「人と人をつなげる(Empowering the people to connect)」──ガイアックスが創業以来かかげてきたミッションです。人の思いと思いがつながったとき、社会は互いに自然と助け合う場所へと変わっていく。その信念のもとで、私たちはこれまで、使われずに眠っていた場所や時間を、人と人とのつながりの力で新たに生かし直す事業を、日本で先駆けて育ててきました。
その「つなぐ」挑戦は、文化財という新しい舞台へと広がっています。所有者の家族や地域だけでは守りきれなくなった一棟の古民家を、国境を越えた人々が共同で所有し、ともに再生していく。そこに集まった人たちは、「投資家」である以上に、地域と歴史に寄り添う「仲間」でした。2026年初夏、新潟県・佐渡島でひらかれた二日間の滞在(ステイオーバー)は、その新しい関わり方を、いちばん近くで感じられる時間になりました。
日本各地には、所有者の家族や地域だけでは維持しきれなくなった、それでも後世に残していきたい大切な文化財があります。古い民家や商家、寺社、蔵 ── 長い時間をかけて受け継がれてきた建物の多くが、いま静かに失われようとしています。
そんな建物の保全や維持に、自分のお金を出し、わざわざ現地まで駆けつけてくれる人が、日本にも、そして世界中にもいることをご存じでしょうか。移住するわけでも、一度きりの観光で消費するわけでもない ── 地域と継続的に関わり、その担い手になっていく。いま地方創生の現場で「関係人口」と呼ばれる、この第三の関わりしろを、ガイアックスのカーブアウト企業「株式会社Planet Labs(プラネットラボズ)」は文化財という舞台でつくろうとしています。今回は、そんな人たちが新潟県・佐渡島に集まった二日間の様子をお届けします。

舞台は、江戸時代から約350年続いた医家・北條家住宅(国指定重要文化財/登録有形文化財/金井地区泉)。その住宅は敷地内に5棟の建物があり、主屋が国指定重要文化財、長屋門をはじめ、味噌蔵、家財蔵、米蔵は国登録有形文化財に指定されています。歴史的価値が高い一方で、所有する北條家の当主らには、修繕や維持管理の費用が負担になっていることから、蔵を中心に宿泊や体験交流施設に整備活用するプロジェクトが2025年10月から進んでいます。

使われていない資産や時間を人とのつながりで生かし直すシェアリングエコノミーにガイアックスは日本で先駆けて注力してきました。その延長線上で、世界中の人が一棟の文化財を共同で所有し、ともに再生していくという、これまでにない関わり方に取り組んでいます。
ここで大切にしているのは、文化財を「誰かが守ってくれるもの」から「自分たちで残し、育てるもの」へと捉え直すことです。共同所有者は「お客さん」ではなく、どう再生し、どう活かしていくかを一緒に考える当事者になる。国境を越えた仲間と地域住民がフラットに話し合いながら決めていく ── 共同所有とは、その当事者を世界中にふやし、自分ごとの輪を広げていく営みそのものです。
そして、想いだけでは建物は残りません。補助金や一度きりの善意に頼るのではなく、宿泊・体験施設として事業を回しながら文化を守る。「残すために、育て、稼ぐ仕組みをつくる」。この持続可能性への挑戦こそ、数々の事業を生み出してきた私たちらしい地方創生のかたちだと考えています。
日本人も外国人も同じ食卓を囲み、同じ建物に泊まり、自然や歴史を学びながら未来を語り合う。インバウンドのあり方が問われるいまの時代にこそ、想いが国境を越えて人と人、人と地域をつなぎ、これほど豊かな関わり方を生み出せるのだと、あらためて気づかされる取り組みです。私たちが信じる「人と人をつなげる」価値は、こうして文化を未来へ手渡す現場にも、たしかに息づいています。

ステイオーバーの報告 ── 海を越えて、佐渡へ
PlanetDAOでは、投資が集まったあと、修復工事が始まる前の建物に共同オーナーや関係者が集まり、実際に滞在する機会を設けています。図面や資料を眺めているだけでは気づけないことも、その場に立ってみると見えてきます。この場所の魅力はどこにあるのか。どう残していくべきか。訪れる人にどんな時間を過ごしてほしいのか。完成を待つのではなく、その前の段階から一緒に考える。それがPlanetDAOのステイオーバーです。
2026年初夏、北條家住宅でステイオーバーを実施しました。日本からの参加者に加え、フィリピン、香港、台湾、シンガポール、アメリカからも共同オーナー10人が佐渡へ足を運んでくれました。今回が初めて北條家住宅を訪れる方も多く、建物を実際に見て、触れて、感じる機会となりました。
1日目 ── 北條家住宅の歴史に触れる

北條家のみなさんに住宅を案内していただいた
午後は、北條家のみなさんに住宅を案内していただきました。そのあと、野草研究家の菊池はるみさんとともに敷地を歩きました。どの野草が食べられるか、そうでないかを見分けるゲームを楽しみながら、北條家がかつて漢方医として地域を支えてきた歴史と、いまも敷地に息づく植物のつながりを感じる時間となりました。最後には、はるみさん手作りの野草のシフォンケーキとハーブティーをいただきました。

野草研究家・菊池はるみさんの案内で、敷地の植物を観察した
夕食はすべて佐渡産の食材で用意していただきました。食事を囲みながら、北條家のみなさんや参加者同士で話が弾みます。夜は、希望者が寝袋を持ち込み、主屋と長屋門に宿泊しました。修復前の建物に泊まれるのは、おそらく今だけです。築350年の空間でしか味わえない一夜となりました。
2日目 ── 大雨と、蔵での対話
二日目は田植えを予定していましたが、当日は例年にない大雨。何度も佐渡を訪れているメンバーも「ここまでの雨は初めて」と話すほどでした。田植えは中止となりましたが、代わりに、今後修復・活用を予定している蔵をもう一度ゆっくりと見て回り、これからの方向性について時間をかけて話し合いました。

蔵に残された箪笥や道具、浮世絵の描かれた板戸。残されたものから新しい活用のアイデアを出し合った
蔵の中には、長い年月を経て残されてきた家具や道具があります。古いものをすべて取り除いて作り替えるのではなく、今あるものをできるだけ生かしながら新しい使い方ができないか。現地を歩きながら、参加者同士でアイデアを出し合いました。たとえば、漢方医であった北條道益が使っていた薬箱を再現し、訪れた人が自分だけのハーブティーをつくる体験。あるいは、米蔵に残る貯蔵用の箱の構造を生かしたサウナやお風呂。建物の中で話していると、資料を眺めるだけでは生まれないアイデアが次々と出てきました。予定どおりに進まなかったぶん、北條家住宅の未来をじっくり考える時間が生まれました。
海外投資家 Wesleyさん ── 「これは文化の保存に近い」
日本だけでなく海外の方々が、この文化財の保存プロジェクトに出資し共同オーナーになり、関わっていく。所有者は「お客さん」ではなく、どう再生し、どう活かしていくかを一緒に考える当事者になる。
まずステイオーバーに参加した共同オーナーのみなさんから、感想を聞かせていただきました。
日本から参加した瀬戸さん(仮名)は、こう話します。


出典:サドテレビ NEWSアイランド 2026年5月22日放送
Wesleyさん(海外投資家・香港の設計士)
個人的に、自分の仕事について聞かれると、新しいものよりも、古い場所をベースにしたプロジェクトに取り組むのがすごく好きなんです。そこには多くの物語があるから ── ちょうど北條家のように。それはとても意味のあることだと思っています。これを、いわゆる本当の意味での『投資』とは見ていなくて、むしろ文化の保存に近いものだと思っています。私たちはみんな日本の文化が好きで、それを守りたいと思っているんです。そうですね。だから、それが具体的に何をしているのかをもっと調べてみたときに、この特定のプロジェクトのことを知って、やっぱり、その家族の物語こそが、他のものではなくこれに投資しようと決めた理由だったと思います。だからこそ、これは自分にとってとても大切なものだったんです。
参加した共同オーナーからの声

ステイオーバー前から佐渡を訪れたJeffersonさん(フィリピン)
ステイオーバーに参加した共同オーナーのみなさんから、感想を聞かせていただきました。
日本から参加した瀬戸さん(仮名)は、こう話します。
瀬戸さん(日本)
フェリーで佐渡へ渡ること自体が、すでに旅の一部でした。幹線道路を少し外れると、体験したことのないような田園風景が広がって。場所が本当に恵まれているなと感じました。建物の中も、そのまま残しておけるいいものがたくさんあって。残しながら、これからも続けていけたらと思います。
同じく日本から参加した片岡さんは、現地へ行くことの意味をこう語りました。
片岡さん(日本)
資料や写真では伝わらないものを、五感を使って感じることができました。敷地に足を踏み入れた瞬間から、建物のパワーを感じました。実際に入ってみると、やはりお金をかけて手入れが必要だということも改めて実感しました。今回の投資家のみなさんと直接お会いして話せたことも、とても良かったです。
みんなで作りあげる、その「関わりしろ」がまさに魅力になっています。
崎尾さん(国内投資家)
利用する人、投資家の人あたりがディスカッションしながら作り上げていくっていうところに非常に魅力を感じて、ここに来た人に佐渡の自然とか薬草に関するようなことを自分でワークショップみたいなのを作ってやったり、庭をもう少し昔の植物をもう一度植えて、来た人が昔の薬草医の雰囲気を実際庭園でも味わってもらえるっていうのが非常に面白いんじゃないかなというふうに考えています。
海外から参加した共同オーナーからも、感想が届いています。
Wesleyさん(香港・設計士)
佐渡は、人生がスローダウンするような特別な場所です。今回の出資は、投資というよりも『文化を守っていく仲間たちと、それに使うお金』だと思っています。日本は他国のものを吸収し、独自のカルチャーに昇華させるのがとても上手な国。世界中でいろいろなことが起きている今、この姿勢から世界が学ぶべきエッセンスがあると感じています。」
「次回は、できれば自分ひとりではなく、家族を連れて一緒にこの場所を訪れたいと思っています。佐渡は、本当に自分のペースを緩めて、人生とは何かを改めて考えさせてくれる場所です。まだ若くて働かなければならないので、そう頻繁には来られないとは思います。でも、来られるときにはいつでも、瞑想のような気持ちでここに来たいと思っています。

出典:サドテレビ NEWSアイランド 2026年5月22日放送
Vanessaさん(シンガポール)
「農業と密接に関わっていた作りや、古い電化製品など、その時代ごとに家族が経験したライフスタイルが残っているべきだと思います。自然に近い暮らしに戻りたいとき、遠い過去に行く必要はなく、私たちの親やその上の世代が経験した暮らしの痕跡を残すことが大切なのです。」
Jeffersonさん(フィリピン)
「私たちの国は植民地時代の歴史により、古いものがほとんど残っていません。だからこそ、日本に古い歴史が残り、北條家を通じてそれを直に感じられたことは素晴らしい体験でした。身の回りの野草を学び、自然の中で『どこから何が来たのか』を感じられたことも、とても心地よかったです。」
北條家から ── 「ありのままの価値を、我々以上に大切にしてくれていた」

蔵の二階に残されていた古いアルバムを、北條家のみなさんと一緒にめくった
ステイオーバーのあと、北條家から率直な気持ちを聞かせていただきました。共同オーナーのみなさんと直接お会いするのは初めてのことで、当日を迎えるまでは不安もあったとのことです。特に心に残ったのは、みなさんが利益やリターンを主目的にしているのではなく、「北條家住宅を未来へ継承したい」という思いを持って関わってくれていると感じられたことだったと言います。
北條家 第11代当主の弟・北條 規 氏
このまま朽ちていくのを半ば諦めていた建物に、再生の光が見えました。投資家の方々と対話して驚いたのは、『ありのままの歴史の価値を大切に守っていきたい』という強い思いを我々以上に持っていたことです。古びてどうしてもこれはこのままではダメだよなと思うところも、『そのままにしておいてほしい』『今までの歴史の価値を大切に守っていきたい』そんな思いが我々よりもはるかに強く持っておられ、これは我々も学ばなければならないと強く気づかされました。神棚の前で多くの方が北條家住宅の未来を真剣に語り合ってくれたことを、ご先祖さまもきっと喜んでいるのではないか──そう感じる2日間でした。

「リノベーション」から「リペア」へ

参加メンバーが考えた土間のリペア構想案。吹き抜けから光が降り注ぐ空間に
主屋や蔵を見て回るなかで、共同オーナーのみなさんから繰り返し聞かれた言葉がありました。「新しくきれいにしすぎるのではなく、今残っているものを、できるだけ残してほしい。」
北條家住宅には、建物だけでなく、家具や道具、収納、生活の跡が残されています。どこで食事をし、どこに物をしまい、どのように日々を過ごしていたのか。建物の中を歩くと、かつての暮らしを具体的に想像することができます。350年にわたって漢方医として地域を支えてきた北條家の歴史が、あちこちに息づいています。
もちろん、宿泊施設として使うには設備を整え、安全性や快適性を確保する必要があります。一方で、整えすぎてしまえば、この場所に積み重なった時間や暮らしの記憶が見えにくくなってしまう。共同オーナーの声を受けて、建築に造詣のある共同オーナー(DAOメンバー)の織田さん(仮名)も同じ方向性を示しました。「リノベーションではなく、リペアにしましょう。」大きく作り替えるのではなく、もともと持っているものを丁寧に見つめ、必要な部分に手を入れながら、次の世代へつないでいく。今回のステイオーバーを通して、修復・再生に向けた方向性が定まりました。
「ビンテージリペア」という考え方

(ステイオーバーでは、ユーザー体験だけでなく、事業計画と設計についても話し合いが行われました)
ステイオーバーの報告に続いて、ギャザリングでは事業計画と設計についても共有されました。
「ビンテージリペア」という設計の考え方
織田さんからは、ステイオーバーでの議論を踏まえた新しい設計の方向性が紹介されました。キーワードは「ビンテージリペア」。投資対象である米蔵・家財蔵・味噌蔵の3つの蔵と、それらをつなぐ中央の「土間」を生かし、ここでの体験と、もともとの暮らしの歴史を読みときながら、必要なところを直して再生していくという考え方です。当初は奥に露天風呂を設ける案もありましたが、共同オーナーの反応を受けて方針を転換。大開口から眺めを楽しめる、風の抜ける気持ちのよい「土間のリビング」へと変更されました。蔵の二階は展示スペースとし、宿泊時には閉じて、見学に訪れた方には開放するなど、宿泊と文化体験を両立させる工夫も共有されました。2027年4月のオープンに向けて着々と議論が進んでいます。
出資状況の最新情報(2026年7月13日時点)
北條家住宅プロジェクト(PlanetDAO003)は、2025年9月11日に資金募集を開始し、現在は設計・企画フェーズに入りつつ、引き続き出資を募集しています。2026年7月時点の状況は次のとおりです。

世界12カ国67名が佐渡のPlanetDAO佐渡 北條家住宅へ出資(2026年7月14日)
| 達成率 | 90.1%(目標株式数に対する充足率) |
|---|---|
| 投資家数 | 67名(個人投資家による共同所有) |
| 合計株式数 | 34,325株(1株1,000円/最低投資額40万円) |
| 投資家の国籍 | 世界12カ国 ── 日本23/台湾9/シンガポール8//香港6/米国5/英国3/カナダ3/フィリピン3/ドイツ3/タイ2/エジプト1/オーストラリア1 |
| 募集期間 | 2026年1月22日〜7月22日(フェーズⅡ)/株式発行日 7月29日 |
| 投資対象 | 北條家住宅の蔵3棟(米蔵・家財蔵・味噌蔵)。改修後は宿泊・体験・文化交流の場として活用 |

北條家住宅は、PlanetDAOが手がける3つ目の物件です。PlanetDAO全体ではこれまでに世界23カ国から共同オーナーが集まり、日本各地の歴史的建造物の保全・活用に参画してきました。2026年4月には、これらの取り組みが評価され、「Japan Tourism NFT Awards 2025」の地域資源部門でグランプリを受賞しています。
国籍を超えて、歴史あるものや文化の価値、そしてその未来について語り合うそんなプロジェクトが佐渡で始まっています。
北條家住宅プロジェクトでは、2026年7月22日まで出資を受け付けています。
共同オーナーとして参加をご希望の方は、こちらのページより詳細をご覧ください。
※本記事はプロジェクトの状況を紹介することを目的としており、出資を勧誘するものではありません。
本記事は、2026年6月に開催したオンラインギャザリングでの5月開催のステイオーバーの開催報告やサドテレビの放送をもとに作成しています。







