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現役京大生起業家が次に挑戦するのは「社内起業家」 。あえて組織に所属し、 “一歩を踏み出したい人”のモデルケースを目指す

  • 最終更新: 2023年6月16日

今回は、2022年7月にガイアックスへジョインした山本周雅(やまもと しゅうが)さんへインタビューを行いました。

現役京大生であり、起業部の部長(2020年〜)を務めている山本さん。2019年5月に仲間とともにバーを開業し、2020年4月には法人登記を経て「株式会社カタルシス」を創業、同社の代表に就任されています。

学生でありながら、起業家として精力的に活動されている山本さん。企業には属さずに自分の会社の経営に専念する道もあったはずですが、なぜガイアックスへのジョインすることを決断したのでしょうか?起業家であるにもかかわらず新卒入社をあえて決めた理由や、数多くの活動に取り組む源泉となっている山本さんの価値観をブランド推進室の荒井が聞き手となりお聞きしました。

山本周雅(やまもとしゅうが)

京都大学総合人間学部6年。株式会社カタルシス 代表取締役/京大起業部 部長。
「より多くの人がどうすれば独創性を持てるようになるか?」を人生のテーマに据え、語り合いの場の創出、ビジネスコンテストの開催など、現場でプレイヤーとして関わりながら日々模索しています。

荒井 智子

ブランド&カルチャー推進室責任者

2013年4月にガイアックスに入社し、2年間法人営業・海外営業、社長室立ち上げなどを経て、2015年に「働く人の心と身体を健康にしたい!」と会社に訴え、社内でケータリング型社員食堂をスタートし、2017年にtiny peace kitchenとして事業化。2020年に社内コーチプロジェクトを発足し、2022年にブランド&カルチャー推進室の責任者に就任。

「偏愛が独創性の種になる」。アート・ビジネス・アカデミックの融合をまずは京都から

ーーまずはじめに自己紹介をお願いいたします。

山本 京都大学総合人間学部6回生の山本周雅です。
総合人間学部では主専攻と副専攻を選ぶことができ、僕は経済・経営を主専攻に、社会学・人間科学を副専攻にしています。卒業研究では、以前より関心があるベーシックインカムをテーマとして扱う予定です。
また、大学では2020年から起業部の部長を務めており、僕自身も大学生をしながらビジネスをしています。

僕が代表を務める「株式会社カタルシス」では、“語り”をコンセプトにしたバー「カタルシス」を運営しながら、企業と学生をつなぐキャリア支援を通して、若者が新たな可能性を選択できる機会をつくるプラットフォームになることを目指しています。
これまでに、お寿司を食べながら企業の人と若者が語る「カタル寿司」というイベントや、京都からイントレプレナーを輩出することを目的にお寺でハッカソンをする「テラッカソン」など、「非日常を創造する」をテーマに掲げ、ラフな雰囲気のなかで若者が新たな価値観に触れられるようなイベントを多数開催してきました。
そのほかには、行政から運営を委託されている起業家向けコワーキングスペースで学生や社会人の起業相談支援を行っています。

さらに、もう1つ実験的に取り組んでいるのが、奈良県で漢方薬を扱う会社の「暗黙知継承(ナレッジシェア)」です。ベテラン社員の方へのインタビューや動画撮影を定期的に行い、知識を継承する仕組みづくりをしています。

ーー本当に多様な活動をされていますよね。こうした行動の背景には、どのような想いがあるのでしょうか?

山本 僕が自分の真ん中に据えているのは、「人の独創性をいかに生み出すか」という想いです。
もともと僕は、ほかの起業家の人たちが何かを生み出していることに対して、純粋な尊敬の念を抱いていました。
一方で、自分には生み出すことに対して「何か欠けているものがある」と感じていて……。ずっとそれが何なのかがわかりませんでしたが、人との出会いがきっかけとなり、自分なりの答えを徐々に手繰り寄せていきました。

バーを運営していると、さまざまな経営者や起業家の方と話す機会があります。その人がどんな想いを持って事業をつくったのか話を聞くうちに、「それぞれの人の愛が独創性を生み出しているのだな」と学びました。

そして、特に印象に残っているのは、以前お付き合いしていた彼女が僕とは違う感覚を持っていたことです。
僕の場合は事業をしていると、世のなかを抽象的に捉えてしまう部分があったのですが、彼女は反対に「主観」や「物に対する愛」をしっかりと持っている人でした。
その姿を見ていて、「あるものに対して、主観的に愛を持てるかどうか」がほかの起業家やクリエイターと自分との違いなのだと気づきました。
事業がうまくいっている人は、何か1つのことに偏愛を持っていることが多かったんですよ。最初はお金や教養による違いがあるのかと思っていたのですが、それだけではなさそうだなと。
こういった経験から、「独創性」や「愛」というキーワードに辿り着きました。

ーーなぜそこまで「人の独創性を生み出すこと」にこだわりを持っているのですか?

山本 独創性を生み出すことによって、自分の幸福の手綱を自分で握れる人が増えると考えているからです。
人はお金を貯めたら、趣味をはじめ、自分の好きなことにお金を費やしますよね。そこから僕は、「自分の愛に対して惜しみない投資をできること」が人間の幸福の定義だと考えるようになったんです。
人がそれぞれの独創性を発揮して何かを生み出せば、消費する幸せとは別の、何も失われない“蓄積されていく幸せ”が育っていくイメージがあって……。そういった人であふれた世界を理想としているので、こだわりを持って現在の活動に取り組んでいます。

また、多様な活動に取り組むのは、アート・ビジネス・アカデミックの融合を目指しているという側面もあります。
これは、ドイツのアーティストであるヨーゼフ・ボイスが提唱した「社会彫刻」という概念(アートだけではなくビジネスや教育活動も含め、社会を彫刻する人はすべて芸術家であるという考え方)からインスピレーションを得ています。
いまはアートとビジネスが犬猿の仲にあるように感じているのですが、僕はこの3つは絶対に調和できると考えているんです。
アーティストも起業家もアカデミックの人も、「何かをつくり出す」という点においては一種のクリエイターだと捉えていて、広い意味でクリエイターを増やしていきたいですね。
そして、アート・ビジネス・アカデミックの調和から生み出されるものは、何かを生み出したい人にとって幸せの鍵になると思っています。

挑戦と安定を両立できるのが“社内起業家”。資金や人を調達しやすい環境があるから「ここぞ」という時にアクセルを踏み込める

ーーこれまで起業家として数多くの活動をされてきたかと思うのですが、なぜ新卒でガイアックスへジョインすることを決めたのでしょうか?

山本 いろいろとあるのですが、主な理由は3つです。
1つ目は、「社内起業家(イントレプレナー)を経験してみよう」と思ったことです。僕は「起業に挑戦する人を増やす」という観点から社内起業家を推奨しているのですが、実は自分自身で社内起業を経験したことがないんです。
「人に対し、未経験のまま社内起業家の道を薦めるのってどうなんだろう?」と、だんだんと自分のなかで納得がいかなくなったので、まずは自分が実際にやってみようと考えるようになりました。

2つ目は、ほかの人たちが真似できる「京都で活躍するモデルケース」になりたいと思ったからです。というのも、京都では大学卒業後に東京や大阪などへ出てしまう人がほとんどで、京都に残って仕事をする人は少数派なんです。
僕がいまも京都で活動している理由にもなっているのですが、「京都にいながらでも、大都市と変わらずに多様な活動ができる」ということを体現したいと思っています。

3つ目は、今後に僕が「何かをしよう」と思い立った時に、その挑戦へ乗ってきてくれそうな人がガイアックスには多そうだなと感じたことです。
会社とは思えないほどに自由なカルチャーがあったり、アートやデザインなど多様な分野に精通しているメンバーがいたりと、自分と一緒に新しいことを仕掛ける仲間を見つけられそうな場所だなと思って。

ーーそもそも、社内起業家というあり方に注目しているのはどのような理由からなのですか?

山本 社内起業家は就職と起業の間にあるポジションなので、このポジションであれば起業をする人の数が多くなっていくと考えているからです。
起業部として活動するなかでも感じたのですが、自分で起業する人は勝手にするんですよね。でもそうした人は一握りで、雇用や給与などの“挑戦するための土台”がある上でやっと起業できる人の方が実際は圧倒的に多い。

なので、挑戦と安定を両立できるほかの選択肢にはない特性から、社内起業家こそ「本当は挑戦したい人」が行動を起こす突破口の1つになると思って推奨しています。
たしかに社内起業だと、会社の仕事である以上は自分のやりたいことができるとは限りませんが、お金の悩みを軽減できるのはやはり多くの人の挑戦を後押しする強みです。
お金が理由で妥協したモノづくりをすることは、起業家やクリエイターにとっては苦痛ですからね。

築きたいのは「独創性を生み出す基礎」と「叡智を継承する仕組み」

ーー実際にガイアックスへジョインしてみての印象はいかがでしたか?

山本 なかに入ってみると、知的好奇心の強い人が多い印象を持ちました。
たとえば、僕が「企業内の哲学をつくるために、哲学科をつくったら面白いのでは?」という話をしたら、「それ、面白いね!」と乗ってきてくれたり。
ほかにも、ベーシックインカムを賞金にしたビジネスコンテストを提案したときには、すぐ実現につながりました。僕も新しいひらめきをすぐに実行してみるタイプなので、近い考え方の人が多いと思います。

あとは、資本主義に完全に迎合しているわけではない人が多いとも感じますね。
資本主義の中で勝つことは目的ではなくて、あくまでも手段の1つだと捉えているというか……。自分たちがいいと思う事業の種を蒔いて、なかには芽が出ないものもあるけれど、「育てていこう」という姿勢があると思います。

ーー今後、ガイアックスでどのようなことに取り組んでいきたいですか?

山本 僕は自分の事業や活動を通して、人の独創性を昇華させるための基礎づくりがしたいので、そこへ向けた取り組みを進めていこうと考えています。

まず考えているのは、DAO(分散型自律組織)の研究です。
現在は業務のなかでDAOの研修をつくらせてもらっているのですが、DAOはベーシックインカムとも相性がよさそうだと感じているので、引き続き取り組んでいきたいと思っています。

次には、起業家のテーマパークのようなものをつくりたいなと。
以前、とある企業からガイアックスに、「DAOを取り入れた施設をつくりたい」というお話がありました。
そこで、僕を含めた4人ほどのメンバーで相談し、事業アイディアを提案しました。
以前、DAO型シェアハウスをつくったことがあるのですが、そちらとはまた違った形でDAOを取り入れた場づくりに携われるのはありがたいですね。

最後に、ベーシックインカムに関する実験です。
たとえば、ビジネスコンテストの賞金や、シェアハウスのなかでベーシックインカムを渡すことで「本当に独創性が生まれてくるのか」という実験を、事業を通してできたら嬉しいなと考えています。

あと、ガイアックス以外になってしまうのですが、実はもう1つやりたいことがあって。

ーーもう1つ!ぜひぜひ聞かせてください。

山本 冒頭にお話した「暗黙知継承」は社会的に意義のある取り組みになるだろうと思っているので、そちらにも注力していきたいんです。僕の祖父が西陣織の職人ということもあり、後継者がいない職人の知恵や技術を残すことに「なんとか貢献したい」という想いがあって。
伝統産業だけではなく、働き手が減りつつある中小企業などでも、ベテランの持っている知識がキャッシュエンジンの大部分を担っているケースが多いと思うんです。これから日本の人口はどんどん減っていくはずなので、その状況のなかでどうにかノウハウを残して、先人が築いてきた「叡智」を後世に引き継ぐことを目指していけたらと考えています。

ーー山本さんの社内外を超えた挑戦、応援しています!ありがとうございました!

インタビュー:荒井智子
ライティング:黒岩麻衣
編集:ヤマグチタツヤ

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山本周雅
京都大学総合人間学部7年。株式会社カタルシス 代表取締役/京大起業部 部長。 「個人や組織の創造性の開花」をテーマに、語り合いの場の創出、ビジネスコンテストの開催、暗黙知の伝承などの活動を展開しています。
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