イノベーター理論とは5つに分類される消費者層に対して適切な訴求をすることです。自社商品やサービスに合ったユーザーを明確にして、ユーザー心理に訴える文言を作成することが重要です。キャズムの考え方についても詳しく説明します。

サービスや商品を消費者に届ける際に重要なのが、誰に向けてそれをアピールしていくかという問題です。

一人でも多くの消費者に、自社商品を手に取って欲しいのはどの会社も同じですが、届け方次第でその後のサービスの普及度合いにも大きく関わってきます。そして、消費者への訴求力を考えるときに役立つのが、イノベーター理論です。

どのような仕組みで、どう活用していくのかについて、ご紹介していきます。

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イノベーター理論に登場する5つの消費者層

イノベーター理論は、1960年代にアメリカの学者が提唱した理論で、イノベーションをどう普及させていくのが良いのかという文脈から派生しました。

市場にはどのような消費者層が存在し、自社商品がどの層にフィットするのか、どの層に届けたいのかを考える上で、非常に役立つ理論です。

そしてイノベーター理論においては、消費者を主に5つの層に分類します。
 

イノベーター

イノベーター(革新者)は、市場にわずか2.5%しか存在しないと呼ばれる消費者層のことを指しています。

イノベーティブな商品を真っ先に手に取るグループであり、最新なモノを手にすることに価値を見出す層でもあります。信頼性や権威性が担保されていない商品やサービスに対しても抵抗なく興味をもつユーザーなので比較的収入が高い層にあたります。
 

アーリーアダプター

アーリーアダプター(初期採用者)は市場の13.5%を占める流行に敏感な層で、イノベーターよりも理性的な振る舞いをすることが特徴です。

この層の消費者はイノベーターに比べて初動はゆっくりなものの、常に最新の情報キャッチし新しい商品やサービスが出た際はそれをしっかりと吟味します。そして自分の判断でそれを手に取るかどうかを決定し、自分に何らかの利益をもたらしてくれることを期待して購入するのが特徴です。

アーリーアダプターは、情報のインプットに積極的なだけでなく、自らも積極的に情報を発信することも特徴です。

そのため、アーリーマジョリティやレイトマジョリティといった下層の消費者への影響力は強く、彼らの購買意欲を左右する存在でもあります。現在では、彼らのことをインフルエンサーやオピニオンリーダーといった呼び方で認知されることも増えてきています。
 

アーリーマジョリティ

アーリーマジョリティ(前期追随者)はアーリーアダプターに比べて新しい商品の購入に対して慎重なタイプの人々ですが、平均よりもキャッチアップは早いといえます。

全体の34%を占めると言われており、その数はアーリーアダプターよりも多く、アーリーマジョリティの評価を聞いてから購入を決定することがほとんどです。アーリーアダプターからの影響を強く受け、世間への普及を広めてくれる存在であることから、「ブリッジピープル」という表現で呼ばれることもあります。
 

レイトマジョリティ

レイトマジョリティ(後期追随者)はこれまでの消費者層とは異なり、新しい商品に懐疑的な人たちのグループとなっています。

アーリーマジョリティと同じく全体の34%を占め、周囲の動向をしっかりと見極める慎重さを備えています。イメージとしては、世間の過半数の人がその商品を手に取り、安全が確認されたところでようやく自分もそれを手に取るといった具合です。

周囲への追随を尊重する様子から、「フォロワーズ」と呼ばれることもあります。
 

ラガード

ラガード(遅滞者)は、5つの消費者層の中で最も新商品に対して警戒心の強い人たちを指しています。

それどころか、むしろ新しい商品に対して敵意すら抱いていることもあり、よほどの事情がなければそれを手に取ることはありません。

新しい情報などにも興味は全くなく、伝統的な立ち振る舞いを好みます。新商品が伝統となるまでそれを手に取ることはせず、頑なに使用を拒みます。かなり偏屈な印象を抱きますが、それでも市場の16%はこの層に分類されるのも事実です。

イノベーター理論とキャズム

イノベーター理論を有効活用する上で重要なのが、キャズムの考え方を理解することです。
 

キャズムとは

キャズムは日本語に訳すと「溝」という意味になりますが、上で紹介した5つの消費者層の間に存在する隔たりのことを指しています。

特に深い溝が生じているのが、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間です。

その商品がヒットするかどうかは、アーリーアダプターからアーリーマジョリティの間にある深い溝、つまりキャズムを超えられるかどうかが鍵となっています。
 

キャズムが発生する理由

アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にキャズムが発生するのは、この2つの消費者層の間に価値観の違いが存在するためです。

例えばイノベーターやアーリーアダプターはイノベーティブな商品、つまりこれまでになかった新商品をある程度手放しで受け入れてくれる包容力があります。

アーリーアダプターは多少の自己判断はあるものの、ひとまずは手に取ってみるというフットワークの軽さは持ち合わせています。アーリーマジョリティに向けて発信するかどうかは、その後で考えるのが彼らです。

一方、アーリーマジョリティ以下の層の消費者は新しいものに対して前者ほどの包容力はありません。それが本当に自分にとって有益なのか、ということを深く考え、そもそも目新しいものを必要としていない生活を送っているためです。

そのため、キャズムを越えるためには目新しさだけではなく、真に多くの人にとって必要とされるサービスや製品でなければならないのです。そして事業を成功させる上でも、このキャズムを超えて大きな消費者のマーケットに食い込めるかどうかが正念場となってきます。

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イノベーター理論の活用方法

そんなイノベーター理論を有効活用するためには、いくつかのポイントを押さえることが重要になってきます。
 

ターゲットとなる消費者層の把握

イノベーター理論の初歩的な使い方としては、消費者層を俯瞰して見つめ直すことができる点にあります。

新しいサービスや製品のアイデアが思いついたとしても、どんな人たちにアプローチを進めていかなければいけないのか、ということはすぐには思いつきません。その製品の特徴はどんなところにあって、どんな社会課題を解決することになるのかなど、消費者層を眺めながら彼らの問題解決に努めていく必要があります。

あるいは、どの層まで到達すれば目標達成なのかということを把握する上でもイノベーター理論の分類は役に立ちます。
 

消費者層に合わせたマーケティングを

商品やサービスが完成すれば、次に行わなければならないのがマーケティングです。このマーケティングについても消費者層に合わせて施策を考えていかなければなりません。

先進的でハイテクなイメージはイノベーターに喜ばれてもレイトマジョリティやラガードの心には響きません。

一方、全時代的でどこかで見たことのあるような打ち出し方はレイトマジョリティ以下の消費者の心には響いてもイノベーターの目には古臭く映ります。

代表的な例が、どんな媒体を使って広告を打ち出していくかです。

キャズムを越えることを目的とするなら、Web広告やSNS広告の積極的な運用が考えられますし、レイトマジョリティ以下の消費者にはTV広告が効果的です。同じ商品でもマーケティング次第であらゆる層に届けることができるともいえるでしょう。

井出飛悠人
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イノベーター理論を活用したビジネス戦略の事例

最後に、イノベーター理論を用いたビジネス戦略の例をご紹介しておきます。
 

iPhone

キャズムを上手く超えた例としてよく紹介されるのが、iPhoneです。

iPhoneはスマホを世界に普及したイノベーティブな商品ですが、日本でも当初は非常に風当たりが強かったことは多くの人が忘れてしまっています。それでもマーケターはめげずに、iPhoneがいかに次の時代のスタンダードとなるにふさわしいかをアピールし続けました。

結果、新しいものに敏感なイノベーターが飛びつき、発売当初にはイノベーターとアーリーアダプターが列を成して店頭に駆けつけました。それがメディアでも大々的に報道され、「列を成すほどに試すべき価値のあるもの」として大衆へと浸透していきました。

他にない最先端の商品でありながら、「必ず売れる」という信念がキャズムを超えさせた例と言えます。

イノベーターの新しいものへの情熱を上手くメディア映えに活用し、アーリーマジョリティへとたどり着かせる戦略であったとも考えられます。
 

TikTok

話題のSNSとして数年で一気にポピュラーなアプリとなったTikTokもデジタル世代を生かしたキャズムの越え方が特徴的な事例です。

TikTokの普及方法は極めてシンプルで、積極的に10~20代のインフルエンサーに活躍してもらいその様子をWeb広告などで大量に発信していくというものです。インスタグラムのように手軽な編集で複雑な効果を動画にもたらすことができるということで、瞬く間にティーン世代のスタンダードなアプリへと転身しました。

今や多くの人がSNSでつながっている時代であり、特に若者は流行に敏感な世代です。アーリーアダプターからアーリーマジョリティへの橋渡しが一瞬にして行われ、いとも簡単にキャズムを超えてしまったのです。

Web広告の大量投下、そしてインフルエンサーの積極起用がTikTokのキャズムを超えるまでの戦略だったということがわかります。

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廣渡 裕介

廣渡 裕介

メディア運営会社のインターンを経て大学在学中に起業。現在はオンライン関連の事業を運営しつつ、SEOやメディア立ち上げのスキルを活かしてガイアックスのスタートアップスタジオでSEOを担当。