Teal Journey campusとは?

「これからの組織のあり方」を示して注目を集めた『ティール組織』発売から1年余り。 日本各地で、自然発生的に多くの勉強会・読書会が開催されてきました。その草の根の動きも新しい現象であり、国会でとりあげられたり数多くの賞を受賞したりするなかで、日本社会においても少しずつ広まっていっています。
しかし、ティールを始めとする新しい世界観(パラダイム)の実践は、 探求すればするほど味わい深く、すぐに答えが出るものではありません。 どの実践者も試行錯誤を繰り返し、独自のやり方を見出そうと模索し続けています。
Gaiaxもそんな実践者の一人。社長の上田や、木村が登壇し、多くの社員が参加しました。
そんなパラダイムの日本における実践知を集めることで、新たなる動きを生み出せるのではないかと考え日本ではじめての開催されたカンファレンスの様子を複数回にわたってお届けします。

テーマ①:「自然農法とモンテッソーリ 教育から感じるティール意識」

性善説に基づき、メンバーを信頼して任せる。
『ティール組織』においてよく出てくる表現ですが、「信じて任せる」ことに不安はつきものです。「部下を信じてるだけじゃ、何もやらないんじゃないか?」「信じるって何もしてないじゃん。何もしないと何も変わらないよ。」そんな不安や恐れを手放して、100%「信じて任せる」を実践するとはどういうことでしょうか? 自然農法とモンテッソーリ教育という、一見異なる領域でありながら、そこから得る学びを人と組織の進化に活かす試みをご紹介しながら、参加者の皆さまとともにティール意識の実践について探求しました。

【登壇者】

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吉原 優子(よしはら ゆうこ)

だれでもナチュラルな野菜作りができる方法を日々実践研究中。 京都大学法学部卒業。
2006年関西電力入社。営業所にて営業・契約を経験後、本店企画室へ。長期成長戦略策定に携わる。2011年 オーダー靴の靴職人として修業を開始し、2013年に「ユメノハキゴコチ」を開業。以降、「創る、作る、売る」のサイクルを高速で回しながら、「オシャレ×履き心地が良い」ハイヒールを進化させ続ける。2017年Natural Organizations Lab株式会社創業。自然から学ぶ、いのちの循環を軸にした畑の伴奏支援に取り組む。「野菜の庭部」にて自然な野菜作りに関するレポートを見て頂けます。

木村 智浩

木村 智浩(きむら ともひろ)

早稲田大学卒業後、2004年にガイアックスに入社。
営業、新卒採用、広報IR、経営企画を経て、事業立ち上げから国内トップシェア獲得を推進。また、一般社団法人シェアリングエコノミー協会、日本ブロックチェーン協会や出資先スタートアップの広報に従事。
2015年より管理部門に異動。現在は、人事労務・広報IR・全社行事を担当。コミュニティビルNagatachoGRiDでのイベントや会社のコミュニティ化を推進中。
モンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ園、ニイルとデューイの理論を実践に基づく体験型学習中心の自由学校(南アルプスこどもの村小中学校)に通うの4女の父。ポジティブサイコロジー・プラクティショナー。国家資格キャリアコンサルタント。

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吉原 史郎(よしはら しろう)

日本初「Holacracy(ホラクラシー)認定ファシリテーター」。神戸大学経営学部卒業。2006年証券会社に入社、投資経験を経て、2007年リサ・ パートナーズに入社。大規模リゾートホテルの事業再生業務の経営に総支配人として従事 。2011年三菱UFJリサーチ&コンサルティングに入社。組織開発を通じての経営支援に従事。2017年にNatural Organizations Lab 株式会社創業。自然から学ぶ、いのちの循環を軸にした経営の伴奏支援に取り組む。著書『 実務でつかむ!ティール組織』(大和出版 2018年)「実務とつなげる経営の新潮流」にて、経営に関するレポートを見てもらえます。

自然の畑で実践する「信じて任せる」ということ。

吉原
私は市民農園の一角を借りているんですが、そこにいると、畑に水とか肥料をあげて育てるのが当たり前という気持ちがありました。
でも、山は水をあげなくてもずっと存在していますよね。
山で起こってることを畑に応用したらいいのではないのか。そういうところに着目してスタートしたのが自然の畑です。

【山の3つのポイント】

①根っこがしっかり伸びている。
水分がいつでも供給されるわけではないので、地中の水分を吸い込めるよう根がしっかり伸びている。

②養分の循環が起こっている。
植物が枯れ落ち葉が微生物に分解され、それが他の植物の養分になるという循環が起こっている。

③多様な植物が一緒にいる。
色んな特性を持つ植物が存在する。それぞれの植物の特性を生かしている。

自然の畑では、この山のような特徴が見られます。
しかし、人が手を加えた畑では、人が手をかけることによって、上右の図のように畑が「自分で育つ」サイクルが失われてしまうんですね。

自然の畑に「信じて任せる」ために必要な環境作り

吉原:このような植物の力を信じた自然の畑を作るのために、私たちは植物を植えてから何もしていないんです。では私たちは何をしたかというと、植物を植える前に微生物が活躍しやすい土壌づくりをしました。
地表から15センチまでの土と、その下の土を入れ替えるんです。これを「天地返し」と言います。なぜこのようなことをするのかというと、植物の根っこと空気の好きな地表近くにいる好気性微生物が共生関係にあるので、地表の土をそこに入れてあげることで、そこまで根が伸びやすいようになるんです。

もうひとつしたことは「コンパニオンプランツ」を植えたことです。
「コンパニオンプランツ」とは、一緒に植えると良い影響を与える植物同士のことを言います。私たちも「なんとなくこの人ウマが合う」「この人はなんだか苦手だな」ということがあると思います。植物にも同じように合う合わないがあります。例えばブロッコリーをメインで植えたいとき。仲がいいものを周りに配置します。レタスを植えると、ブロッコリーを好む害虫が来なくなります。いんげん豆は空気中の窒素という養分を固定して土を豊かにしてくれます。ネギは消毒に効果的です。このように色んな個性がある植物を植えて、それぞれが刺激を受け合って大きくなっていきます。

「自然の循環者」の一人として、私たちには何ができるのか。

吉原:植物の循環の中には、虫や微生物や雑草など、色んなメンバーがいます。それらのメンバーがいるから、循環がつないでいけるんです。
その循環の中に現れた人間の私たちにできることは、
自然の支配者として畑に関わるのではなくて、循環の一員としてできることをすることなんですね。
虫は間引きの役割をします。アブラムシは植物の弱いところに集まります。植物は全部が育つと、風通しが悪くなって植物が弱ってしまうけれど、アブラムシが弱った部分を食べてくれることでその植物はタネをつないでいけます。

あとはタネをつなぐことも大事です。タネ採りをすると、植物は3年でその時、場所に適応するんです。情報を繋ぐことで進化を次の世代に繋いでいくことも私たちにできることかなと思います。微生物が活躍しやすい環境を作って、信じて待つこと。私たちはそれだけをしています。

子供は自分で自分を教育する力を持っている。

木村:
吉原さんからは、農業の観点からお話いただきましたが、僕は教育の観点からお話します。
僕の長女はきのくに子どもの村学園というところに通っています。
きのくに子どもの村学園では自己決定、個性化、体験学習の3つを重視しています。学校にカリキュラムはなく、子どもたちは自分で活動を始めます。学ぶタイミングは子どもによって異なるので、時間割でコントロールすることはしません。

僕が学校に見学に行ってわかったのは、「ずっと放課後みたいだな」ということです。チャイムもならないので、授業の終わりと始まりも分かりません。
教育において、大人が子どもに対して「なにかやってあげないといけない」と思っていると、子どもが自分自身を育てる力を奪ってしまいます。
きのくに子どもの村学園では、子供は自己教育力を持っているという価値観があります。大人が手をかければかけるほど、子どもは自己教育力を失ってしまうのです。

ちゃんと見守るという姿勢をきちんと実践できるかどうか、が大切なんです。

大切なことは、子どもをどのように捉えるか。

木村:
僕たちが子どもと関わる上で大切なのは、どのように子どもたちを捉えるかということです。
世界をどう捉えるかによって、私たちは行動が変わりますよね。
人は人生を通して、自分のキャンバスに何かを描いていかないといけないと思ってしまう。しかし実は私たちは初めから全てを持っているんですね。
例えるなら、一人一人は球根で生まれた時からその中に未来に花になる全てが詰まっています。

僕は周りの方から「きのくに子どもの村学園を卒業した子どもはその後どうなるんですか?」と聞かれることが多いですが、宮大工、MYT、花火師など、その進路は実に多種多様です。
結局僕たちは、子どもの成長を見守ることしかできません。球根から何の芽が出るかわからない。何が咲くか、いつ咲くのかもわからない。ただその球根が持っているものを信じることが大切です。

教育において主人公は自分ではありません。子どもです。
部下がいるなら、これを部下に置き換えることもできます。
その人のありのままをどう上手く活かすことができるかというアプローチをすること。世間でよく聞く「個性を伸ばす」という言葉はモンテッソーリにはありません。みんなが本当の自分自身になる。どんな個性も尊重する。そんな世界を作りたいですね。

このような自分が持っているものを信じる教育を受けている子どもは、できないことや失敗を恥ずかしいと思わないようになります。だから「わからない」「できない」を素直に言えて、そこから学ぶことができる。ビジネスの世界では、失敗が重要です。失敗から学んで次に活かす、その循環をしていくことができるようになるんですね。

ティールにおいて大切なことは、自分自身をどのように捉えているかということ

今日のイベントに来てくださっている方の中には、ご自身の会社や組織をティール組織にしたいと思って試行錯誤されている方もいらっしゃるかと思います。
ティールにおいて大切なことは、実は皆さんが人や自分に対してどのようなイメージを持っているのか、ということなんですね。一人一人が自分自身や周りの人たちを信じることができるかどうかが、ティール組織において大切なんです。

今日はひとつ、皆さんが人や自分に対してどのようなイメージを持っているのかを知るためのワークを一緒に行おうと思います。①から④までの質問に対するご自身の回答を考えてみてください。

③で出てきた皆さんのイメージが本当の自分に対するイメージだと言われています。最初に出てきたイメージと自分の行動が離れているならもう少し掘り下げてみてください。自分のコンプレックスなどが他者への関わり方に現れていることがあります。できない自分を認められるようになったら、できない部下も認められる。自分を満たす、そして自分にしていることと同じことを人にもできるようにする。今日のセッションを通して、みなさんが自分や他者に対する認識に気づいていただければ幸いです。 

終わりに

部下や子ども、または植物を信じて、自らは何もしないこと。
それは一見私たちが手を抜いてしまっているのではないかなどと考えてしまうこともありますが、それは「相手の可能性を信じる」ことだったんだんですね。
こう考えると、こちらの意図した目的のために相手に手をかける従来の教育は一体誰のためのきょういくなのかということを考えさせられました。
また、信じて任せる関わり方を実施するためには、まずは自分へどのように接しているのかを知ることが大切だというお話が心に残っています。
まずは自分自身を信じて任せること。そこから始めていこうと思います。


シリーズ: Teal Journey Campus
山崎 嘉那子

山崎 嘉那子

大阪府出身、同志社大学グローバル地域文化学部アジア・太平洋コース卒業。管理本部 ブランド推進室。芸術を通して、よりよい人との向き合い方のできる社会を考えたい。