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ストックオプションとは?従業員のメリット・デメリットを解説

  • 最終更新: 2023年11月10日

 

企業に優秀な人材を確保するには、貢献度に合わせた待遇や制度を整えることが重要です。優秀な人材が入社したとしても、企業の事業活動や待遇に不満があると離職につながる可能性が高まります。

ストックオプション制度は、人材確保や定着化を進めるためにも活用されている内容です。自社の株式を決められたルールで社員や取締役などが購入できます。

今回はストックオプションとは何か、従業員のメリットとデメリットとともに詳細を解説するので、経営を安定化させる取り組みの参考にしてみてください。

ストックオプションとは?

自社の株式を取締役や社員が購入できる制度は、ストックオプションと呼ばれています。株式の購入は、権利を使うときの決められた価格(権利行使価格と呼ばれます)や枚数、期間の範囲で購入が可能です。

制度を導入している企業では、社員が自由に制度を利用できるメリットがあります。一度買った株式は売却と保持の両方が可能です。

また、ストックオプションは、基本的に自社の株式の価値が高まったときに売却ができるため、例外もありますが社員は損失を出さずに利用できます。

ストックオプションを利用する社員は、事業活動で業績や成果をあげるほど株式の価値が高まりやすくなるため、努力がお金という形で反映されるところが利点です。

企業にとっても自社の株式を購入してもらえる機会につながり、社員のモチベーションをあげる効果が期待できます。

ストックオプションはベンチャー企業に向いている

勢いのあるビジネスモデルを展開したい企業には、ストックオプション制度の導入がおすすめです。企業に優秀な人材を確保しづらい課題があるときにストックオプションを利用すれば、人材を獲得できる方法につながります。

企業にとっても株式を購入してもらえると、事業活動を継続しやすくなるところが利点です。新しい企業はこれから株式が上場する可能性が高く、ストックオプションの利用者を集めやすいメリットがあります。

ベンチャー企業が成功できれば、株式の価値が高まって社員に利益で還元することが可能です。

ストックオプションを取り入れるときのポイントや注意点

運用するときは、ストックオプションの仕組みやルールを企業側から明確に説明しておくことが大切です。また、企業の利益につながる方法でストックオプションを運用できると安定的な運用につなげられます。

なるべく株式の価格が安い段階で取り入れることが必要です。導入にかかる資金調達や手間を抑えられる工夫につなげられます。

権利行使価格や期間をどうするのかなど、企業側からルールを明確にして株主総会などを開く形で事前説明を進めることがポイントです。

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ストックオプションを取り入れるメリット

ストックオプションには、企業の人材確保ができるだけでなく社員にとっても報酬アップの恩恵が期待できます。

企業がストックオプションを導入するメリットの詳細を見ていきましょう。

従業員の報酬アップが見込める

社員のインセンティブにストックオプションを活用できるため、業績次第で収入をあげる効果が期待できます。優秀な人材が就職先を選ぶ決め手になり、仕事のモチベーションを高める工夫につながる内容です。

仕事で努力した分株式の価値が高まると、社員だけでなく企業全体の利益にもつながります。

経営者の視点から仕事の改善を進められるなど、一人ひとりが高い志や目標をもって仕事に取り組める効果が期待できる制度です。

優秀な人材確保と従業員の定着化を図れる

企業の事業活動を継続するには、優秀な人材を確保して定着させることが大切です。同業他社の待遇に魅力が感じられると、優秀な社員は別の企業に転職してしまう可能性が高まります。

ストックオプション制度は、人材の離職率を下げる効果に期待できるため、人材雇用で上手に活用できると自社の魅力を伝える手段に使うことが可能です。

社員が抜けてしまう損失を天秤にかけながら、ストックオプションを活用して人材確保と定着化を図る工夫につなげてみてください。

従業員の税金負担を軽減できるケースがある

ストックオプションの運用内容によって変わるものの、税制優遇措置が適用されるケースもあります。

税制優遇措置が適用される内容は、税制適格ストックオプションと呼ばれており、各要件を満たすことで権利行使時に限り課税対象されなくなる点が特徴です。

一方、税制非適格ストックオプションとは、税制優遇措置が適用されない内容です。それぞれ所得に対する取り扱いが変わるなどの違いがあります。

どちらの方法を採用するかは企業によって違いがあるため、事前に内容を確認しておきましょう。

ストックオプションを取り入れるデメリット

企業と社員の両方にとってメリットのあるストックオプションにも弱点があります。

株式の価値が高まる前提が必要になるため、業績に左右されてしまう懸念があり、運用方法のルールが明確でないとトラブルにつながるケースもあるかもしれません。

ストックオプションを取り入れるデメリットを見ていきましょう。

業績に左右されて従業員のやる気をそいでしまう

ストックオプションは株式の制度になるため、企業の業績が悪化すると株式の価値も連動して下がります。業績の改善が見込めない状態が続くと、株式を購入している社員のモチベーションが下がりかねません。

ストックオプションに魅力を感じて入社した社員にとっては、企業で働く意義を感じられない状態につながる危険性もあります。場合によっては離職につながる可能性もゼロではありません。

社員の魅力につながるストックオプションも、状況によっては社員のやる気をそいでしまう状況につながる可能性があることを考慮しながら導入と運用を進めましょう。

人間関係の問題が発生する場合がある

社内でストックオプションの利用者と利用していない人がいる場合、事前の説明不足やトラブルが起きたときに人間関係の摩擦が生まれるケースが考えられます。

ストックオプション制度を導入するときは、事前に揉めごとが起きないように対策を検討しながら運用ルールを明確にしておくことが大切です。

ストックオプションのメリットやデメリットをきちんと説明するなど、株式に関わるトラブルにつなげないための対応が求められます。

安定株主にカウントできない

企業の経営を安定させるには、自社の株式を継続的に保持する安定株主の存在が必要です。

ストックオプションでは、株式の購入者が社員や取締役に当たるため、安定的に株式を保持してくれるかどうかはわかりません。

また、ストックオプションは株式の価値があがった段階で売却できる仕組みになっているため、安定株主としてカウントしづらい特徴があります。

安定株主の存在とストックオプションを利用する社員はわけて考えることが大切です。ストックオプションは、あくまで社員の利益に還元する方法として採用するように検討してみてください。

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ストックオプションの種類について

企業が取り入れたいストックオプションには、いくつかの種類があります。それぞれ特徴や内容が変わってくるので、ストックオプションを取り入れるときの参考にしてみてください。

通常型ストックオプション

ストックオプションの基本にあげられる種類です。株式を購入した社員や取締役は、日々の事業活動の業績を高める行動と連動して株式の価値を高められます。

通常型ストックオプションでは、権利を使うときの決められた価格(権利行使価格)は、現在の株価以上の価格に設定する必要があり、権利を使える期間の間に株価の上昇があると差額を報酬として引き取れる内容です。

ストックオプションを利用する社員にとっても運用しやすい内容といえます。

株式報酬型ストックオプション

権利行使価格を1円などに設定する種類です。株式の価値をそのまま報酬として受け取れます。

株式の価値が上昇するほど報酬は高く受け取れるところが利点です。企業によっては、退職金として株式報酬型ストックオプションが活用されています。

有償型ストックオプション

新株予約権(事前に株式の購入を予約できる権利)を使って、株式を発行するときの時価で購入するストックオプションの種類です。有償ストックオプションは、将来の株式を購入できる方法で、権利を使うときに株価が新株予約権を購入したときよりも価値が高い場合に報酬が得られます。

状況によっては価値が低くなるリスクがあるため、社員や取締役にとってはデメリットが感じられるケースがあるかもしれません。

信託型ストックオプション

ストックオプションを信託(信頼できる機関などに財産を預けること)の形で期間満了まで保管する方法は、信託型ストックオプションと呼ばれます。

新しいストックオプションの種類として、株式の発行時点で価格などを決めない特徴があり、入社期間・実績・役職などの評価に合わせてストックオプションのポイントを付与する内容です。

企業にとっても運用しやすいストックオプションとして注目されています。

ガイアックス上田が運営するYouTubeチャンネル「経営カレッジ」にて、財務のプロ集団がストック・オプションについて詳しく紹介する動画もぜひ閲覧ください。
» ベンチャー経営実務編 ストックオプション(5) 有償SOの使い勝手の良さ – 適格SOと有償SOの違いやポイント

ストックオプションは従業員と企業の両方に恩恵がある

ストックオプションで社員や取締役に自社の株式を購入できる権利を与えると、仕事のモチベーションアップや報酬アップにつながるメリットがあります。ストックオプションは、企業にとっても優秀な人材を確保して定着化できるところが利点です。

ただ、ストックオプションを取り入れるときは、業績に左右されやすいデメリットもあるため、トラブルにつなげないためにも事前に明確なルールを共有しておく必要があります。

ストックオプションを取り入れるときは、通常型・株式報酬型・有償型・信託型などの方法を使って運用を進めましょう。

上手に活用できるとストックオプションは従業員と企業の両方に恩恵を与えてくれます。

ガイアックス社長の上田のストックオプションへの思いは、以下「税制適格ストックオプションの、ある一つのルールを変更すべきだ!」で紹介しています。
» 税制適格ストックオプションの、ある一つのルールを変更すべきだ!

税制適格ストックオプションの、ある一つのルールを変更すべきだ!

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ガイアックス廣渡裕介
学生起業後、3年で上場企業に売却。株式会社ガイアックスにてスタートアップスタジオ事業部で新規事業支援をした後に、DAO特化の事業部を開始。DAO組成運用のコンサルティング支援とツール「DAOX」を展開中。2023年には約30社の企業・自治体の支援事例あり。
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