経験曲線とは「時期の経過に連れてコストは軽減する」ことをグラフ化した線のことです。人間は何事も慣れると今までよりも手早くタスクを完了することができます。その概念をうまくビジネスに活用する方法をご紹介します。

スタートアップと聞くと常にバタバタ忙しくしているイメージがありませんか?「スピード感命」という印象を持たれている方は多いと思います。

その通り、スタートアップは最初の走り出しがとても重要で且つ一番精神的にもタフな時期です。その大変な時期を疾走する起業家にとって、知っておくべき概念があります。それが「経験曲線」です。

経験曲線を簡単に説明すると、「時期の経過に連れてコストは軽減する」ということです。まずは以下のグラフをみてみましょう

出典:経験曲線効果|マーケティング用語集|アクシスコンサルティング

最初の導入期がいわゆる事業の走り出しです。スタートアップとして一番バタバタする時期です。緑の線「単位あたりコスト」は簡単に表現すると「忙しさ」を表しています。ユーザーもいないので利益が出ることもなく、精神的には一番タフな時期といえます。

そこからプロダクトやサービスが形になっていき、売上が見込める成長期に突入します。成長期に行くにつれて「忙しさ」を表す緑色の線は緩やかに右下に下り、逆に売上、利益の線が右上がりしていきます。

サービスの改善を繰り返し成熟期になると「忙しさ」ラインはゼロに向かっていきます。そして売上が最高値に達します。

このグラフの通り、時期によって「コストが下がり、利益が上がる」流れを経験曲線と言います。

経験曲線のロジック

元々は世界有数のコンサルティングファーム、ボストンコンサルティングが理論化した経験曲線ですが、理屈としては非常にシンプルに説明することができます。

誰しも初めての仕事というものは、1つタスクをこなすのにも時間がかかってしまいます。

しかし、5回、10回とその経験を積み重ねていくことで、これまで1時間で1つしかこなせなかったタスクが、2つ、3つとこなせるようになっていきます。

経験曲線を計算する上で、1つのタスクをこなすのにかかるコストが低下していく割合は習熟率と呼ばれます。

そして単位あたりのコストに対して、累積生産量が上昇していく様子をグラフ化すると、グラフは下降曲線を描くことから、経験曲線と呼ばれるようになりました。

 

経験曲線と学習曲線の違い

経験曲線に合わせて、学習曲線というグラフが用いられることもあります。

学習曲線は、経験曲線の前に誕生した考え方で、タスクを反復してこなしていく毎に、それにかかる時間は短くなっていく、ということを表した概念です。

経験曲線が表しているのは学習曲線よりも広範な効果で、時間短縮にとどまらず、金銭的なコストパフォーマンスの向上についても触れています。

そのため、経験曲線が理論化された現代では、学習曲線の意味合いも含めて使用されることが増えています。

経験曲線効果の活用例

ここで、経験曲線の効果で効率化が進む具体的な例を見ていきましょう。

 

トライアンドエラーで作業パフォーマンスが向上

1つ目の例は、社員のパフォーマンスが向上していくことによる効率化です。
前述のように、どれだけ時間がかかるタスクであっても、繰り返しモチベーションをややさず取り組んでいれば、徐々に作業効率は改善していくものです。

最初は頭を使って組み立てていた製品が、今や目をつぶってでも組み立てられるようなケースも見られるように、体が覚えるとパフォーマンスは飛躍的に向上します。

繰り返しの作業によって、効率的なアプローチを理解していくというわけです。

モチベーションを保つためにも経験曲線の法則を社員に教育するのも良いかもしれません。

 

自動化ツール導入で作業環境を改善

2つ目の例は、自動化ツールの導入です。データの移動やPDFファイルの保存など、手作業で行っていた作業を3割ほど自動化するだけでも、その作業効率は大きく向上します。

システム導入後は若干の生産性の低下も見られるかもしれませんが、これも経験によってすぐに社員は最適化し、導入前よりも効率的に働くことができます。

実際にガイアックス・スタートアップスタジオでは自動化ツールを積極的に取り入れ、社員メンバーにとことん利用してもらって効率化を図っています。

経験を積むことで、多少作業内容に変更があっても柔軟に対応することが可能になります。

 

エラー率の低下

作業経験が豊富になり、生産過程におけるヒューマンエラーの確率が低下する例も挙げられます。

これによって、不良品が発生するケースや作業スピードの改善も見込むことができ、やはり生産性の向上につながってきます。

また、万が一なんらかのトラブルに遭遇しても、すぐに解決策を発見し、自主的な解決と作業改善を期待できるのも、経験あっての効率化の成果といえるでしょう。

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経験曲線をうまく活用するためのポイント

経験曲線をうまく描いていくためには、その活用方法についてもしっかりと検討しておくことが重要です。

 

経験値を積むことが重要

経験による生産性向上の鍵は、何よりも経験値を社員に積んでもらうことが重要になります。
そして、一定期間は同じ作業の繰り返しに携わってもらうことも重要です。

経験値は反復の経験から培われていくため、異なる作業を短期間にさせてしまうと、うまく身に付けることが難しくなります。

そのため、頻繁に作業のアプローチや様式を変更することも得策とは言えません。

抜本的な作業工程の見直しを行うと、柔軟性のある熟練の技師以外は一からの覚え直しとなってしまうため、経験曲線を描くことが難しくなってしまうためです。

 

過剰なアウトプットはかえって逆効果になることも

また、経験値を積ませるためということで、過剰に生産を行ってしまうことも、時として問題を生んでしまうこともあります。

経験を新人スタッフに積ませることは重要ですが、教育に時間をかけすぎるあまり、本来期待されていた生産性を下回ってしまうこともあります。

そうなると、たとえ新人の早期教育を実現したとしても、その期間のコストパフォーマンスは低下し、教育の成果がマイナスとなってしまいます。

現行のパフォーマンスを維持しつつ、どれだけ経験値を積ませられるかという線引きが、経験曲線の活用においては重要なポイントとなります。

Yuji Ueda and Maki Yamane
Interview

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経験曲線は多くの企業で採用されている考え方である分、うまく活用することができれば、会社のマネジメントに大きな成果をもたらすことができます。

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廣渡 裕介

廣渡 裕介

メディア運営会社のインターンを経て大学在学中に起業。現在はオンライン関連の事業を運営しつつ、SEOやメディア立ち上げのスキルを活かしてガイアックスのスタートアップスタジオでSEOを担当。