「働くことと旅することは私の中でどちらも大切でゆずれないこと」と話す、ソーシャルメディアマーケティング事業部(SOC)の肘井絵里奈(ひじいえりな)さんは、ロングホリデー制度の発案者だ。年間2~3回この制度を利用しながら働く、とはどういうことなのだろうか。

現在のお仕事について教えてください

SOC (ソーシャルメディアマーケティング事業部)では、SNSやwebを使ったマーケティングの仕事をしています。私は一人で10クライアントほど受け持っており、週5勤務の正社員として働いています。この部署に来たのは2017年7月からです。

ロングホリデー制度ができた経緯を教えてください 

前職はIT系の広報部で働いていたのですが、毎日とても忙しくて、休みもままならない状況でした。私は海外旅行が大好きでそのために仕事をしていましたが、いつの間にか働くことが人生の目的のようになっており、長期で海外旅行に行くのは夢のまた夢といった感じでした。仕事や会社は好きでしたし、日本の社会ではそれが普通なので、特に不満はありませんでしたが、なんとなく腑に落ちない感じはありました。
大学時代に留学していたオーストラリアでは、ロングホリデーを利用して海外旅行に行く人も多く、「仕事は人生を楽しむためのもの」という感覚を持った人が多かったので、「海外でできているなら日本でもできるだろうに!」という思いが消えなかったんですよね。
そんな時、現在の上司である㈱ガイアックスSOC事業部の管部長と出会い、「仕事も海外旅行もどっちも楽しみたい!」と話したところ、「面白いね。うちに来てやってみたら」と誘っていただきました。そして、㈱ガイアックスに転職し、ロングホリデー制度が生まれました。
このあたりの詳しい経緯は、ぜひこちらをご覧いただけると。

note「ロングホリデー取りたい」って愚痴ったら、「面白い!やってみて!」って答えが返ってきた。から転職した。

正社員で働きながらロングホリデー制度を取ることにこだわっているのはなぜでしょう?

「正社員でも自己の裁量と責任で自由に休暇が取れる社会」の方が素敵だと思ったからです。
長く休みをとって好きな時に旅行に行きたいなら、フリーランスで働くことが近道かもしれません。でも、たぶん私と同じような思いを持った社会人って日本にたくさんいると思うんですよね。「海外旅行に行きたい、資格試験のために集中して勉強したい、ボランティアに参加したい」そんな人でも休みを取れる世の中の方が、私が生きたい世の中に近いなと思いまして。
なので、「だったら、まず自分がやってみよう!」と思いました。

erina hijii

ロングホリデー制度を利用する上で大変なことはありますか?

幸い今の会社はとても自由度が高い風土なので、副業をしていたり子育てや介護などさまざまな理由で時間も場所もフレキシブルな働き方をしている人が多く、さらに自己裁量制の働き方なので、社内での理解は全く問題ありませんでした。ロングホリデー制度を初めて利用する際も「いいね、行っておいでよ~!」とまるでコンビニにでも行くかのような軽い感じでこちらが拍子抜けしたほどでしたね(笑)。
ですが、ロングホリデー制度だからと制度に甘んじて、仕事のしわ寄せが他の人にいったり、サービスの質が下がるのは私の本意ではありません。そのため、できる限り普段から余裕を持った働き方を心掛け、旅行に行く際は仕事を前後に寄せて、自分で対応できるように調整しています。私個人で受け持つ複数のクライアントさんにも事情を話し、「その期間は基本やりとりができないので、調整させてほしい」とお伝えし、ご理解いただいています。どのクライアントさんも、私にとっては愛してやまないクライアントさんなので、提供するサービスにはこだわりを持ちたいですし、何が起こっても責任を持ちたいので、基本他の人にお願いすることはありません。
自己裁量で、社内外を調整すればいいので、特に大変だと思うことはないですね。

肘井さんにとって旅することにはどんな意味がありますか?

生きるためのモチベーションです。
旅行がそんなに好きなら旅行関係の仕事にすればいいと言われることもありますが、仕事にはしたくないんです。先入観ややるべきことを伴わず、フラットな感覚で人々や景色に触れて、ありのままを感じたいので、あくまで趣味の一環として旅したい。
「私は世界196ヵ国すべての国に行ってみたい」と本気で思っているので、まだまだそのモチベーションはつきなそうです(笑)。

旅先ではどんなことをするんですか?

美味しいものやショッピングといったいわゆる女子旅ではなくて、世界遺産とか大自然、絶景を見るのが私の旅の目的です。なので、基本はバックパッカースタイル。1人だったり友人とのときもありますが、インドやガラパゴス、アマゾンなど見たい景色があればどこまでも行きますね。下調べをして現地でその景色を見て感動して、達成感を味わい、異文化に触れる。「生きてるな!」って感じる瞬間ですね。それで帰国してまたその感動を味わうために頑張って働く、その繰り返しです。

アメリカ(モニュメントバレー) 10時間のドライブ疲れが一気に吹き飛ぶ壮大さ!
ボリビア(ウユニ塩湖) 朝昼晩で全く異なる顔を見せてくれる湖に感動!
ペルー(アマゾン川) 念願の「ピラニア釣り」や「ワニ捕獲」は一生の思い出

この制度がもっと広まるといいなと思いますか?

そうですね!
ただ、実は「制度」という言葉はあまり好きではありません。制度にすると万人に共通な権利になりますよね。それよりも「どうしても譲りたくないことがある人が、自己の責任を持って、その働き方を設計できる風土」の方が私のイメージに近いのかもしれません。みんながそれぞれ好きなことをやりながら生きているという社会になれば、「お互いさま」という感覚で、他者を思いやることもできますしね。ロングホリデー以外でも、個々が思う理想の働き方を”責任”を持ちながらできる、という会社が理想的なのかなと思っています。

erina hijii

肘井絵里奈(秘境を旅するコンサルタント)

福岡出身、九州大学、株式会社ガイアックス。ソーシャルメディアマーケティング部 コンサルタント。「総合職でもロングホリデーを取れる日本」を目指して、試行錯誤しながら実践中。

〇取材・文 加藤朋美

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