Skip to content

大学公認の「起業部」から学生が挑戦しやすい環境を、広島大学と地域の新たな挑戦

  • 最終更新: 2023年11月9日

こんにちは!『価値が育つ環境をつくる』をライフミッションにしていますミノです。私が今、気になっているテーマといえば、2020年に発表される日本のスタートアップ拠点がどこになるかということです(まじめ!)
政府は、スタートアップ企業が集積する「拠点都市」を2~3カ所選び、規制緩和や起業家、投資家の招致などで集中的に支援することを宣言しました。東京が選ばれることはほぼ確実だと思いますが、他2地域はどこになるのか?産業の変化を迫られる地方にとって、イノベーションが起きやすい環境を手に入れることは必要不可欠。間違いなく、各地方の関係者は血眼になって情報収集戦線に参加しているのではと思います。
そんな視点で私が、各地域を眺めてみると、広島県の取り組みが色々なところで目に入ってきました。広島県知事の湯﨑英彦氏が元起業家であることもあり、他の地域に先駆けて本格的な取り組みをスタートしています。
ガイアックス2019年新卒の中村くんが広島出身であるというご縁から、スタートアップスタジオでは、アカデミックな分野で社会問題の解決を目指す広島大学さんに取材させていただくことができました。ぜひ、なかなか伺えない大学からの視点で、地域のスタートアップ戦略についてお伝えできればと思います。

こんにちは!『価値が育つ環境をつくる』をライフミッションにしていますミノです。ガイアックス2019年新卒の中村くんが広島出身であるというご縁で、スタートアップスタジオでは、アカデミックな分野で社会問題の解決を目指す広島大学さんに取材させていただくことができました。
なかなか伺えない大学からの視点で、地域のスタートアップ戦略についてお伝えできればと思います。

広島大学と地域の新たな挑戦

今回お話を伺ったのは
・広島大学 学術・社会連携室 産学共創プロジェクトマネージャー 奥原啓輔さん
・東広島市 産業振興課 産業イノベーション担当参事 山崎弘学さんです。

スタートアップ都市としても注目されている広島。そのムーブメントを作られている広島県東広島市のお二人に、ガイアックス代表の上田が取材させていただきました。
上田:広島大学としての取り組みを教えて下さい。
奥原: 2001年に経済産業省から「大学発ベンチャー1000社計画」が発表されて以降、広島大学でも大学発のスタートアップ支援をしています。
これまで、60社ほどが立ち上がり、「株式会社フェニックスバイオ」のように上場まで達成する事例も出ています。
広島大学が提供するスタートアップ支援策には大きく4つあります。
まず一つは、インキュベージョン施設としてのオフィスの提供です。
2つ目は、スタートアップが、大学の知的財産を利用する際に、ライセンス料の軽減措置を行うことです。その代わり、スタートアップからストックオプション(新株予約権)を取得することもあります。
そして3つ目は、大学の教員がスタートアップの役員として起業することを認めています。大学の本業は教育・研究ですが、教員たちは、研究成果を活用するためという目的であれば、兼業という形で起業できるようにしています。このような兼業の仕組みがある大学は、あまり多くないかもしれません。
最後4つ目は、産学官連携によるスタートアップ支援体制の充実です。
資料にもあるように、新たな産業・事業者の創出に向けた取り組みを行うため、広島県と広島大学が中心となり5者で協定を結び、各団体の持つ人材・資金・情報を集積してサポートできるような体制を整備しました。このような取組みもあり、広島大学の学生が国内の大きなビジネスコンテストで数々の賞を受賞するなど、少しずつ実績が出てきています。

(出展:奥原氏提供資料より抜粋)
上田:なるほど!大学として学生や教員が新しい挑戦をしやすいように環境を整えられているんですね。
今までの実績をもう少し伺ってもいいでしょうか?
奥原:
はい、例えば、バイオテクノロジーの分野では、最近、ゲノム編集研究のトップランナー・山本卓教授の研究成果をベースに「プラチナバイオ株式会社」が設立されましたが、これには私も経営者として関わっています。起業するまでの間に、JST・社会還元加速プログラム(SCORE)、東京都のBlockBusterTokyo、ひろしまベンチャー助成金など、様々なアクセラレーションプログラムからの支援を受けています。https://www.pt-bio.com/
また、学生を対象とした国内最大級のビジネスコンテスト「キャンパスベンチャーグランプリ(cvg)」では、当時、博士課程の学生だった北村拓也さんが、「サイバーセキュリティーの体型学習アプリ『Cyship』」で、経済産業大臣賞、ビジネス大賞、TOMODACHI賞、JVCA賞を受賞しています。
その他、NEDOと広島大学は、起業家支援に関する相互協力の覚書を締結しています。
このように、大学が、国や地元自治体との連携体制を組んでおくことで、スタートアップの成長に必要な「ヒト・モノ・カネ」を確保しながら、ビジネスプランを育てることができるのです。
例えば、JST・大学発新産業創出プログラム(START)では、年間3000万円の研究開発費をもらい、事業プロモーター(VC)からハンズオン支援を受けながら、ビジネスプランをブラッシュアップすることができます。
今後は、東広島市とも連携し「国際拠点都市の拠点」を整備するなど、スタートアップ支援の取組みをさらに深化していきたいと考えています。

上田:ありがとうございます!しっかりと国や地域とのパイプづくりをされているのですね!色々なメディアを拝見してみても、広島大学から勢いのあるスタートアップが輩出されているように見えます。どのような取組みの成果だと考えられていますか?
奥原: 最近は、起業を目指す学生や若者が増えてきており、それを受けて、大学や自治体のスタートアップ支援の輪が少しずつ広がってきていると感じています。
注意したいのは、大学のスタンスとしては、学生が起業するように引っ張っていくのではなく、あくまでも、学生の主体的な行動を応援する、挑戦しやすい環境整備をするということです。
例えば、大学の近くには、尖った学生たちが集まるコミュニティカフェ「OluOlucafe」があります。広島大学の在学生は1万6000人位いますが、その中で、特に何かの活動を熱心にしている学生が、自発的にコミュニティを作りはじめています。

ある学生が、面白い学生を紹介するイベントを企画すると、すぐに20名が集まり、その参加者もツワモノ揃いだったと聞きました。学生たちのパワーが沸々と湧いて、今にも爆発しそうな機運を感じています。
しかし、このような活動を大学がすべて把握しているわけでは有りません。まだまだ、見えていないところで面白い学生たちが自主的に活動している状況です。
そんな中で、大学院を修了した北村さんが特任助教になり、広島大学起業部「1st Penguin Club (ファーストペンギンクラブ)」の活動をスタートさせました。北村さんが率いる学生たちが活動主体となり、経営者たち社会人10人がメンター(指導者)としてゼミを開き、「夢に挑戦する活動」を支援していきます。
東広島市:
市内には4つの大学が立地しているため、行政としても学生がチャレンジしやすい場づくりに取り組むことは不可欠です。しかし、ここで「チャレンジ」=「起業」だけではなく、学生さんのいろいろな選択肢を活かすサポートが大切だと考えています。卒業して一旦首都圏で就職し、大きな経験を積んだ後、広島に帰ってきて立派な事業を興してくれる学生さんもいるかも知れない。
起業する学生さんもそうでない学生さんも、新しいこと(夢)に挑戦したい志を持つ人であれば、我々(行政)が一緒に未来を構想できる場として「東広島イノベーションラボ ミライノ+」をこの11月に開設しました。
・・・・・・・・・・・・・
上田:なるほど。最後にこれから広島県で挑戦したいと思う方へのメッセージをいただけますか?
奥原:はい。起業は選択肢の一つになると思いますが、それをすべての学生に勧めるわけでは有りません。起業するまでも、起業した後も、本当に色々なことを経験し苦労を重ねることになります。起業にはそれ相応の覚悟が必要ですが、それでも本当にやりたいと思う学生がいるなら、全力で応援したいと思っています。

また、大学を卒業してすぐ起業でなくても、社会人経験を積んでから挑戦する形があっても良いと思います。実際に、わたし自身も色々な仕事を経験した後、42歳でスタートアップに挑戦しています。起業のタイミングは人それぞれで良いと思っています。

(写真:東広島イノベーションラボ ミライノ+より)
東広島市:山崎さん
同じようなメッセージで恐縮ですが、起業はファッションのように一時の流行に乗るような軽い気持ちで始めてもうまくいかないのではないかと思います。誰もが成功するわけでもないですし、見えない部分で様々な苦労や葛藤もあるでしょう。挑戦するには相応の覚悟が必要です。
一方で、これからの時代は、大企業でも倒産やリストラもあり安泰ではありませんし、働く意味を見出せず辞めていく若者も多いですよね。そんな世の中を見ている学生さんのキャリアに対する価値観が揺らいでいることは間違いないでしょう。だからこそ、企業で働く以外の選択肢を持てるようにしておくこと、生きる軸を複数持っておくことは良いことだと思います。もし、起業に挑戦したいという人がいらっしゃいましたら、今年度、本市の新たな取り組みとして『起業道場』というスタートアップ育成プロジェクトを開催しておりますので、ぜひ、ご入門のほど、よろしく願いします。(笑)

(画像:Facebookより)
上田:ありがとうございます!
広島大学さんとしては、今後広島を拠点にスタートアップであったり、地元産業のイノベーションのハブになって行くスタートアップスタジオとしての機能を持たれている印象をうけました。
ガイアックスは、「人と人をつなげて社会にインパクトを与える」ためのスタートアップスタジオです。
このように、これからも新しい社会課題に対して、若い世代がそれを解決するアイデアを持つ。それを仲間とともにビジネスという手段で解決していくことが、よりやりやすくなっていけばと思っています。
そういう意味で、広島大学さんも、ガイアックスもスタートアップスタジオとして、今後も連携できると嬉しいなと思いました。
今日は、貴重なお時間をありがとうございました。ぜひ、今後ともそのような未来の実現に向かって、よろしくおねがいします!
スタートアップスタジオ編集後記
ガイアックスは、「人と人をつなげる」のミッション実現のため、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミーに注力し、社会課題の解決を目指すスタートアップスタジオです。
学生から起業を考えている方、30手前で起業を検討している方など様々なメンバーが集まっています。ぜひ、気になる方は以下SNSをフォローください
Twitter :https://twitter.com/gxstartup
※追記:

「これからの日本をつくる100の働くをみつける」ためのアワードである、Work Story Award 2019で、中村くんが、以下賞を受賞しました!(パチパチ〜!)
テーマ部門賞 (9 . 働く場 所 ・ 環 境)
受賞者:ソーシャルメディア事業部 中村優
内容:「東京の企業に勤めながら広島に地域貢献。新卒でフルリモートを選んだエンジニアの挑戦」

中村くんのブログはこちらから


関連記事
Back To Top