアリングをかけさせてもらい、ニーズを確認した上で、別の投資先の不動産テック企業の商材を繋ぎこんだんです。古民家リノベーションや民泊運営をしている投資先も多数あり、不動産の売買後の運用もグループ内で発注し合い、完結することができます。
ーー ゼロから集客をしたわけではない、と。
廣渡: そうです。通常なら広告費をかけて集める「リード(見込み客)」が、グループ内には既に存在している。A社とB社の間に落ちているボールを拾い上げ、繋ぐだけで事業になる。 「検証予算100万円」と言いましたが、このケースでは初期のヒアリングコストがほぼゼロで済みました。「既存事業の資産を使えば、勝率は必然的に高まる」というNEWBのコンセプトを体現できた事例ですね。
2026年の必達目標。「数」ではなく「1,500万円の粗利」を追う
ーー 2025年の手応えを経て、2026年はどのような目標を掲げているのでしょうか?
中村: 2026年の計画として「年間12サービスの検証」という数字を出していますが、実はこれはメインのKPIではありません。 私たちの本当のゴールは、数を打つことではなく、「年間で粗利1,500万円を達成する事業を最低1つ生み出すこと」です。
廣渡: そう、「12個作ること」が目的になってはいけないんです。 前半のフェーズで検証数を増やし、当たる事業が見つかれば、後半はそこにリソースを集中させます。NEWBの目的は「お試し」ではなく、Gaiaxの柱となる収益事業を作ることですから、シビアに数字(利益)を追います。

ーー そのアイデアの源泉はどこにあるのでしょうか?
廣渡: 僕や中村が、普段から投資先の経営会議や各事業部の定例に顔を出していることが大きいです。 情報は会議室に落ちています。「A事業部がここで困っている」「投資先のB社がこんな技術を持て余している」。そういった一次情報に触れていると、「じゃあ、ここを組み合わせれば解決するじゃん」というアイデアが自然と湧いてくる。
中村: NEWBに参画するメンバーにも、そういった「社内の一次情報」にはフルアクセスできるようにしています。 Gaiaxは経営会議の議事録もすべてオープンにしている会社です。PCの前でうんうん唸ってアイデアをひねり出すのではなく、社内にある情報の海に飛び込んで、「勝てるパズル」を組み合わせる。それが2026年、私たちが目指す事業創出のスタイルです。そのため、私たちや私たちの業界と接点がある方にとっては、馴染みのあるマーケットでの事業創出になるので、非常に活躍しやすいと思います。私たちがいる業界周辺で仕事をされていて、もっとチャレンジしたいという方にとってはかなり魅力的だと思います。

既存の仕事では解決できなかったことを、副業スタートであなたが解決できる
ーー 具体的に、どういったフェーズや属性の方に参画してほしいと考えていますか?
中村: 領域としては、私たちが強みを持つ「ソーシャル領域」や「シェアリングエコノミー領域」に関心がある方です。 特に面白いと思っているのが、「同業他社や大企業で、その領域の課題が見えているけれど、会社の事情で動けない人」ですね。
「本当はここを解決すれば顧客のためになるのに、既存事業のしがらみでできない」。そんなジレンマを抱えている人が、副業としてNEWBに来て、Gaiaxのアセットを使ってそのアイデアを実現する。これはお互いにとって最高のマッチングだと思います。
廣渡: 実際に今、VCに勤めながら関わってくれているメンバーがいるのですが、彼はまさにそうです。 大企業では部分的な業務しか任されませんが、NEWBでは「自分が意思決定者」です。 「自分で決めて、すぐに結果が返ってくる手触り感(手応え)」に飢えている人にとっては、最高にエキサイティングな環境だと思います。
ーー 確かに、リスクを抑えながら「事業家としての筋肉」を鍛える場としては最適ですね。
廣渡: 僕からすれば、これほど「いいポジション」はないと思いますよ(笑)。 マーケットの勝ち筋はある程度僕らが見極めているし、使うべきアセット(顧客基盤や技術)も用意されている。 もし事業がうまくいけば、そのまま責任者として持って行ってもいいし、会社を作って社長になってもいい。この条件で挑戦できる場所は、日本中探してもそうそうないはずです。
目指すは「一石二十鳥」。組織のアセットが爆発する未来へ
ーー NEWBが機能した先に、Gaiaxをどのような組織にしていきたいですか?
廣渡: 僕が目指しているのは、「一石二十鳥(いっせきにじっちょう)」の複利が効く事業作りです。 単に一つの事業が儲かるだけではなく、その事業が立ち上がることで、Gaiaxグループ全体の20社、20事業部にメリットが波及するような状態です。
これまでの新規事業は「点」での戦いでしたが、これからは「面」で戦います。A事業部の顧客とB事業部の技術を繋いで、Cという新しい価値を生む。そうやって組織全体が有機的に繋がり、連続的に事業が爆発していく未来を描いています。
中村: 私は、Gaiaxを「挑戦が必然になる場所」にしたいです。 「新規事業=特別な誰かがやるギャンブル」ではなく、組織の仕組みとして当たり前に成功事業が生まれ続ける状態。 NEWBでの経験を通じて、「自分も事業家になれるんだ」と気づく人を一人でも多く増やしたい。そして、ここから生まれた事業が社会のインフラになっていく。そんな未来を本気で信じています。

「運」に頼る起業は、もう終わりにしよう。
ーー 最後に、記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
廣渡: 起業や新規事業は、個人の情熱だけで突っ走ると「運ゲー」になりがちです。でも、組織のアセットを使えば、それは「勝率の高いゲーム」に変わります。 一人で悩んでいるなら、まずは僕らのアセットを使い倒しに来てください。週10時間から、人生を変える挑戦を始めましょう。
中村: 今の環境にモヤモヤしているなら、まずは飛び込んでみてほしいです。 カオスな環境かもしれませんが、私たちが全力でバックアップします。「失敗してもいいから、とにかくバットを振る」。その経験が、あなたのキャリアにとって最強の武器になるはずです。 一緒に、新しい事業の歴史を創りましょう。お待ちしています!



