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小学生でエストニア起業、起業家・井上美奈が13歳になった今ガイアックスとコラボする理由

  • 最終更新: 2022年3月1日

 

田中 嶺吾
こんにちは、ガイアックスで起業ゼミを担当している田中です。
高齢化や人口減少、環境問題など国内や海外の様々な課題を社会で解決していくために何をするべきか。
それは、「既存の枠組みにとらわれないイノベーティブな人たち」を生み出していくことが解決策の一つではないでしょうか。
そのために、固定概念がなく、多感な中高生から社会やビジネスに触れるきっかけをつくること。そうやって未来を見据えた人を多く育てることが非常に重要な観点の一つだと考えています。

ガイアックスでは、2020年7月から中高生を対象とした「起業ゼミ」を実施し、過去2年間で起業ゼミを実施してきた学校の数は10校以上にものぼります。この起業ゼミは、出資判断も伴う実践的な起業家教育プログラムです。中高生から起業やビジネスに触れる機会を設けることで、「起業家」を含めた幅広い進路選択が視野に入るきっかけにもつながり、生徒の事業アイデアを正式に出資対象にすることで、熱意ある学生と事業を共創する機会ともなっています。

>起業ゼミの詳細はこちらから

今回は、兵庫県教育委員会の社会体験活動「トライやる・ウィーク」で、ガイアックスと協働し社会体験講座を提供した、TSUNAGU OÜ CEOの井上美奈(13歳)さんにインタビューをしました。なぜガイアックスとコラボすることになったのか、実際にコラボしてみてどうだったのか、その先にどのような未来を見据えているのか、伺いました。


TSUNAGU OÜ CEO 井上美奈(2008年生まれ/13歳)
TSUNAGU UÖ / CEO、Startup Weekend / オーガナイザー
2019年6月10歳でクラウドファンディングによってエストニアへ渡航し、その時の経験を取り入れたアイデアで同年8月にシンガポールで開かれたEdTech Asiaでピッチを行う。
人のつながりをテーマに子供から高齢の方まで何歳でもどこに住んでいても「誰でも未来に貢献できる」につながるサービスづくりや環境をつくるために、2020年11歳で日本からオンラインでエストニアに法人を設立(登記上の設立者は親権者)、CEOを務める。
参考URL:https://sites.google.com/view/tsunaguou/

ー まずは、自己紹介とこれまでの取り組みについて教えてください。

TSUNAGU OÜ CEOの井上美奈です。「つなぐ」をテーマに何歳でもどこに住んでいても「誰でも未来に貢献できる」をつくりたいと思い、サービスをつくったり、ワークショップを開いています。ワークショップは興味を持ってくださったら0歳からでも100歳を超えていても参加をして頂けるようにしています。それから、日本のいろいろな地域やエストニア、シンガポールやカンボジアなど離れた地域をつなぐようにもしています。年齢の違いは時間の違い、地域の違いは空間の違いなどがあると思うのですが、それぞれの違いを大切にしながら、お互いの考えや知っていることを交換し、それぞれで考えたり、一緒に考えたり、作れるといいなと思っているからです。そしてその一部として、地方自治体や公立の学校に提案を行ったりしています。
2019年2月10歳の時にStartup Weekendという3日間の起業体験イベントに参加をしました。自分で考えたアイデアについて1分ピッチを行いチームになってくださる方を2人以上集めてMVPをつくって、投資家や起業家である審査員の方にプレゼンをする体験を通して、自分でもサービスをつくることができるということと、優勝したチームや私のチームになってくださった大人の方達と自分の違いを知り、自分に足りない部分はたくさんある前提で自分はどんなことで役に立てるのか、自分に大人の方より得意なことがあるかを考えるきっかけとなりました。

それと同時にエストニアでは若い起業家が多いことを知り、起業家、投資家、教育関係の方でつながり続けてくださる方を探しに行ってみたいと思い、起業するなら資金も自分で準備しようとクラウドファンディングを利用したり、自分がエストニアに何をしに来たかと私がエストニアの方たちのためにできることについて資料をつくってエストニアへ行きました。エストニアで出会った方たちから「仲間をつくること」「失敗から学ぶこと」「続けること」の大切さについて教えて頂きました。
エストニアから日本に戻ったその日に参加をしたStartup Weekendで、そのことを取り入れた起案をし、3位と特別賞としてシンガポールで開かれるEdTech Asiaでピッチをする権利を頂き、今度はワークショップを開いた時に頂いた参加費でシンガポールへ行き、そこで知り合った方達ともつながり続けることができるようになりました。

日本では地方に行った時に、そこに住んでいるご家族のお母様から、「東京はいろんな機会があっていいね」と言われたことと、私はその地域には、東京にはななくてその地域にあるものがあってそれもいいなと思っていたことが重なり、それぞれの地域やそれぞれの年齢によって違う良さや課題、それから考え方や知識を交換しながら、自分たちの価値に気がつけるようにできたらいいのではないかと思いました。それが一つのきっかけとなり、2019年の後半からエストニアや日本の地方でもワークショップを開いたり、Covid-19が流行し始めてからはStartup Weekendをリードオーガナイザーとしてオンラインで開催したり、エストニアとシンガポールと日本の地域をつないで自分たちの未来についてアイデアを考えるオンラインのワークショップを開くことにつながりました。

次に、それら活動を通して、日本の地方ではwi-fiの使える環境が少ないことや、オンラインのツールなどに慣れていない方が多くイベントの告知をすること自体も難しい部分があること、子供も大人も高齢の方も起業やシビックテックということ自体に触れる機会が少ないことを知り、2020年の半ばころからは、自治体へデジタル化の提案や、公立の小中学校へ「自分たちが地域に貢献できること」についての授業の提案も行い、いくつかの自治体の方や、公立の学校にご協力を頂いて、つながってくださるところが少しずつ見つかってきたところです。

私が、公立の小中学校の授業として提案をしたのには5つの理由がありました。
1つ目、課題に気がつき、その解決を価値に変えていくという力は、読み書きと同じかそれ以上に誰にでも必要な力だと思っていたものが、10歳の頃に聞いた「東京はいろんな機会があっていいね」という地方に住まれる方の言葉がきっかけで、大きな企業が少ない地域では、特にその力を身につける機会が必要なのではないかと思ったこと。
2つ目、公立の小中学校は日本のいたるところにあり、誰にでも必要な能力を身に着けるための機会を与える学校なので、その中の授業として成立させることで、一部の人ではなく「誰でも」できるにつながると思ったこと。
3つ目、自分のアウトプットに現実の社会からフィードバックを得ることは、次に学ぶことや次にやることをより明確にし、学びがより深く広く加速すると感じていたこと。
4つ目、地域や家庭の差によって生じるそれぞれの課題をそれぞれが自分たちで解決しサスティナブルな状態をつくりやすくなると思ったこと。
5つ目、公立の学校は税金や地域の協力の中で成立しているので、生徒自身も地域や社会の課題の解決に貢献できるよう考えることで、長期的な還元だけでなく、短期的にも社会に還元できるのようになり、地域も一緒に成長できる環境がつくれると思ったこと。
この5つがありました。

やり始めてみたら、簡単には進められないこともよくわかってきたのですが、提案をし続けて少しずつつながってくださる方がみつかってきた頃に、自分のサービスをつくるために知り合いの方から教えて頂いたガイアックスさんのイベントに参加をし、あとでガイアックスのサイトをみていたら偶然中高生向けの「起業ゼミ」をされていることを見つけたのは運が良かったです。

ー どのような経緯で、ガイアックスと協働することになったのですか?

私自身がつくろうとしているサービスのブラッシュアップのために参加をしたイベントの一つにガイアックスが主催されるオンラインイベントもありました。参加をした後でガイアックスのサイトを見ていると、中学校や高校での起業ゼミが行われていることを見つけました。私は公立の小中学校に提案をして、少しずつつながってくださる学校や自治体が増え始めてきていたところだったので、やっていることややりたいことを説明して、こういうことができませんかと聞いてみました。

現実の社会からのフィードバックを得ることの重要性という共通する意識があったことやガイアックスの起業ゼミは、私が提案をしていた授業の内容より絞られて精度が高く、授業を受けてくださる生徒の皆さんの成果につながりやすいと思ったからです。私は、成功確率をあげると言われているフレームワークや考え方は、「成功」を何と考えるかということもあるし、それをやれば必ず成功するとか、それに沿わないものは必ず失敗するというものではないと思うのですが、それはそうとしても、それらのフレームワークや考え方を理解したり活用した上でどう考えるかということは大切で、仮説と検証を繰り返す中で考えを整理し直したり、自分の思いこみではないかということを確認するためにもとてもいい指標になると思っています。ガイアックスは、起業家に対するインタビューや実際の経験やデータを蓄積して、整理されていて、重要なポイントを誰でも理解しやすいように説明できるように工夫をして組み立てられています。そして、この公立の小中学校での授業をつくるために、それらを惜しみなく共有してくださって、私も分かりやすくて考えやすかったことがあります。

それから、後で知ったのですがガイアックスさんでは、年齢が小さいものの意見を取り入れるというのが社風としてあるそうで、今回の取り組みについても「公立の学校での実施は現状だとハードルが高いため、学校外でやってはどうか」という意見も出してくださりつつも、私が公立の学校で実施をしたいと思った理由を理解し、学校や自治体からやりましょうというお返事を頂けるまで待ってくださったのもとてもありがたかったです。

ー 実際に兵庫県養父市のトライやるウィークや男木小中学校で、ガイアックスと起業ゼミを実施して、いかがでしたか?

まずは、いろんな方が協力をしてくださって公立の学校での授業を実現できたことは、ありがたいなと思いました。自治体や公立の学校で、新しく何かをやるということは、技術的にはできても、前例がないことはできない、中学生は勉強や部活で忙しい、小学生には難しいのでないか、学校の授業はすでに予定がいっぱいで消化するだけでも大変など、様々な理由があるなる中で難しいと思われることが多いと思います。なので、実際に授業として生徒の方に実践をして頂ける機会ができたことは本当にありがたいなと思いました。

養父市の中学校と高松市の男木小中学校ではやり方が違うのですが、生徒が考えた課題のために、地域の企業の方が街にヒヤリングに連れて行ってくださったり、先生が漁港にヒヤリングに連れて行ってくださって、そのヒヤリングからその課題の必要性を確信したり、反対に予想していなかった事実や新しい課題が見つかったこともよかったですし、やってみた生徒の方から、「思ったよりうまくできた」、「人の役に立つものを考えるのは難しいということを知った」、「僕の人生も変わってくるかもしれない」など、それぞれの実感として感想を頂けたこともうれしかったです。

それから、授業を進める中で新しく気がついたことがあったのもよかったです。
生徒の方が見つけてきた課題についてヒヤリングをする中で、「この課題で行くと、法律的に規制があるから小学生には難しくなるので課題を変える必要がある」、「混乱して疲れてきているから、もっとやりやすい課題に変えたほうがいい」、「成功体験で自信をもたせたい」という意見もでてきて、私はなんとなく違和感を感じました。それらの理由は課題を変えたりピボットする理由にもならないし、学びという意味でも課題を変える理由にはならないと思い、違和感があると感じたのだと思います。

例えば、その規制は、なぜできたのか、今でも本当に意味がある規制なのかを調べたり確認をして、必要な規制であればそれはそれとして次の方法を考えてもいいし、必要のない規制だということがわかったらそれを変えるために必要な人を探してアクションを起こすということも考えられます。まずは整理してできる方法をできるだけ考えて、その上でやるかやらないかを考えてからの変更でもいいと思うからです。それから、混乱についても私は悪いこととは思っていなくて、混乱をしてそれを整理すると新しい考え方に気がつくこともあるので、生徒が混乱しているからとすぐに課題を変更するのではなくて、一度深呼吸をして全体を整理してみるといいと思いました。誰かの役に立つことは、簡単ではないこともあるので、頭も体も使って疲れることもあるのですけど、その中で自分がやり続けられるペースややり方を見つけることも意味があると思います。

私は、小学生でも「子供にはそれは難しいから難易度を下げてやらせよう」と勝手に制約をつけるより、何が難しいのかを整理してできるところまでやりきってみる方がいいと思っています。それから、この授業で何を「成功」とするかについても、「話題になっている課題に最新の解決方法で取り組んで、多くの人に認めてもらえる」でなくてもよくて、「やりやすい課題を提供して成功体験をさせる」でなくてもいいと思っています。普段の生活や自分がアクセスできる情報源からそれぞれが思う強い課題に気がついて、仮説を立ててアクションと検証を繰り返して、何がわかったか、次に何を調べたり学んだり実行する必要があるかを考えることを繰り返して、できるところまでやりきってそれを発表をするでもいいと思います。出資を受けられるところまでたどり着いて、その解決方法がいろんな方に使って頂けるようになるとそれは一番いいのですが、授業の中でそこまでたどり着かなくても、途中で混乱したり難しいなと思いながら整理して進める力がついて、進み続けられるようになるとそれはそれで「成功」でもあるし、この解決方法はよくなかったと気がつくことも一個の「成功」でもあるし、突破できる場所を見つけながら進み続けた先にいいものができるとそれも「成功」だと思うのです。

参考リンク:
ガイアックス、兵庫県教育委員会の社会体験活動「トライやる・ウィーク」に参画し、起業体験講座を提供 〜井上美奈(13歳)がCEOを務めるTSUNAGU OÜと協働~
GAIAX STARTUP STUDIO 起業ゼミ

ー 最後に、今後の展望について教えてください。

展望というような大きなものではないのですが、最初に話した「つなぐ」をテーマに何歳でもどこに住んでいても「誰でも未来に貢献できる」をつくりたいと思ってやっています。

公立の小中学校での取り組みもその一部で、それも広げていきたいと思っています。それから、学生に限らずもっと小さい方や大人の方、高齢の方たちとも、また、いろんな地域にいらっしゃる方たちとも、それぞれの考えや経験、いろんな違いを大切にしながら一緒に未来をつくっていけるようにしたいと思っています。そのために、今も何個か進めていることがあるのですが、何歳でもどこに住んでいても誰でも参加でき、それぞれの課題を解決する方法を考えて発表するテクノロジーフェスティバルの準備をしているので、まずはそれをやること、それからサービスを完成させること、その次のことはこれを進めている途中にまた決まってくる気がしています。今も気になっていることは何個かあるのですが、一つずつ進めていけたらいいなと思っています。

中高生を対象とした、出資判断も伴う実践的な起業家教育プログラムです。中高生から起業やビジネスに触れる機会を設けることで、「起業家」を含めた幅広い進路選択が視野に入るきっかけにもつながり、生徒の事業アイデアを正式に出資対象にすることで、熱意ある学生と事業を共創する機会ともなっています。

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STARTUP CAFEではアイデアの壁打ちや無料での相談はもちろん、優れた事業アイデアには2000万円の出資支援も。起業ゼミでは起業するために必要なステップをレクチャーしています。

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Reigo.tanaka
2000年生まれ。2019年創業1年目のスタートアップに入社。ECアパレル事業や採用支援事業の立ち上げに参画。2020年10月にガイアックスへ入社。ポテンシャル採用や事業部・投資先の採用支援に携わった後、「ガイアックス起業ゼミ」を担当。
スタートアップスタジオスタートアップスタジオ事業部起業ゼミ起業支援
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  • 最終更新: 2022年3月1日

 

田中 嶺吾
こんにちは、ガイアックスで起業ゼミを担当している田中です。
高齢化や人口減少、環境問題など国内や海外の様々な課題を社会で解決していくために何をするべきか。
それは、「既存の枠組みにとらわれないイノベーティブな人たち」を生み出していくことが解決策の一つではないでしょうか。
そのために、固定概念がなく、多感な中高生から社会やビジネスに触れるきっかけをつくること。そうやって未来を見据えた人を多く育てることが非常に重要な観点の一つだと考えています。

ガイアックスでは、2020年7月から中高生を対象とした「起業ゼミ」を実施し、過去2年間で起業ゼミを実施してきた学校の数は10校以上にものぼります。この起業ゼミは、出資判断も伴う実践的な起業家教育プログラムです。中高生から起業やビジネスに触れる機会を設けることで、「起業家」を含めた幅広い進路選択が視野に入るきっかけにもつながり、生徒の事業アイデアを正式に出資対象にすることで、熱意ある学生と事業を共創する機会ともなっています。

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今回は、兵庫県教育委員会の社会体験活動「トライやる・ウィーク」で、ガイアックスと協働し社会体験講座を提供した、TSUNAGU OÜ CEOの井上美奈(13歳)さんにインタビューをしました。なぜガイアックスとコラボすることになったのか、実際にコラボしてみてどうだったのか、その先にどのような未来を見据えているのか、伺いました。


TSUNAGU OÜ CEO 井上美奈(2008年生まれ/13歳)
TSUNAGU UÖ / CEO、Startup Weekend / オーガナイザー
2019年6月10歳でクラウドファンディングによってエストニアへ渡航し、その時の経験を取り入れたアイデアで同年8月にシンガポールで開かれたEdTech Asiaでピッチを行う。
人のつながりをテーマに子供から高齢の方まで何歳でもどこに住んでいても「誰でも未来に貢献できる」につながるサービスづくりや環境をつくるために、2020年11歳で日本からオンラインでエストニアに法人を設立(登記上の設立者は親権者)、CEOを務める。
参考URL:https://sites.google.com/view/tsunaguou/

ー まずは、自己紹介とこれまでの取り組みについて教えてください。

TSUNAGU OÜ CEOの井上美奈です。「つなぐ」をテーマに何歳でもどこに住んでいても「誰でも未来に貢献できる」をつくりたいと思い、サービスをつくったり、ワークショップを開いています。ワークショップは興味を持ってくださったら0歳からでも100歳を超えていても参加をして頂けるようにしています。それから、日本のいろいろな地域やエストニア、シンガポールやカンボジアなど離れた地域をつなぐようにもしています。年齢の違いは時間の違い、地域の違いは空間の違いなどがあると思うのですが、それぞれの違いを大切にしながら、お互いの考えや知っていることを交換し、それぞれで考えたり、一緒に考えたり、作れるといいなと思っているからです。そしてその一部として、地方自治体や公立の学校に提案を行ったりしています。
2019年2月10歳の時にStartup Weekendという3日間の起業体験イベントに参加をしました。自分で考えたアイデアについて1分ピッチを行いチームになってくださる方を2人以上集めてMVPをつくって、投資家や起業家である審査員の方にプレゼンをする体験を通して、自分でもサービスをつくることができるということと、優勝したチームや私のチームになってくださった大人の方達と自分の違いを知り、自分に足りない部分はたくさんある前提で自分はどんなことで役に立てるのか、自分に大人の方より得意なことがあるかを考えるきっかけとなりました。

それと同時にエストニアでは若い起業家が多いことを知り、起業家、投資家、教育関係の方でつながり続けてくださる方を探しに行ってみたいと思い、起業するなら資金も自分で準備しようとクラウドファンディングを利用したり、自分がエストニアに何をしに来たかと私がエストニアの方たちのためにできることについて資料をつくってエストニアへ行きました。エストニアで出会った方たちから「仲間をつくること」「失敗から学ぶこと」「続けること」の大切さについて教えて頂きました。
エストニアから日本に戻ったその日に参加をしたStartup Weekendで、そのことを取り入れた起案をし、3位と特別賞としてシンガポールで開かれるEdTech Asiaでピッチをする権利を頂き、今度はワークショップを開いた時に頂いた参加費でシンガポールへ行き、そこで知り合った方達ともつながり続けることができるようになりました。

日本では地方に行った時に、そこに住んでいるご家族のお母様から、「東京はいろんな機会があっていいね」と言われたことと、私はその地域には、東京にはななくてその地域にあるものがあってそれもいいなと思っていたことが重なり、それぞれの地域やそれぞれの年齢によって違う良さや課題、それから考え方や知識を交換しながら、自分たちの価値に気がつけるようにできたらいいのではないかと思いました。それが一つのきっかけとなり、2019年の後半からエストニアや日本の地方でもワークショップを開いたり、Covid-19が流行し始めてからはStartup Weekendをリードオーガナイザーとしてオンラインで開催したり、エストニアとシンガポールと日本の地域をつないで自分たちの未来についてアイデアを考えるオンラインのワークショップを開くことにつながりました。

次に、それら活動を通して、日本の地方ではwi-fiの使える環境が少ないことや、オンラインのツールなどに慣れていない方が多くイベントの告知をすること自体も難しい部分があること、子供も大人も高齢の方も起業やシビックテックということ自体に触れる機会が少ないことを知り、2020年の半ばころからは、自治体へデジタル化の提案や、公立の小中学校へ「自分たちが地域に貢献できること」についての授業の提案も行い、いくつかの自治体の方や、公立の学校にご協力を頂いて、つながってくださるところが少しずつ見つかってきたところです。

私が、公立の小中学校の授業として提案をしたのには5つの理由がありました。
1つ目、課題に気がつき、その解決を価値に変えていくという力は、読み書きと同じかそれ以上に誰にでも必要な力だと思っていたものが、10歳の頃に聞いた「東京はいろんな機会があっていいね」という地方に住まれる方の言葉がきっかけで、大きな企業が少ない地域では、特にその力を身につける機会が必要なのではないかと思ったこと。
2つ目、公立の小中学校は日本のいたるところにあり、誰にでも必要な能力を身に着けるための機会を与える学校なので、その中の授業として成立させることで、一部の人ではなく「誰でも」できるにつながると思ったこと。
3つ目、自分のアウトプットに現実の社会からフィードバックを得ることは、次に学ぶことや次にやることをより明確にし、学びがより深く広く加速すると感じていたこと。
4つ目、地域や家庭の差によって生じるそれぞれの課題をそれぞれが自分たちで解決しサスティナブルな状態をつくりやすくなると思ったこと。
5つ目、公立の学校は税金や地域の協力の中で成立しているので、生徒自身も地域や社会の課題の解決に貢献できるよう考えることで、長期的な還元だけでなく、短期的にも社会に還元できるのようになり、地域も一緒に成長できる環境がつくれると思ったこと。
この5つがありました。

やり始めてみたら、簡単には進められないこともよくわかってきたのですが、提案をし続けて少しずつつながってくださる方がみつかってきた頃に、自分のサービスをつくるために知り合いの方から教えて頂いたガイアックスさんのイベントに参加をし、あとでガイアックスのサイトをみていたら偶然中高生向けの「起業ゼミ」をされていることを見つけたのは運が良かったです。

ー どのような経緯で、ガイアックスと協働することになったのですか?

私自身がつくろうとしているサービスのブラッシュアップのために参加をしたイベントの一つにガイアックスが主催されるオンラインイベントもありました。参加をした後でガイアックスのサイトを見ていると、中学校や高校での起業ゼミが行われていることを見つけました。私は公立の小中学校に提案をして、少しずつつながってくださる学校や自治体が増え始めてきていたところだったので、やっていることややりたいことを説明して、こういうことができませんかと聞いてみました。

現実の社会からのフィードバックを得ることの重要性という共通する意識があったことやガイアックスの起業ゼミは、私が提案をしていた授業の内容より絞られて精度が高く、授業を受けてくださる生徒の皆さんの成果につながりやすいと思ったからです。私は、成功確率をあげると言われているフレームワークや考え方は、「成功」を何と考えるかということもあるし、それをやれば必ず成功するとか、それに沿わないものは必ず失敗するというものではないと思うのですが、それはそうとしても、それらのフレームワークや考え方を理解したり活用した上でどう考えるかということは大切で、仮説と検証を繰り返す中で考えを整理し直したり、自分の思いこみではないかということを確認するためにもとてもいい指標になると思っています。ガイアックスは、起業家に対するインタビューや実際の経験やデータを蓄積して、整理されていて、重要なポイントを誰でも理解しやすいように説明できるように工夫をして組み立てられています。そして、この公立の小中学校での授業をつくるために、それらを惜しみなく共有してくださって、私も分かりやすくて考えやすかったことがあります。

それから、後で知ったのですがガイアックスさんでは、年齢が小さいものの意見を取り入れるというのが社風としてあるそうで、今回の取り組みについても「公立の学校での実施は現状だとハードルが高いため、学校外でやってはどうか」という意見も出してくださりつつも、私が公立の学校で実施をしたいと思った理由を理解し、学校や自治体からやりましょうというお返事を頂けるまで待ってくださったのもとてもありがたかったです。

ー 実際に兵庫県養父市のトライやるウィークや男木小中学校で、ガイアックスと起業ゼミを実施して、いかがでしたか?

まずは、いろんな方が協力をしてくださって公立の学校での授業を実現できたことは、ありがたいなと思いました。自治体や公立の学校で、新しく何かをやるということは、技術的にはできても、前例がないことはできない、中学生は勉強や部活で忙しい、小学生には難しいのでないか、学校の授業はすでに予定がいっぱいで消化するだけでも大変など、様々な理由があるなる中で難しいと思われることが多いと思います。なので、実際に授業として生徒の方に実践をして頂ける機会ができたことは本当にありがたいなと思いました。

養父市の中学校と高松市の男木小中学校ではやり方が違うのですが、生徒が考えた課題のために、地域の企業の方が街にヒヤリングに連れて行ってくださったり、先生が漁港にヒヤリングに連れて行ってくださって、そのヒヤリングからその課題の必要性を確信したり、反対に予想していなかった事実や新しい課題が見つかったこともよかったですし、やってみた生徒の方から、「思ったよりうまくできた」、「人の役に立つものを考えるのは難しいということを知った」、「僕の人生も変わってくるかもしれない」など、それぞれの実感として感想を頂けたこともうれしかったです。

それから、授業を進める中で新しく気がついたことがあったのもよかったです。
生徒の方が見つけてきた課題についてヒヤリングをする中で、「この課題で行くと、法律的に規制があるから小学生には難しくなるので課題を変える必要がある」、「混乱して疲れてきているから、もっとやりやすい課題に変えたほうがいい」、「成功体験で自信をもたせたい」という意見もでてきて、私はなんとなく違和感を感じました。それらの理由は課題を変えたりピボットする理由にもならないし、学びという意味でも課題を変える理由にはならないと思い、違和感があると感じたのだと思います。

例えば、その規制は、なぜできたのか、今でも本当に意味がある規制なのかを調べたり確認をして、必要な規制であればそれはそれとして次の方法を考えてもいいし、必要のない規制だということがわかったらそれを変えるために必要な人を探してアクションを起こすということも考えられます。まずは整理してできる方法をできるだけ考えて、その上でやるかやらないかを考えてからの変更でもいいと思うからです。それから、混乱についても私は悪いこととは思っていなくて、混乱をしてそれを整理すると新しい考え方に気がつくこともあるので、生徒が混乱しているからとすぐに課題を変更するのではなくて、一度深呼吸をして全体を整理してみるといいと思いました。誰かの役に立つことは、簡単ではないこともあるので、頭も体も使って疲れることもあるのですけど、その中で自分がやり続けられるペースややり方を見つけることも意味があると思います。

私は、小学生でも「子供にはそれは難しいから難易度を下げてやらせよう」と勝手に制約をつけるより、何が難しいのかを整理してできるところまでやりきってみる方がいいと思っています。それから、この授業で何を「成功」とするかについても、「話題になっている課題に最新の解決方法で取り組んで、多くの人に認めてもらえる」でなくてもよくて、「やりやすい課題を提供して成功体験をさせる」でなくてもいいと思っています。普段の生活や自分がアクセスできる情報源からそれぞれが思う強い課題に気がついて、仮説を立ててアクションと検証を繰り返して、何がわかったか、次に何を調べたり学んだり実行する必要があるかを考えることを繰り返して、できるところまでやりきってそれを発表をするでもいいと思います。出資を受けられるところまでたどり着いて、その解決方法がいろんな方に使って頂けるようになるとそれは一番いいのですが、授業の中でそこまでたどり着かなくても、途中で混乱したり難しいなと思いながら整理して進める力がついて、進み続けられるようになるとそれはそれで「成功」でもあるし、この解決方法はよくなかったと気がつくことも一個の「成功」でもあるし、突破できる場所を見つけながら進み続けた先にいいものができるとそれも「成功」だと思うのです。

参考リンク:
ガイアックス、兵庫県教育委員会の社会体験活動「トライやる・ウィーク」に参画し、起業体験講座を提供 〜井上美奈(13歳)がCEOを務めるTSUNAGU OÜと協働~
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ー 最後に、今後の展望について教えてください。

展望というような大きなものではないのですが、最初に話した「つなぐ」をテーマに何歳でもどこに住んでいても「誰でも未来に貢献できる」をつくりたいと思ってやっています。

公立の小中学校での取り組みもその一部で、それも広げていきたいと思っています。それから、学生に限らずもっと小さい方や大人の方、高齢の方たちとも、また、いろんな地域にいらっしゃる方たちとも、それぞれの考えや経験、いろんな違いを大切にしながら一緒に未来をつくっていけるようにしたいと思っています。そのために、今も何個か進めていることがあるのですが、何歳でもどこに住んでいても誰でも参加でき、それぞれの課題を解決する方法を考えて発表するテクノロジーフェスティバルの準備をしているので、まずはそれをやること、それからサービスを完成させること、その次のことはこれを進めている途中にまた決まってくる気がしています。今も気になっていることは何個かあるのですが、一つずつ進めていけたらいいなと思っています。

中高生を対象とした、出資判断も伴う実践的な起業家教育プログラムです。中高生から起業やビジネスに触れる機会を設けることで、「起業家」を含めた幅広い進路選択が視野に入るきっかけにもつながり、生徒の事業アイデアを正式に出資対象にすることで、熱意ある学生と事業を共創する機会ともなっています。

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2000年生まれ。2019年創業1年目のスタートアップに入社。ECアパレル事業や採用支援事業の立ち上げに参画。2020年10月にガイアックスへ入社。ポテンシャル採用や事業部・投資先の採用支援に携わった後、「ガイアックス起業ゼミ」を担当。
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