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ピッチはエンターテインメント!ピッチを成功させる為の方程式とは?

  • 最終更新: 2021年7月27日

 

スタートアップや新規事業の立ち上げの際に、自分の事業を相手に伝えて資金調達や協力を得る必要があります。その際の発表方法としてピッチというビジネス用語があります。

語源はシリコンバレー発祥で、英語の【Pitch】「投げる」から。ピッチャーが投げる速い球のごとく、いかに短い言葉で相手の注意をひけるか、という意味合いです。

スタートアップ業界では、エレベーター内で到着階までに要件を伝える「エレベーターピッチ」という単語も生まれました。限られた時間で重要な要件を伝えることは簡単なことではありません。起業を考えている人や、資金調達を狙っている人は是非この機会に良いピッチ方法の知見を得てみてはいかがでしょうか?

今回のインタビューでは、ガイアックスの卒業生でもあり、ピッチ経験豊富なTRUSTDOCK代表取締役の千葉さんにお話をしていただきます。

TRUSTDOCKは、2021年6月にシリーズBラウンドで13億円の資金調達を実施しました。

千葉さんはこの過去4年で2つのピッチコンテストで優勝、ダブル受賞も2度経験し、14を超えるピッチコンテストに参加、9つのコンテストで様々な賞を受賞されています。

≫TRUSTDOCKのピッチコンテストでの受賞歴詳細はこちらからもご覧いただけます
「ピッチは優勝しなくても価値がある」。TRUSTDOCKのCEO千葉が語る「サービス成長にその場で繋げる」ピッチ戦略とは

TRUSTDOCKが提供するサービスは、デジタルによる本人確認の仕組みである「eKYC」。
これは「Know Your Customer(顧客を知る)」の略で、顧客確認や本人確認を意味する。eは「electronic」の略であり、2つをくっつけてeKYC(電子的な本人確認)という言葉を意味します。
新型コロナウイルス感染症の影響により、DX(デジタルトランスフォメーション)が進み、その先の「ニューノーマル」時代に突入すると、手間やコストや物理的な移動時間、対面することのリスクを減らす市場規模が益々拡大していくことが予想されています。
実際にTRUSTDOCKでは、24時間365日対応でサービスを提供するポイントが評価され企業のDXの加速をきっかけに、顧客が増加しているそう。

今回、リード資金を得たベンチャーキャピタルとの出会いもスタートアップカンファレンスで披露したピッチをきっかけに資金調達につながったとのこと。

起業家にとって事業をスケールするときに避けて通れない資金調達という道。
千葉さんから学ぶ「相手を落とす方程式」で、ピッチのコツをつかんでいきましょう。

千葉孝浩

千葉 孝浩

株式会社TRUSTDOCK 代表取締役

株式会社ガイアックスでR&D「シェアリングエコノミー×ブロックチェーン」でのデジタルID研究の結果を基に、日本初のe-KYC/本人確認API「TRUSTDOCK」を事業展開、そして公的個人認証とeKYCに両対応したデジタル身分証アプリと、各種法規制に対応したKYC業務のAPIインフラを提供するKYCの専門機関として独立。フィンテックやシェアサービスのeKYCをはじめ、行政手続きや公営ギャンブルなど、あらゆる業界業種のKYCを、24時間365日運用しているクラウド型KYCサービス。さらには本人確認だけでなく、銀行口座確認や、法人在籍確認、マイナンバー取得など、社会のデジタル化に必要なプロセスも全て提供し、デジタル・ガバメント構築を民間から支援している。経産省のオンラインでの身元確認の研究会での委員や、金融庁主催イベントにて、デジタルIDでの登壇など、KYC・デジタルアイデンティティ分野での登壇・講演活動多数。

廣渡 上記プロフィールでも少し記載がありますが、千葉さんが今されている事業の内容と今までのピッチの経験について教えてください。

千葉 はい、現在は「TRUSTDOCK」という本人確認・KYCのプラットフォームとデジタル身分証アプリを提供しています。今まで本人確認の照合を社内でアナログな手作業で行っていたのを、このサービスではAPIをつなぐだけで、当社のプラットフォーム側で確認処理して結果を返却するので、事業者の皆さんは、半自動で本人確認ができます。

ピッチは今まで100回以上はこなしています。自社サービスを各企業に営業する際はもちろんのこと、金融系やテック系のイベントにも多数参加し、ピッチを行ってきました。

ピッチはエンターテインメント!ピッチを成功させる為の方程式とは?
過去参加したピッチコンテスト

廣渡 コロナ禍でオンライン業務が増えていく今の社会で非常に需要のあるサービスですね。さまざまなイベントで賞も受賞されているんですね!千葉さんのこれまでの経歴もお聞きしてよろしいでしょうか?

千葉 私は大学在学中は建築を学びながら、個人事業を営んでいました。紙媒体のDTPデザインからウェブデザイン・映像制作など色んなクリエイティブワークで仕事を得ていたんです。

廣渡 学生の頃から既にビジネスを始めていたんですね!

千葉 あとは、小さい頃から漫画家になりたいという夢があり、大学卒業後に漫画家にもチャレンジしていました。雑誌で賞をもらったり、少年誌のアシスタントをしたりしていましたよ。建築も漫画も、芸術と技術が融合した総合力の世界なので、アートとロジックの両方の思考を持つようになりました。その思考がピッチにおいて大切で、ビジネスを成長させる鍵にもなっています。

廣渡 多種多様な経験をされてきたのですね。漫画家の経験とアートとロジックの思考がどうピッチに活きていくかが興味深いです!

ピッチはエンターテインメントである

廣渡 それでは早速、お伺いします。まず良いピッチには前提知識が必要ですか?

千葉 上手なピッチの仕方やスライドの作り方を学ぶ前に、ピッチの概念を理解しておく必要があります。ピッチの目的は企画を相手に伝えることですよね。一般的に、企画を伝えるシーンや方法はどんなものがあると思いますか?

廣渡 なんでしょう。まずはプレセンテーションする「ピッチ」と、営業時やコンペ等で企画や提案をまとめた「企画書や提案書」の2つがあるかと思います。

千葉 そうですよね、実はその2つは全く異なるものだと認識する必要があります。舞台の上で立って行う「ピッチ」はエンターテインメントです。そしてそれは、会議室で座って行う会議時の「企画書や提案書」とはかなり異って特別な作り方をする必要があります。

廣渡 ピッチはエンターテインメントですか!

千葉 そうです。ピッチはオーディエンスに向けたエンタメパフォーマンスです。これは私が漫画家修行をしていた頃の話に戻ります。漫画はエンタメです。エンタメのプロでもある漫画雑誌の編集者の方に教わったエンタメ論がピッチでも活きているのですが、このあらゆるエンタメには、共通する方程式があります。

廣渡 エンターテインメントの方程式ですか!それは気になります。

千葉 それは「?(クエスチョンマーク)→!(エクスクラメーションマーク)」の流れでタイムラインの構造を作っていくことです。

※エクスクラメーションマーク=ビックリマーク

廣渡 疑問を最初に出して答えを出すという流れということですか?

千葉 はい、そういった意味でクイズは最小単位のエンターテインメントですね。問題(クエスチョンマーク)で興味を引きつけ、答え(エクスクラメーションマーク)で「なるほど」と納得させます。

このエンターテインメントの方程式はいかなる領域でも当てはまります。漫画でも小説でも映画でも漫才でも、そしてビジネスでも。先程話したように、ピッチはエンタメです。この「?(クエスチョンマーク)→!(エクスクラメーションマーク)」の構造をどのように配置できるかが重要になってきます。

廣渡 具体的にその構成はどういった目的があるのでしょうか?

千葉 「?(クエスチョンマーク)→!(エクスクラメーションマーク)」の構造の一番の効果は、相手を「飽きさせない・惹きつけ続ける」ことにあります。実は漫画のコマ割や紙面構成でもこの構成が考慮されているのを知っていますか?

廣渡 漫画における飽きさせないコツですか?考えたこともなかったです。どういった工夫があるのでしょうか?

千葉 見開きページの左下、いわゆる次のページをめくる最後のコマで、「?(クエスチョンマーク)」を配置することです。ページの最後で気になる疑問を振られることで読み手は積極的にページをめくりたい衝動にかられます。クイズ番組で正解の前にCMを挟むのも同様の手法です。

廣渡 たしかに疑問を持たされた状態で本を閉じることはないですね。よくよく考えてみると、あっという間に読みきった書籍や漫画にはそういった工夫がされているのかも……。

千葉 はい、それをピッチ時の振る舞いや投影するスライドにも応用する必要があります。逆に会議時の企画書やドキュメントは、背景や要件、具体的な企画内容や、時には詳細な参考情報も含め、「!(エクスクラメーションマーク)」の納得を積み重ねて、納得感を最大化する構造を作る必要があります。ビジネスの意思決定の現場では、ショーを観に来たわけではないので、エンタメの方程式な資料構成で提案されると、人によっては毛嫌いされます。エンタメな対話はいりません。

廣渡 事実だけを並べて要点を分かりやすくまとめる構造ですね。

千葉 はい、企画書やコンペは筋肉質なドキュメントで「なるほど」の納得感を得ることはできるのですが、相手の感情を動かすには弱いところがあります。ピッチ時の振る舞いやスライドは、相手の感情を動かすエンタメ要素を組み込んだストーリーをピッチで上手く構成して表現することが必要です。たまに、会議時の企画書と同じ形でピッチ時のスライドを作成する方もいますが、企画会議でプロジェクタでスクリーンに投影して説明する話と、ピッチは別物だという認識が薄い場合にやりがちなミスです。

ピッチはエンターテインメント!ピッチを成功させる為の方程式とは?

相手を引きつける「クエスチョン」の作り方

廣渡 エンターテインメントの方程式である「?(クエスチョンマーク)→!(エクスクラメーションマーク)」の構造ですが、クエスチョンの作り方が肝だと思います。クエスチョンを作るスキルはどうしたら養えるのでしょうか?

千葉 クイズ問題はものすごく意識的・自覚的なクエスチョンの例ですが、大きなクエスチョンはひとつのストーリーの中で、せいぜい1つや2つ程度です。その過程に盛り込むクエスチョンは無意識・無自覚なクエスチョンの方が多いです。それを養うには、人間の無意識的な行動を観察することです。

例えば、AのボトルとBのボトルがあるとして、無意識にAのボトルを取ったとします。でもAのボトルを取った理由は何かしらあるはずです。取りやすい形状だったり、色が好みだったり、位置が近かったりと。その何気ない理由を追求することでクエスチョン→エクスクラメーションの構成を振り返ることができます。

廣渡 なるほど、この場合でのクエスチョンは「なぜ自分はAのボトルを取ったのか?」、エクスクラメーションは「取りやすい形だから!」と、自分で振り返るということですね。

千葉 はい、例えば。いずれにせよ、手に取るだけのアフォーダンス*1やコンテキストなどのインサイトがあったのだと思います。更に質を上げるには「良いエンターテインメントやクリエイティブは、クエスチョン→エクスクラメーションの構成に違和感がない」ということを頭にいれておくといいです。

例えば、ある映画のワンシーンでは、キャラクターが団地の階段を上がっていく場面があります。視聴者も階段を上がるのを予測しています。でもそのキャラクターは、すぐ階段を上らずに止まります。視聴者は一瞬、無意識にクエスチョンを感じます。するとおばさんが降りてきます。そこでまた、視聴者は無意識にエクスクラメーションを感じます。そうです。そのキャラクターは、階段を降りてくるおばさんを見たので、降りるのを待ってから階段を上がったのです。そして、そういう行動をするキャラクターなのです。

この「降りてくる人を待つ」というシーンは演出であり、階段を上るというストーリーの骨子ではないです。プラスアルファの要素で、一見、不必要ではあるものの、より日常生活のリアリティを描きしつつ、そのキャラクターの性格も視聴者に伝える効果があります。

廣渡 なるほど、言われて始めて納得しました。

千葉 そうなんです。クオリティの高いエンターテインメント作品に散りばめられた、細かいクエスチョン→エクスクラメーションの演出には違和感がありません。だから、全然気が付きません。そこを敢えて「なぜ違和感がないのか」を作り手の目線に立って観察できるようになれば、質の高いクエスチョンを作れるようになります。

廣渡 そのキーは自分や他人の行動を徹底的に観察することにありそうですね!今日から出来るだけ疑問を持つように注意してみます。

*1:アフォーダンスとは、与えられた環境の中で適合的に遂行することができる主体の行動ならびにその特性のこと。

上手いピッチはマジシャンを見習うべき

廣渡 ピッチにおけるマインドセットや準備を理解した上で、ピッチ本番にはどうのように振る舞えばいいのでしょうか?千葉さんならではの工夫点はありますか?

千葉 私は徹底して相手の「視線」に気を払います。ピッチが始まった瞬間にオーディエンスが、私を見ているか、スライドを見ているか、人によってバラバラです。まずは、そこを取りまとめます。先程ピッチに重要なのは「いかに飽きさせないか・惹きつけ続けるか」とお話したように、どれだけ注目を保持できるかが重要になってきます。

動物の生理的習性として動くものに目がいきます。そのため、私はピッチ中は常に動いています。ピッチ開始直後から舞台上で右から左へと動き続けます。オーディエンスは私を目で追うことになります。これでこちらが思う順序で視線移動をコントロールしやすくなります。

廣渡 やっぱりプレゼンターは動くべきなのですね。ちなみに狭い部屋でもスライドの前で動くべきですか?邪魔にならないかと心配になることがあるのですが。

千葉 狭くても動いてください。スライドの前でも動きます。スライドはTV番組における補完的なテロップです。演者がいて完結するテロップであり背景であり、主役は自分です。あの、私が目立ちたい訳ではないですよ?(笑)

廣渡 わかってます、わかってます!(笑) 戦略的にですよね(笑)

千葉 はい(笑) そしてピッチ中は一切スライドを見ません。常にオーディエンスに向かって話しています。オーディエンスの目を見ながら話し続け、重要な箇所だけ、意図的に自分が首を振ってスライドを見ます。そうするとオーディエンスはスライドに注目し、そのスライドに対する記憶が鮮明に刻まれるのです。

廣渡 たしかに、注目の的がプレゼンターからスライドに変わると新鮮に感じますね。完全に注目と注視をコントロールしていますね。

千葉 そうなんです。その点、マジシャンは注視コントロールのプロですよね。左手に視線を集めさせてクエスチョンを起こし、右手で次のエクスクラメーションを用意する、という。

廣渡 ピッチ上手になりたい人はマジックを習得するべき!ということですね(笑)

千葉 そうですね。実際に私もテーブルマジックをよくしています。見落としてしまいがちですが、相手への伝わりやすさを忘れてはいけません。起業家であると同時にエンターテイナーであることが大切です。

飽きないスライドの作り方

廣渡 オーディエンスを飽きさせないことに注力することが大切ということですが、スライドを作成する際に工夫するポイントはありますか?

千葉 スライド作成時のポイントは、「しゃべる為の資料を作る」ということです。先程もお話した通り、ピッチの主役は自分。そして基本的に相手の目を見て話し続けることが重要です。そのため、スライドはしゃべりの補足テロップとして機能を持たせるべきです。

廣渡 それは出来るだけ要約した短めの文がいいですか?

千葉 そうですね、オーディエンスがスライドを見ることで「この人は今この説明をしているんだな」と確認できるくらいの説明で大丈夫です。そして、数値やグラフは視覚での理解の方が早いので、そこはスライドを活用しましょう。逆に会議時の企画書等は、話を聞かなくても、資料だけを見ても理解できるように全てを盛り込みます。

廣渡 基本は話す内容の補足や要約事項を記載して、数値や表などスライドで伝わりやすい内容も多く組み込んでいく構成ですね。

千葉 そうですね。ピッチスライドの全体構成やアウトライン自体のTipsは、ネット上にも沢山転がっています。ポイントは演出として、クエスチョン→エクスクラメーションの要素が盛り込まれているか、チェックすることでしょうか。そうすれば、立て続けに何人もピッチするイベントでも、オーディエンスは、あなたのピッチを覚えていてくれる確率が高まります。

廣渡 非常に参考になります。今までのお話をまとめると、

  • ピッチは事実共有ではなく「エンターテインメント」である
  • エンターテインメントの方程式は「クエスチョンマーク→エクスクラメーションマークの構造」
  • ピッチ本番はオーディエンスの視線をハックする

…というこの3点で「相手の注目」を一番に重視していることがわかりました。

千葉 そうですね。起業家のピッチの目的は、取り組む課題や事業内容に共感してもらい、次のアクションを起こしてもらうことです。資金調達だったり、事業提携だったり。有形無形の応援なのです。起業家を応援したい人達が集まる舞台。そこに集まる皆さんの感情を動かすのが一番のゴールです。その点では、色々お話しましたが、「真摯さ・誠実さ」が最も重要だったりします。ピッチに小手先の技術なんて不必要。事業への思い・本気度が伝わるピッチこそが本当に良いピッチだと思っています。

廣渡 たしかに!その本質を忘れて、ついスライドのキレイさにこだわりがちですからね。。

千葉 究極、スライドなんて手書きでも、無くてもいいくらいですよ。相手に本気で自分の意思を伝えようと思えば、自然と相手の目を見て話すし、オーディエンスが飽きるような話し方にはなりません。緊張して声や手足が震えてもいいのです。そんなことで誰も嘲笑しません。人間は、真剣に取り組む誰かの感情を剥き出しで見せられた時には、自分自身の喜怒哀楽のどれかの感情が揺さぶられるものです。人がスポーツで感動するのは、参加者が全員、真剣だからです。

「自分の思いが100%伝えられるピッチか否か」

それが良いピッチなのかの判断です。

廣渡 ピッチ経験豊富な千葉さんならではのお言葉、ありがとうございます!
このインタビュー記事を通して一人でも多くの想いをもったプレゼンターの方を後押しできればと思います。また起業家候補の為になる情報等ありましたら、是非お話をお聞かせください。

千葉 はい、是非協力させてください!

 

インタビュー・構成:廣渡 裕介
編集:遠藤 桂視子

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ガイアックスのスタートアップスタジオでは、ビジネスアイディアの相談をオンラインで実施し、優れた事業案には200万円の出資を行っています。出資だけでなく、事業開発・エンジニアリング・バックオフィス等の支援も行うことにより、起業家は事業創出に注力することができます。
相談者の年齢関係なく、暖かく相談を実施しているので気軽にお問い合わせ下さい。

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「人と人をつなげて社会課題を解決するための事業」を作るために起業を考えている人に、投資とサポートを行っています。経理・労務などのバックオフィスからプロダクト開発の支援、事業責任者のメンタリングなど、投資するだけでなく、並走しつつ新しい事業を生み出します。起業する仲間を募集中。

  • 最終更新: 2021年7月27日

 

スタートアップや新規事業の立ち上げの際に、自分の事業を相手に伝えて資金調達や協力を得る必要があります。その際の発表方法としてピッチというビジネス用語があります。

語源はシリコンバレー発祥で、英語の【Pitch】「投げる」から。ピッチャーが投げる速い球のごとく、いかに短い言葉で相手の注意をひけるか、という意味合いです。

スタートアップ業界では、エレベーター内で到着階までに要件を伝える「エレベーターピッチ」という単語も生まれました。限られた時間で重要な要件を伝えることは簡単なことではありません。起業を考えている人や、資金調達を狙っている人は是非この機会に良いピッチ方法の知見を得てみてはいかがでしょうか?

今回のインタビューでは、ガイアックスの卒業生でもあり、ピッチ経験豊富なTRUSTDOCK代表取締役の千葉さんにお話をしていただきます。

TRUSTDOCKは、2021年6月にシリーズBラウンドで13億円の資金調達を実施しました。

千葉さんはこの過去4年で2つのピッチコンテストで優勝、ダブル受賞も2度経験し、14を超えるピッチコンテストに参加、9つのコンテストで様々な賞を受賞されています。

≫TRUSTDOCKのピッチコンテストでの受賞歴詳細はこちらからもご覧いただけます
「ピッチは優勝しなくても価値がある」。TRUSTDOCKのCEO千葉が語る「サービス成長にその場で繋げる」ピッチ戦略とは

TRUSTDOCKが提供するサービスは、デジタルによる本人確認の仕組みである「eKYC」。
これは「Know Your Customer(顧客を知る)」の略で、顧客確認や本人確認を意味する。eは「electronic」の略であり、2つをくっつけてeKYC(電子的な本人確認)という言葉を意味します。
新型コロナウイルス感染症の影響により、DX(デジタルトランスフォメーション)が進み、その先の「ニューノーマル」時代に突入すると、手間やコストや物理的な移動時間、対面することのリスクを減らす市場規模が益々拡大していくことが予想されています。
実際にTRUSTDOCKでは、24時間365日対応でサービスを提供するポイントが評価され企業のDXの加速をきっかけに、顧客が増加しているそう。

今回、リード資金を得たベンチャーキャピタルとの出会いもスタートアップカンファレンスで披露したピッチをきっかけに資金調達につながったとのこと。

起業家にとって事業をスケールするときに避けて通れない資金調達という道。
千葉さんから学ぶ「相手を落とす方程式」で、ピッチのコツをつかんでいきましょう。

千葉孝浩

千葉 孝浩

株式会社TRUSTDOCK 代表取締役

株式会社ガイアックスでR&D「シェアリングエコノミー×ブロックチェーン」でのデジタルID研究の結果を基に、日本初のe-KYC/本人確認API「TRUSTDOCK」を事業展開、そして公的個人認証とeKYCに両対応したデジタル身分証アプリと、各種法規制に対応したKYC業務のAPIインフラを提供するKYCの専門機関として独立。フィンテックやシェアサービスのeKYCをはじめ、行政手続きや公営ギャンブルなど、あらゆる業界業種のKYCを、24時間365日運用しているクラウド型KYCサービス。さらには本人確認だけでなく、銀行口座確認や、法人在籍確認、マイナンバー取得など、社会のデジタル化に必要なプロセスも全て提供し、デジタル・ガバメント構築を民間から支援している。経産省のオンラインでの身元確認の研究会での委員や、金融庁主催イベントにて、デジタルIDでの登壇など、KYC・デジタルアイデンティティ分野での登壇・講演活動多数。

廣渡 上記プロフィールでも少し記載がありますが、千葉さんが今されている事業の内容と今までのピッチの経験について教えてください。

千葉 はい、現在は「TRUSTDOCK」という本人確認・KYCのプラットフォームとデジタル身分証アプリを提供しています。今まで本人確認の照合を社内でアナログな手作業で行っていたのを、このサービスではAPIをつなぐだけで、当社のプラットフォーム側で確認処理して結果を返却するので、事業者の皆さんは、半自動で本人確認ができます。

ピッチは今まで100回以上はこなしています。自社サービスを各企業に営業する際はもちろんのこと、金融系やテック系のイベントにも多数参加し、ピッチを行ってきました。

ピッチはエンターテインメント!ピッチを成功させる為の方程式とは?
過去参加したピッチコンテスト

廣渡 コロナ禍でオンライン業務が増えていく今の社会で非常に需要のあるサービスですね。さまざまなイベントで賞も受賞されているんですね!千葉さんのこれまでの経歴もお聞きしてよろしいでしょうか?

千葉 私は大学在学中は建築を学びながら、個人事業を営んでいました。紙媒体のDTPデザインからウェブデザイン・映像制作など色んなクリエイティブワークで仕事を得ていたんです。

廣渡 学生の頃から既にビジネスを始めていたんですね!

千葉 あとは、小さい頃から漫画家になりたいという夢があり、大学卒業後に漫画家にもチャレンジしていました。雑誌で賞をもらったり、少年誌のアシスタントをしたりしていましたよ。建築も漫画も、芸術と技術が融合した総合力の世界なので、アートとロジックの両方の思考を持つようになりました。その思考がピッチにおいて大切で、ビジネスを成長させる鍵にもなっています。

廣渡 多種多様な経験をされてきたのですね。漫画家の経験とアートとロジックの思考がどうピッチに活きていくかが興味深いです!

ピッチはエンターテインメントである

廣渡 それでは早速、お伺いします。まず良いピッチには前提知識が必要ですか?

千葉 上手なピッチの仕方やスライドの作り方を学ぶ前に、ピッチの概念を理解しておく必要があります。ピッチの目的は企画を相手に伝えることですよね。一般的に、企画を伝えるシーンや方法はどんなものがあると思いますか?

廣渡 なんでしょう。まずはプレセンテーションする「ピッチ」と、営業時やコンペ等で企画や提案をまとめた「企画書や提案書」の2つがあるかと思います。

千葉 そうですよね、実はその2つは全く異なるものだと認識する必要があります。舞台の上で立って行う「ピッチ」はエンターテインメントです。そしてそれは、会議室で座って行う会議時の「企画書や提案書」とはかなり異って特別な作り方をする必要があります。

廣渡 ピッチはエンターテインメントですか!

千葉 そうです。ピッチはオーディエンスに向けたエンタメパフォーマンスです。これは私が漫画家修行をしていた頃の話に戻ります。漫画はエンタメです。エンタメのプロでもある漫画雑誌の編集者の方に教わったエンタメ論がピッチでも活きているのですが、このあらゆるエンタメには、共通する方程式があります。

廣渡 エンターテインメントの方程式ですか!それは気になります。

千葉 それは「?(クエスチョンマーク)→!(エクスクラメーションマーク)」の流れでタイムラインの構造を作っていくことです。

※エクスクラメーションマーク=ビックリマーク

廣渡 疑問を最初に出して答えを出すという流れということですか?

千葉 はい、そういった意味でクイズは最小単位のエンターテインメントですね。問題(クエスチョンマーク)で興味を引きつけ、答え(エクスクラメーションマーク)で「なるほど」と納得させます。

このエンターテインメントの方程式はいかなる領域でも当てはまります。漫画でも小説でも映画でも漫才でも、そしてビジネスでも。先程話したように、ピッチはエンタメです。この「?(クエスチョンマーク)→!(エクスクラメーションマーク)」の構造をどのように配置できるかが重要になってきます。

廣渡 具体的にその構成はどういった目的があるのでしょうか?

千葉 「?(クエスチョンマーク)→!(エクスクラメーションマーク)」の構造の一番の効果は、相手を「飽きさせない・惹きつけ続ける」ことにあります。実は漫画のコマ割や紙面構成でもこの構成が考慮されているのを知っていますか?

廣渡 漫画における飽きさせないコツですか?考えたこともなかったです。どういった工夫があるのでしょうか?

千葉 見開きページの左下、いわゆる次のページをめくる最後のコマで、「?(クエスチョンマーク)」を配置することです。ページの最後で気になる疑問を振られることで読み手は積極的にページをめくりたい衝動にかられます。クイズ番組で正解の前にCMを挟むのも同様の手法です。

廣渡 たしかに疑問を持たされた状態で本を閉じることはないですね。よくよく考えてみると、あっという間に読みきった書籍や漫画にはそういった工夫がされているのかも……。

千葉 はい、それをピッチ時の振る舞いや投影するスライドにも応用する必要があります。逆に会議時の企画書やドキュメントは、背景や要件、具体的な企画内容や、時には詳細な参考情報も含め、「!(エクスクラメーションマーク)」の納得を積み重ねて、納得感を最大化する構造を作る必要があります。ビジネスの意思決定の現場では、ショーを観に来たわけではないので、エンタメの方程式な資料構成で提案されると、人によっては毛嫌いされます。エンタメな対話はいりません。

廣渡 事実だけを並べて要点を分かりやすくまとめる構造ですね。

千葉 はい、企画書やコンペは筋肉質なドキュメントで「なるほど」の納得感を得ることはできるのですが、相手の感情を動かすには弱いところがあります。ピッチ時の振る舞いやスライドは、相手の感情を動かすエンタメ要素を組み込んだストーリーをピッチで上手く構成して表現することが必要です。たまに、会議時の企画書と同じ形でピッチ時のスライドを作成する方もいますが、企画会議でプロジェクタでスクリーンに投影して説明する話と、ピッチは別物だという認識が薄い場合にやりがちなミスです。

ピッチはエンターテインメント!ピッチを成功させる為の方程式とは?

相手を引きつける「クエスチョン」の作り方

廣渡 エンターテインメントの方程式である「?(クエスチョンマーク)→!(エクスクラメーションマーク)」の構造ですが、クエスチョンの作り方が肝だと思います。クエスチョンを作るスキルはどうしたら養えるのでしょうか?

千葉 クイズ問題はものすごく意識的・自覚的なクエスチョンの例ですが、大きなクエスチョンはひとつのストーリーの中で、せいぜい1つや2つ程度です。その過程に盛り込むクエスチョンは無意識・無自覚なクエスチョンの方が多いです。それを養うには、人間の無意識的な行動を観察することです。

例えば、AのボトルとBのボトルがあるとして、無意識にAのボトルを取ったとします。でもAのボトルを取った理由は何かしらあるはずです。取りやすい形状だったり、色が好みだったり、位置が近かったりと。その何気ない理由を追求することでクエスチョン→エクスクラメーションの構成を振り返ることができます。

廣渡 なるほど、この場合でのクエスチョンは「なぜ自分はAのボトルを取ったのか?」、エクスクラメーションは「取りやすい形だから!」と、自分で振り返るということですね。

千葉 はい、例えば。いずれにせよ、手に取るだけのアフォーダンス*1やコンテキストなどのインサイトがあったのだと思います。更に質を上げるには「良いエンターテインメントやクリエイティブは、クエスチョン→エクスクラメーションの構成に違和感がない」ということを頭にいれておくといいです。

例えば、ある映画のワンシーンでは、キャラクターが団地の階段を上がっていく場面があります。視聴者も階段を上がるのを予測しています。でもそのキャラクターは、すぐ階段を上らずに止まります。視聴者は一瞬、無意識にクエスチョンを感じます。するとおばさんが降りてきます。そこでまた、視聴者は無意識にエクスクラメーションを感じます。そうです。そのキャラクターは、階段を降りてくるおばさんを見たので、降りるのを待ってから階段を上がったのです。そして、そういう行動をするキャラクターなのです。

この「降りてくる人を待つ」というシーンは演出であり、階段を上るというストーリーの骨子ではないです。プラスアルファの要素で、一見、不必要ではあるものの、より日常生活のリアリティを描きしつつ、そのキャラクターの性格も視聴者に伝える効果があります。

廣渡 なるほど、言われて始めて納得しました。

千葉 そうなんです。クオリティの高いエンターテインメント作品に散りばめられた、細かいクエスチョン→エクスクラメーションの演出には違和感がありません。だから、全然気が付きません。そこを敢えて「なぜ違和感がないのか」を作り手の目線に立って観察できるようになれば、質の高いクエスチョンを作れるようになります。

廣渡 そのキーは自分や他人の行動を徹底的に観察することにありそうですね!今日から出来るだけ疑問を持つように注意してみます。

*1:アフォーダンスとは、与えられた環境の中で適合的に遂行することができる主体の行動ならびにその特性のこと。

上手いピッチはマジシャンを見習うべき

廣渡 ピッチにおけるマインドセットや準備を理解した上で、ピッチ本番にはどうのように振る舞えばいいのでしょうか?千葉さんならではの工夫点はありますか?

千葉 私は徹底して相手の「視線」に気を払います。ピッチが始まった瞬間にオーディエンスが、私を見ているか、スライドを見ているか、人によってバラバラです。まずは、そこを取りまとめます。先程ピッチに重要なのは「いかに飽きさせないか・惹きつけ続けるか」とお話したように、どれだけ注目を保持できるかが重要になってきます。

動物の生理的習性として動くものに目がいきます。そのため、私はピッチ中は常に動いています。ピッチ開始直後から舞台上で右から左へと動き続けます。オーディエンスは私を目で追うことになります。これでこちらが思う順序で視線移動をコントロールしやすくなります。

廣渡 やっぱりプレゼンターは動くべきなのですね。ちなみに狭い部屋でもスライドの前で動くべきですか?邪魔にならないかと心配になることがあるのですが。

千葉 狭くても動いてください。スライドの前でも動きます。スライドはTV番組における補完的なテロップです。演者がいて完結するテロップであり背景であり、主役は自分です。あの、私が目立ちたい訳ではないですよ?(笑)

廣渡 わかってます、わかってます!(笑) 戦略的にですよね(笑)

千葉 はい(笑) そしてピッチ中は一切スライドを見ません。常にオーディエンスに向かって話しています。オーディエンスの目を見ながら話し続け、重要な箇所だけ、意図的に自分が首を振ってスライドを見ます。そうするとオーディエンスはスライドに注目し、そのスライドに対する記憶が鮮明に刻まれるのです。

廣渡 たしかに、注目の的がプレゼンターからスライドに変わると新鮮に感じますね。完全に注目と注視をコントロールしていますね。

千葉 そうなんです。その点、マジシャンは注視コントロールのプロですよね。左手に視線を集めさせてクエスチョンを起こし、右手で次のエクスクラメーションを用意する、という。

廣渡 ピッチ上手になりたい人はマジックを習得するべき!ということですね(笑)

千葉 そうですね。実際に私もテーブルマジックをよくしています。見落としてしまいがちですが、相手への伝わりやすさを忘れてはいけません。起業家であると同時にエンターテイナーであることが大切です。

飽きないスライドの作り方

廣渡 オーディエンスを飽きさせないことに注力することが大切ということですが、スライドを作成する際に工夫するポイントはありますか?

千葉 スライド作成時のポイントは、「しゃべる為の資料を作る」ということです。先程もお話した通り、ピッチの主役は自分。そして基本的に相手の目を見て話し続けることが重要です。そのため、スライドはしゃべりの補足テロップとして機能を持たせるべきです。

廣渡 それは出来るだけ要約した短めの文がいいですか?

千葉 そうですね、オーディエンスがスライドを見ることで「この人は今この説明をしているんだな」と確認できるくらいの説明で大丈夫です。そして、数値やグラフは視覚での理解の方が早いので、そこはスライドを活用しましょう。逆に会議時の企画書等は、話を聞かなくても、資料だけを見ても理解できるように全てを盛り込みます。

廣渡 基本は話す内容の補足や要約事項を記載して、数値や表などスライドで伝わりやすい内容も多く組み込んでいく構成ですね。

千葉 そうですね。ピッチスライドの全体構成やアウトライン自体のTipsは、ネット上にも沢山転がっています。ポイントは演出として、クエスチョン→エクスクラメーションの要素が盛り込まれているか、チェックすることでしょうか。そうすれば、立て続けに何人もピッチするイベントでも、オーディエンスは、あなたのピッチを覚えていてくれる確率が高まります。

廣渡 非常に参考になります。今までのお話をまとめると、

  • ピッチは事実共有ではなく「エンターテインメント」である
  • エンターテインメントの方程式は「クエスチョンマーク→エクスクラメーションマークの構造」
  • ピッチ本番はオーディエンスの視線をハックする

…というこの3点で「相手の注目」を一番に重視していることがわかりました。

千葉 そうですね。起業家のピッチの目的は、取り組む課題や事業内容に共感してもらい、次のアクションを起こしてもらうことです。資金調達だったり、事業提携だったり。有形無形の応援なのです。起業家を応援したい人達が集まる舞台。そこに集まる皆さんの感情を動かすのが一番のゴールです。その点では、色々お話しましたが、「真摯さ・誠実さ」が最も重要だったりします。ピッチに小手先の技術なんて不必要。事業への思い・本気度が伝わるピッチこそが本当に良いピッチだと思っています。

廣渡 たしかに!その本質を忘れて、ついスライドのキレイさにこだわりがちですからね。。

千葉 究極、スライドなんて手書きでも、無くてもいいくらいですよ。相手に本気で自分の意思を伝えようと思えば、自然と相手の目を見て話すし、オーディエンスが飽きるような話し方にはなりません。緊張して声や手足が震えてもいいのです。そんなことで誰も嘲笑しません。人間は、真剣に取り組む誰かの感情を剥き出しで見せられた時には、自分自身の喜怒哀楽のどれかの感情が揺さぶられるものです。人がスポーツで感動するのは、参加者が全員、真剣だからです。

「自分の思いが100%伝えられるピッチか否か」

それが良いピッチなのかの判断です。

廣渡 ピッチ経験豊富な千葉さんならではのお言葉、ありがとうございます!
このインタビュー記事を通して一人でも多くの想いをもったプレゼンターの方を後押しできればと思います。また起業家候補の為になる情報等ありましたら、是非お話をお聞かせください。

千葉 はい、是非協力させてください!

 

インタビュー・構成:廣渡 裕介
編集:遠藤 桂視子

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