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“こうあるべき”家族のカタチにとらわれない、ただ“無条件に愛する”ということ。

Gaiax bards

吉田朋子

ソーシャルメディアマーケティング事業部・マネージャー
 
 

2009年にガイアックス入社。エアリー事業部でサポート、営業を経験したのち、ソーシャルメディアマーケティング事業部にディレクターとして異動。大手企業を中心にSNSコンサルタントとして、企業のSNSマーケティングの戦略および運用支援、リスク管理のガイドライン作成などを行う。

日比朝子

 
 

2016年にガイアックスに入社し、2020年3月に卒業。シェアリングエコノミーサービス TABICAの立ち上げや、ソーシャルメディアマーケティング事業部にてインフルエンサー向けメディアの編集業務や企業向けのコンサルティング業務に従事。現在は、東南アジアや日本を中心に次世代の産業創出を行うベンチャービルダーのとあるベンチャーキャピタルにて成人発達理論を活用した起業家支援を行う。

新しい家族のあり方

「多様性」という言葉を様々な場面で目にするようになりました。人種やジェンダーも、価値観・信仰・国籍・言語など、色々な観点で多様性について語られています。

一昔前までは、 “普通ではない家族の形”は、存在していたと思いますが話題に上がることはなかったように感じます。

しかし、様々な多様性が可視化されていくにあたり、家族のカタチも多様化していくのは必然かもしれません。

今回は、自分たちらしい家族のあり方を模索し、実践しているメンバーをご紹介します。

吉田朋子さんと日比朝子さんはガイアックスで出会い、2021年6月にパートナーシップ宣誓をしました。そのニュースをFacebookで知り、今回のインタビューに至りました。

現在、神奈川県茅ヶ崎市で、吉田さんと日比さん、そして吉田さんの小学校3年生の息子さんと、元夫と4人での生活を送っています。固定概念に縛られず、試行錯誤しながら丁寧に「幸せ」に向き合っているお二人に、4人での生活を始めるに至った経緯や、現在の生活、また息子さんとのコミュニケーションについてお聞きしました。

自分たち以外から「家族」として認められる状態を作りたかった

吉田さんと日比さんは、茅ヶ崎市で今年4月から始まったパートナーシップ宣誓制度を活用したとのこと。なぜパートナーシップ宣誓をしようと思ったのか、なぜこのタイミングだったのか、お二人にお話を伺いました。

日比 実は、パートナーシップ宣誓制度を活用することにこだわりはなかったんです。昨年12月に茅ヶ崎市に引っ越してきたタイミングでは、茅ヶ崎市に宣誓制度があるかないかすら知りませんでした。茅ヶ崎の広報誌でたまたま目にして今年4月から制度ができることを知りました。ぶっちゃけ結婚と異なり、法的な拘束力もなく戸籍が変わることもないので、形式的なものではあるなぁと。

吉田 とはいえ、私たちもしばらくはここに住むと思っているので、以前から私たちの中では「家族」として生活をしてきたけれども、学校や病院といった場所でより家族として認められている状態を作りたかったという理由もあります。

「4人でパートナーがいい」。きっかけは息子の言葉

普通に聞くと複雑な関係のように思う4人で家族という過ごし方。そこに至ったのはどのような背景だったのでしょうか。

吉田 大前提として、大人3人で子どもを育てていきたいということを「面白いね」と受け止めてくれた元夫の存在は大きいです。息子に話す前から、息子を中心としたチームであろう、という話は3人でしていました。

息子への伝え方やタイミングも3人で慎重に進めていく中で、息子に日比さんとパートナーとして生活していきたいという話をしました。その時に息子から、2人でのパートナーではなく、自分や元夫を含めた4人でのパートナーがいいと言われたんです。その時は、その気持ちも受け止めて、「みんなが合意できる形でできるならいいかもしれないね」と話をしました。

日比 どういう反応になるのかとても緊張していたので、嫌だっていう反応じゃなくて、4人でパートナーがいいっていう肯定的な反応が返ってきたのは、すごく嬉しかったですね。そんな発想は私の中にもなかったので。

吉田 息子の中ではなんでも「みんなで一緒に何かをしたい」という思いが強く、それが4人での生活という発想になったのだと思います。そのタイミングで4人での生活を前向きに考えてみることにしました。さっそく大人3人でオンラインミーティングをして、4人で住むことについて何度も話し合いをしました。自然の多いところを条件に、全国どこでも候補に入れて考えて、実際に福岡で2週間過ごしてみたこともありました(笑)

息子のような、兄弟のような、友だちのような存在

とはいえ、息子さんも日比さんもお互いどのように接していたのでしょうか。

吉田 一番最初に話をしたのは、息子が1年生の時でした。2人が初めて会った時には、初対面なのに昔からの友だちのように仲良くなっていて、会った次の日には一緒に夏休みの宿題をしていましたね(笑)。

もともと人見知りがなく、誰とでもコミュニケーションをとれるタイプだという息子さん。「一緒に遊ぼう」という息子さんからのお誘いを、「No」と言えないタイプの日比さんは「はい」と受け入れていたそうです。息子さんにとっては、よく遊んでくれる大きな友だちができたような感覚だったのかもしれません。

日比 「お母さんのパートナー」として見られるより、まずは「日比ちゃんという人間」を見てもらいたかったので、私自身が彼とどのような関係性を築いていくかを常に考えながら動いていました。一番最初は、お互いに友だちになる感覚で関係性を構築することを意識していました。初めは「怒ること」に心理的なハードルを感じていたんですが、徐々に関係性ができていく中で怒る・注意するということができるようになってきて。今では親でもあり、兄弟のようでもあり、吉田さんが怒った時には一緒にふざける悪友のようなポジションになることもあります。

何かあったら、その日のうちに話し合う時間をとる

茅ヶ崎市にお引っ越しをされてからは、家が広くなったこともあり、快適な暮らしを送っているそうです。ただ、そうはいっても、息子さんにとっては転校も含めて大きな環境の変化があったと思います。この半年間でどのような工夫をされてきたのでしょうか。

吉田 大人たち3人の中では常に息子を中心に考えていて、環境が変わっても、どうしたら息子が心地よくいられるかということだけを考えていました。息子はずっと野球チームに所属していて、引っ越してからも通い続けるには往復で4時間くらいかかるんです。でも、野球を辞めてしまうと、息子にとっての変わらないコミュニティがなくなってしまいます。だからそこは私たちも、息子が通い続けられるようにサポートすると決めて、何かあった時に彼の拠り所となるような場を確保できるように意識しました。

吉田 また、大人3人での生活も初めてのことだったので、まず、ゴミ捨てや掃除の係など、ルールを細かく決めました。
私にとっては重要なことが2人にはそうではないことがあって…。「なんで?!」と怒ってよく喧嘩をしていました(笑)。

何かあった時にはその日のうちに話し合う時間をとって、「じゃあ次はどうするか?」というところまで話して仲直りをしているそう。

日比 私と吉田さんは激烈な喧嘩をするんです(笑)。でも、一旦感情を出し合った後で「なんで感情が動いたのか?」をしっかりと話すようにしています。別に隠すことでもないと思っているので、喧嘩は彼の前でもしています。喧嘩もするけど、話し合って仲直りしていくというところまで全部見せています。

吉田 最近は、息子から「ママ、日比ちゃんと喧嘩してるの?ちゃんと仲直りしてね」と注意されます(笑)。

喧嘩しても、話し合って修復できる。その姿を見せることも教育の1つだなと思いました。

では、息子さんは新しい生活になってどんな様子だったのでしょうか。また、学校のお友だちに対して、ご家庭の状況をどのように説明しているのかも気になるところです。

日比 もうこれは彼の能力だと思うのですけど、「1年生の時から通っていたんじゃないか?」というくらい、新しい学校に馴染んでいます。東京に住んでいた時と比較してお友だちが近くに住んでいるので、すぐに遊びにいけるのはいい環境だなと感じています。

学校のお友だちに対しては、私のことを「お母さんの会社の友人」と伝えているみたいです。少し悲しさを感じますが、彼の中に簡単に説明できるラベルがないので、伝え方も難しいのだと思います。小学3年生でいきなり「お母さんのパートナーです」と説明するのも難しいと思いますし、説明する必要もないかなと。

吉田 息子の中にも、小学校のお友だちにも、「パートナー」という概念がまだないのだと思います。もっと成長して、「パートナー」という言葉が定義された時に使えるんでしょうね。

親として、愛することはできる

同性カップルの方々の中には、将来子どもをもちたいという気持ちはあっても、もしもいじめられたり、悲しい思いをしたりすることになったらどうしようという不安の声を聞くこともありますが、日比さんは将来子どもをもつことも検討しているそう。

日比 同性カップルが子どもを育てることへの不安は常に付き纏いますよね。将来を確実に想像できるわけじゃないので、とても難しい領域の話です。仕事の関係で発達理論を勉強している中で、現時点での私の結論としては、親としてできることは子どもを無条件に愛することだけだなと思っています。

もしかしたら将来、自分の子どもが偏見をもたれたりすることがあるかもしれない。それでも、その中でサポートすることはできるし、その子がどういう状態でも、「大丈夫。私たちはちゃんと大好きだよ」という安心の基盤を提供できるとは思っています。親として「守る」というよりは、「愛する」ということならできるんじゃないかな。

パートナーシップ制度を導入する自治体は増えつつありますが、日本で同性婚が認められるのにはまだまだ時間がかかるのではないか、という意見もあります。

日比 何を大事にするか、というのはありますよね。私も、「何を家族と捉えるか」ということはよく考えています。社会において変わらない部分にフォーカスすると本当に息苦しくなっちゃうんですけど、多くのLGBTQの先輩たちが状況を改善するために動いてきた中で、だいぶ変わった部分もあると思うんです。うちの場合は、吉田さんの息子は戸籍上は他人ということになりますが、彼は「日比ちゃんは家族」と言ってくれている。だからこそ、「家族って何だっけ?」ということを問いながら、社会に何かしらの変化を起こせるように動いていけたらいいなと思っています。

見たいと願う変化に、自分たち自身がなる

“普通”の外側に出ようとすると、色々と悩むこともあるのではないかな、と思ってお話を伺っていたのですが、お二人からはとても軽やかな印象を受けました。どうしてそんなにも明るく、軽やかなのか。質問せずにはいられませんでした。

吉田 子どもがいると毎日いろんなことが起こるんですよね。初めての習字で上履きが真っ黒になって帰ってきたり、蚕をもって帰ってきたり。水溜りで全身びしょ濡れになって、着替えて帰ってきたり。毎日がコンテンツだなと思って面白く過ごしています。

あとは、これまでは例えば子どもの教育についても、私と元夫の2人の選択肢しかない状態でした。そうすると、A or Bという選択しかできない。それに対して今は、大人3人で話し合いができるので、些細なことも選択肢が無限だなと感じています。

日比 私は20代前半で女性が好きなんだと気づいてから、親に打ち明けるのも4年くらい時間がかかったし、すごく苦しくなった経験もあります。でも、結局選択でしかないんですよね。私は今、「幸せである」ということを意思決定し、「どう楽しくあるか」ということを選択しています。LGBTQとまとめられたことで、注目されやすくなったり、声を上げられるようになった面もあると思います。一方で、一緒くたにされてしまうことで苦しさを感じる方もいます。

最後に、そんな方に向けて、日比さんからメッセージをいただきました。

日比 LGBTQとひとまとめにされていますが、その中にも多様性があります。それを一緒くたにまとめて可視化しているのには、政治的な意図や経済的な意図など、様々な意図が入っているのだろうと思います。

そうした時に、一人一人が「自分は何を大切にしたいんだっけ?」ということを考えてくれるといいなと願っています。こんなにも分断が起きやすくて、炎上もしやすい世の中で、どのように人と接するのか。すべての人が色々なマイノリティ性をもっていて、マジョリティって実はないんだと思います。一人一人がもっているマイノリティ性はLGBTQや障害者であることもあれば、もっと見えないものかもしれない。そもそもマジョリティ/マイノリティって分けることもナンセンスですしね。その中で、自分は何を大切にして他者と接するのかを考えて選択していきたいなと。ただ、本当に苦しくなったら、逃げたり、助けてって言うことも大事だと思っています。

お二人のメッセージに勇気をもらえる方がたくさんいらっしゃると思います。ありがとうございました!

インタビュー:遠藤桂視子
ライティング:黒岩麻衣

編集後記
インタビューは、ガイアックスの他のLGBTQメンバーも参加し、その対話の内容を含めて、記事内容を構成させていただきました。
今回は「LGBTQ」や「家族」という切り口から、吉田さんや日比さんのストーリーをご紹介しましたが、日比さんもお話しされていたように、本来は色々な人が色々なマイノリティ性をもっており、「枠」にはめ込もうとすることに無理があったのかもしれません。
お二人は、その枠を音を立てながら拡げていると感じました。

また記事内では焦点の当たらなかった元旦那さんのこと、そして息子さん視点からのお話を少しご紹介します。
吉田さんと日比さんが新しい人生をスタートさせたように、元旦那さんも現在婚約者を迎え、それぞれが新たな人生を歩み始めました。そしてまた暮らし方が変容していく中で息子さんとの子育てはすべての大人が等しく時間を過ごせるように全員で話し合い常に心がけているそうです。
そんな中 息子さんからは新しい生活を迎え、4人で住むのが叶った時はどう感じたか?という問いには「家族が増えたのが嬉しい、家族が増えて欲しいから赤ちゃんが欲しい」ということ。4人で住んでいる時に感じたことは「それぞれがやりたいことをしていて、僕のこともほっといてくれるから自分でもいろんなことを考えることができて、楽しく過ごせている。」とコメントをいただいています。

この記事が、「こうあるべき」という枠によって苦しさを感じている方にとって、それぞれの幸せな選択をする後押しになれば幸いです。

一人ひとりが自分らしくいれるように

さまざまな人が暮らすこの地球で社会の課題を解決していくためには、小さくとも、まず私たちがそのようなコミュニティを作っていくことが重要だと考えています。人種、年齢、宗教、性別、家族構成などに関係なく、全ての人が自分らしく働ける。ガイアックスでは、そんな環境を目指しています。

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オンライン座談会

ガイアックスは、「自由すぎる企業」と呼ばれることがあります。
給料は自分で交渉して決める、裁量権に縛られない、退職者の6割が起業する、などのユニークな働き方を取り入れています。
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「Bard」とは「詩人」という意味。情報が手に入りづらい時代、詩人たちは歌という形にのせ、世界中のストーリーやニュースを人々に届けていました。編集チーム「Gaiax Bards」では、透明性を目指してGaiaxのありのままを発信し、ユニークなカルチャーやビジネス情報などさまざまなストーリーをお届けします。

吉田朋子

ソーシャルメディアマーケティング事業部・マネージャー
 
 

2009年にガイアックス入社。エアリー事業部でサポート、営業を経験したのち、ソーシャルメディアマーケティング事業部にディレクターとして異動。大手企業を中心にSNSコンサルタントとして、企業のSNSマーケティングの戦略および運用支援、リスク管理のガイドライン作成などを行う。

日比朝子

 
 

2016年にガイアックスに入社し、2020年3月に卒業。シェアリングエコノミーサービス TABICAの立ち上げや、ソーシャルメディアマーケティング事業部にてインフルエンサー向けメディアの編集業務や企業向けのコンサルティング業務に従事。現在は、東南アジアや日本を中心に次世代の産業創出を行うベンチャービルダーのとあるベンチャーキャピタルにて成人発達理論を活用した起業家支援を行う。

新しい家族のあり方

「多様性」という言葉を様々な場面で目にするようになりました。人種やジェンダーも、価値観・信仰・国籍・言語など、色々な観点で多様性について語られています。

一昔前までは、 “普通ではない家族の形”は、存在していたと思いますが話題に上がることはなかったように感じます。

しかし、様々な多様性が可視化されていくにあたり、家族のカタチも多様化していくのは必然かもしれません。

今回は、自分たちらしい家族のあり方を模索し、実践しているメンバーをご紹介します。

吉田朋子さんと日比朝子さんはガイアックスで出会い、2021年6月にパートナーシップ宣誓をしました。そのニュースをFacebookで知り、今回のインタビューに至りました。

現在、神奈川県茅ヶ崎市で、吉田さんと日比さん、そして吉田さんの小学校3年生の息子さんと、元夫と4人での生活を送っています。固定概念に縛られず、試行錯誤しながら丁寧に「幸せ」に向き合っているお二人に、4人での生活を始めるに至った経緯や、現在の生活、また息子さんとのコミュニケーションについてお聞きしました。

自分たち以外から「家族」として認められる状態を作りたかった

吉田さんと日比さんは、茅ヶ崎市で今年4月から始まったパートナーシップ宣誓制度を活用したとのこと。なぜパートナーシップ宣誓をしようと思ったのか、なぜこのタイミングだったのか、お二人にお話を伺いました。

日比 実は、パートナーシップ宣誓制度を活用することにこだわりはなかったんです。昨年12月に茅ヶ崎市に引っ越してきたタイミングでは、茅ヶ崎市に宣誓制度があるかないかすら知りませんでした。茅ヶ崎の広報誌でたまたま目にして今年4月から制度ができることを知りました。ぶっちゃけ結婚と異なり、法的な拘束力もなく戸籍が変わることもないので、形式的なものではあるなぁと。

吉田 とはいえ、私たちもしばらくはここに住むと思っているので、以前から私たちの中では「家族」として生活をしてきたけれども、学校や病院といった場所でより家族として認められている状態を作りたかったという理由もあります。

「4人でパートナーがいい」。きっかけは息子の言葉

普通に聞くと複雑な関係のように思う4人で家族という過ごし方。そこに至ったのはどのような背景だったのでしょうか。

吉田 大前提として、大人3人で子どもを育てていきたいということを「面白いね」と受け止めてくれた元夫の存在は大きいです。息子に話す前から、息子を中心としたチームであろう、という話は3人でしていました。

息子への伝え方やタイミングも3人で慎重に進めていく中で、息子に日比さんとパートナーとして生活していきたいという話をしました。その時に息子から、2人でのパートナーではなく、自分や元夫を含めた4人でのパートナーがいいと言われたんです。その時は、その気持ちも受け止めて、「みんなが合意できる形でできるならいいかもしれないね」と話をしました。

日比 どういう反応になるのかとても緊張していたので、嫌だっていう反応じゃなくて、4人でパートナーがいいっていう肯定的な反応が返ってきたのは、すごく嬉しかったですね。そんな発想は私の中にもなかったので。

吉田 息子の中ではなんでも「みんなで一緒に何かをしたい」という思いが強く、それが4人での生活という発想になったのだと思います。そのタイミングで4人での生活を前向きに考えてみることにしました。さっそく大人3人でオンラインミーティングをして、4人で住むことについて何度も話し合いをしました。自然の多いところを条件に、全国どこでも候補に入れて考えて、実際に福岡で2週間過ごしてみたこともありました(笑)

息子のような、兄弟のような、友だちのような存在

とはいえ、息子さんも日比さんもお互いどのように接していたのでしょうか。

吉田 一番最初に話をしたのは、息子が1年生の時でした。2人が初めて会った時には、初対面なのに昔からの友だちのように仲良くなっていて、会った次の日には一緒に夏休みの宿題をしていましたね(笑)。

もともと人見知りがなく、誰とでもコミュニケーションをとれるタイプだという息子さん。「一緒に遊ぼう」という息子さんからのお誘いを、「No」と言えないタイプの日比さんは「はい」と受け入れていたそうです。息子さんにとっては、よく遊んでくれる大きな友だちができたような感覚だったのかもしれません。

日比 「お母さんのパートナー」として見られるより、まずは「日比ちゃんという人間」を見てもらいたかったので、私自身が彼とどのような関係性を築いていくかを常に考えながら動いていました。一番最初は、お互いに友だちになる感覚で関係性を構築することを意識していました。初めは「怒ること」に心理的なハードルを感じていたんですが、徐々に関係性ができていく中で怒る・注意するということができるようになってきて。今では親でもあり、兄弟のようでもあり、吉田さんが怒った時には一緒にふざける悪友のようなポジションになることもあります。

何かあったら、その日のうちに話し合う時間をとる

茅ヶ崎市にお引っ越しをされてからは、家が広くなったこともあり、快適な暮らしを送っているそうです。ただ、そうはいっても、息子さんにとっては転校も含めて大きな環境の変化があったと思います。この半年間でどのような工夫をされてきたのでしょうか。

吉田 大人たち3人の中では常に息子を中心に考えていて、環境が変わっても、どうしたら息子が心地よくいられるかということだけを考えていました。息子はずっと野球チームに所属していて、引っ越してからも通い続けるには往復で4時間くらいかかるんです。でも、野球を辞めてしまうと、息子にとっての変わらないコミュニティがなくなってしまいます。だからそこは私たちも、息子が通い続けられるようにサポートすると決めて、何かあった時に彼の拠り所となるような場を確保できるように意識しました。

吉田 また、大人3人での生活も初めてのことだったので、まず、ゴミ捨てや掃除の係など、ルールを細かく決めました。
私にとっては重要なことが2人にはそうではないことがあって…。「なんで?!」と怒ってよく喧嘩をしていました(笑)。

何かあった時にはその日のうちに話し合う時間をとって、「じゃあ次はどうするか?」というところまで話して仲直りをしているそう。

日比 私と吉田さんは激烈な喧嘩をするんです(笑)。でも、一旦感情を出し合った後で「なんで感情が動いたのか?」をしっかりと話すようにしています。別に隠すことでもないと思っているので、喧嘩は彼の前でもしています。喧嘩もするけど、話し合って仲直りしていくというところまで全部見せています。

吉田 最近は、息子から「ママ、日比ちゃんと喧嘩してるの?ちゃんと仲直りしてね」と注意されます(笑)。

喧嘩しても、話し合って修復できる。その姿を見せることも教育の1つだなと思いました。

では、息子さんは新しい生活になってどんな様子だったのでしょうか。また、学校のお友だちに対して、ご家庭の状況をどのように説明しているのかも気になるところです。

日比 もうこれは彼の能力だと思うのですけど、「1年生の時から通っていたんじゃないか?」というくらい、新しい学校に馴染んでいます。東京に住んでいた時と比較してお友だちが近くに住んでいるので、すぐに遊びにいけるのはいい環境だなと感じています。

学校のお友だちに対しては、私のことを「お母さんの会社の友人」と伝えているみたいです。少し悲しさを感じますが、彼の中に簡単に説明できるラベルがないので、伝え方も難しいのだと思います。小学3年生でいきなり「お母さんのパートナーです」と説明するのも難しいと思いますし、説明する必要もないかなと。

吉田 息子の中にも、小学校のお友だちにも、「パートナー」という概念がまだないのだと思います。もっと成長して、「パートナー」という言葉が定義された時に使えるんでしょうね。

親として、愛することはできる

同性カップルの方々の中には、将来子どもをもちたいという気持ちはあっても、もしもいじめられたり、悲しい思いをしたりすることになったらどうしようという不安の声を聞くこともありますが、日比さんは将来子どもをもつことも検討しているそう。

日比 同性カップルが子どもを育てることへの不安は常に付き纏いますよね。将来を確実に想像できるわけじゃないので、とても難しい領域の話です。仕事の関係で発達理論を勉強している中で、現時点での私の結論としては、親としてできることは子どもを無条件に愛することだけだなと思っています。

もしかしたら将来、自分の子どもが偏見をもたれたりすることがあるかもしれない。それでも、その中でサポートすることはできるし、その子がどういう状態でも、「大丈夫。私たちはちゃんと大好きだよ」という安心の基盤を提供できるとは思っています。親として「守る」というよりは、「愛する」ということならできるんじゃないかな。

パートナーシップ制度を導入する自治体は増えつつありますが、日本で同性婚が認められるのにはまだまだ時間がかかるのではないか、という意見もあります。

日比 何を大事にするか、というのはありますよね。私も、「何を家族と捉えるか」ということはよく考えています。社会において変わらない部分にフォーカスすると本当に息苦しくなっちゃうんですけど、多くのLGBTQの先輩たちが状況を改善するために動いてきた中で、だいぶ変わった部分もあると思うんです。うちの場合は、吉田さんの息子は戸籍上は他人ということになりますが、彼は「日比ちゃんは家族」と言ってくれている。だからこそ、「家族って何だっけ?」ということを問いながら、社会に何かしらの変化を起こせるように動いていけたらいいなと思っています。

見たいと願う変化に、自分たち自身がなる

“普通”の外側に出ようとすると、色々と悩むこともあるのではないかな、と思ってお話を伺っていたのですが、お二人からはとても軽やかな印象を受けました。どうしてそんなにも明るく、軽やかなのか。質問せずにはいられませんでした。

吉田 子どもがいると毎日いろんなことが起こるんですよね。初めての習字で上履きが真っ黒になって帰ってきたり、蚕をもって帰ってきたり。水溜りで全身びしょ濡れになって、着替えて帰ってきたり。毎日がコンテンツだなと思って面白く過ごしています。

あとは、これまでは例えば子どもの教育についても、私と元夫の2人の選択肢しかない状態でした。そうすると、A or Bという選択しかできない。それに対して今は、大人3人で話し合いができるので、些細なことも選択肢が無限だなと感じています。

日比 私は20代前半で女性が好きなんだと気づいてから、親に打ち明けるのも4年くらい時間がかかったし、すごく苦しくなった経験もあります。でも、結局選択でしかないんですよね。私は今、「幸せである」ということを意思決定し、「どう楽しくあるか」ということを選択しています。LGBTQとまとめられたことで、注目されやすくなったり、声を上げられるようになった面もあると思います。一方で、一緒くたにされてしまうことで苦しさを感じる方もいます。

最後に、そんな方に向けて、日比さんからメッセージをいただきました。

日比 LGBTQとひとまとめにされていますが、その中にも多様性があります。それを一緒くたにまとめて可視化しているのには、政治的な意図や経済的な意図など、様々な意図が入っているのだろうと思います。

そうした時に、一人一人が「自分は何を大切にしたいんだっけ?」ということを考えてくれるといいなと願っています。こんなにも分断が起きやすくて、炎上もしやすい世の中で、どのように人と接するのか。すべての人が色々なマイノリティ性をもっていて、マジョリティって実はないんだと思います。一人一人がもっているマイノリティ性はLGBTQや障害者であることもあれば、もっと見えないものかもしれない。そもそもマジョリティ/マイノリティって分けることもナンセンスですしね。その中で、自分は何を大切にして他者と接するのかを考えて選択していきたいなと。ただ、本当に苦しくなったら、逃げたり、助けてって言うことも大事だと思っています。

お二人のメッセージに勇気をもらえる方がたくさんいらっしゃると思います。ありがとうございました!

インタビュー:遠藤桂視子
ライティング:黒岩麻衣

編集後記
インタビューは、ガイアックスの他のLGBTQメンバーも参加し、その対話の内容を含めて、記事内容を構成させていただきました。
今回は「LGBTQ」や「家族」という切り口から、吉田さんや日比さんのストーリーをご紹介しましたが、日比さんもお話しされていたように、本来は色々な人が色々なマイノリティ性をもっており、「枠」にはめ込もうとすることに無理があったのかもしれません。
お二人は、その枠を音を立てながら拡げていると感じました。

また記事内では焦点の当たらなかった元旦那さんのこと、そして息子さん視点からのお話を少しご紹介します。
吉田さんと日比さんが新しい人生をスタートさせたように、元旦那さんも現在婚約者を迎え、それぞれが新たな人生を歩み始めました。そしてまた暮らし方が変容していく中で息子さんとの子育てはすべての大人が等しく時間を過ごせるように全員で話し合い常に心がけているそうです。
そんな中 息子さんからは新しい生活を迎え、4人で住むのが叶った時はどう感じたか?という問いには「家族が増えたのが嬉しい、家族が増えて欲しいから赤ちゃんが欲しい」ということ。4人で住んでいる時に感じたことは「それぞれがやりたいことをしていて、僕のこともほっといてくれるから自分でもいろんなことを考えることができて、楽しく過ごせている。」とコメントをいただいています。

この記事が、「こうあるべき」という枠によって苦しさを感じている方にとって、それぞれの幸せな選択をする後押しになれば幸いです。

一人ひとりが自分らしくいれるように

さまざまな人が暮らすこの地球で社会の課題を解決していくためには、小さくとも、まず私たちがそのようなコミュニティを作っていくことが重要だと考えています。人種、年齢、宗教、性別、家族構成などに関係なく、全ての人が自分らしく働ける。ガイアックスでは、そんな環境を目指しています。

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