顧客が商品やサービスを買うまでには、心理面や行動面でさまざまな過程を経ています。この過程では行動や思考、感情などが生まれており、ビジネスの世界では「カスタマージャーニー」と呼びます。

・マーケティングに利用して企業の利益率アップにつなげたい
・現状の商品やサービスに対して、顧客がどんな感情を抱いているのか調査したい
・新規の顧客を確実に獲得するツールを利用したい

など、経営に関わる方に向けて、ビジネスを軌道に乗せる上で必要なカスタマージャーニーマップの作り方やメリットなどを簡単に紹介します。
顧客が商品やサービスを手にするまでの流れを知って、今後の経営に活かすためにぜひ参考にしてみてください。

カスタマージャーニーマップとは?

商品やサービスを購入するまでの過程を目に見える形にしたものは「カスタマージャーニーマップ」と呼ばれており、ビジネス成功のカギを握る大切な考え方です。「顧客の旅」とも呼ばれています。
例えば「食器洗い乾燥機を購入する決め手になった要因は何か?」というカスタマージャーニーを検討する場合、家族層に向けたターゲットを意識します。

商品は欲しいが今はいらない → 子供がもう一人増えた → 共働きで家事にかかる負担を時短したい → 年末セールとポイント還元がやっていた → ボーナスも入ったので買おう

といったように、一例としても商品購入までの行動面と心理面での過程が必須です。
カスタマージャーニーマップでは、それぞれのツールやテンプレートを使い、目で見てわかるように図式化していきます。

カスタマージャーニーの事例

日本では、株式会社パソナ「パソナキャリアカンパニー」がWebサイトを新しく作り直す過程に伴い、学生と共同してカスタマージャーニーマップを作るワークを開いた事例が有名です。
新規事業を始めるために、Webサイトから効率的に必要な新卒人材を集めるため、実際に調査したい学生たちの意見や感想を参考にマップを作成します。
このワークで出された課題から、実際にWebサイトに取り入れられる形でカスタマージャーニーマップが活用されました。

(参考元:顧客の行動パターンを理解するためのカスタマージャーニーマップ入門 2時間で作るカスタマージャーニーマップ――実例とともに考える新しい「おもてなし」のカタチ

カスタマージャーニーマップの作り方とは?

以下では簡単に、カスタマージャーニーマップの作り方を5つに分けて紹介しています。

①ペルソナを決める
②ゴールを決める
③フレームを作る
④顧客の情報を集める
⑤マッピングに取り組む

上記の手順を踏んで進めれば、顧客が商品やサービスを購入するまでのプロセスを明確化しやすくなります。
企業で社員同士の意思共有をする際にも便利なツールになるため、マーケティングから自社の売り上げにつなげるためにも、5つの手順をぜひチェックしてみてください。

①ペルソナを決める

商品やサービス購入につながる顧客(ペルソナ)を絞っていきます。ペルソナでは、性別や年齢層、住んでいる場所や職業、年収や家族構成など、細かい部分まで顧客のイメージ像を掘り下げていく作業が大切です。
その他にも、ライフスタイルや行動パターンなど、ペルソナの価値観を含めて徹底的に洗い出していきましょう。
このように、カスタマージャーニーマップを作る上で、ペルソナは商品やサービスが顧客の購買につながる重要な役割を果たしています。

②ゴールを決める

カスタマージャーニーマップでは「どのような結果を得たいのか?」という観点から、顧客に行動してほしい結果を設定します。例えば、ゴールには以下のような項目があげられます。

・新規の購入者を増やしたい
・リピートの購入者を増やしたい
・店舗への問い合わせ数を増やしたい
・ブランドとして価値や地位を確立させたい
・商品の情報拡散につなげたい

など、自社の売り上げにつながる結果をしっかりと決めていきましょう。ゴールは、カスタマージャーニーマップの大切な基盤です。
あくまで主役は顧客なので、企業の視点だけでなく顧客のニーズも考えていく必要があります。

③フレームを作る

カスタマージャーニーマップに関する情報収集の上で、基盤になる軸を設定しましょう。この軸は、マップを目に見える形にするための具体的なフレームです。
例えば横軸では、認知・興味・情報収集・比較検討・来店・購入などを参考にします。縦軸では、行動・タッチポイント(商品やサービスを知ったきっかけ)・思考、感情・課題などを参考に検討します。
一般的には、顧客がサービスを購入するまでの時間軸ごとに並べていきます。フレームに決まりはないので、ペルソナやゴールも意識しながら丁寧に検討していきましょう。

④顧客の情報を集める

ペルソナやゴールにつながる情報をフレームに沿ってリサーチしていきます。
アンケート調査や直接顧客にヒアリングする形で、カスタマージャーニーマップの作成を実行。社内の営業担当に顧客情報を聞き出す形も役立ちます。
「どのような形で商品やサービスを知ったのか?」「購入の決め手になったきっかけは何か?」など、フレームの内容から一つずつ顧客の心理面や行動面を具体化していく流れです。
必要な場合は追加調査を実施しながら、顧客が購入につながった理由を徹底的に情報収集していきます。

⑤マッピングに取り組む

カスタマージャーニーマップへ可視化するため、顧客の調査から得た情報をまとめて、他部署の人や経営陣と内容を検討していきます。
意見が企業視点に偏らないように、社内のさまざまな立場の人たちと意見を交わす流れです。
実際にリサーチした内容とフレームなどは、多少異なる点も出てきます。改めて検討していくためにも、リサーチした内容を一つずつ紙の付箋で洗い出していく方法を活用しましょう。
フレームごとに付箋を色分けすれば、会議に参加する人たちがわかりやすい形で意見をまとめてマッピングに取り組めます。

カスタマージャーニーマップの意味やメリット・注意点とは?

企業がカスタマージャーニーマップの考え方を取り入れると、現状で抱える商品の問題点や改善点に気付くきっかけにつながります。
商品の改善点を見直せば、新しいサービス提供のきっかけにもつながるため、企業の売り上げアップが期待できる流れです。
以下では、カスタマージャーニーマップを使う意味やメリット、注意点を簡単にまとめました。

顧客の視点から対策が立てられる

カスタマージャーニーマップを使えば、企業が気付いていなかった「顧客が感じている不満や改善点」など、商品購入までの心理面と行動面の過程が浮き彫りになります。
冒頭の見出しで紹介した「株式会社パソナ(パソナキャリアカンパニー)」がわかりやすい事例です。
実際にパソナキャリアのWebサイトを使う学生たちから意見をまとめることで、顧客がどのような印象を自社に抱いているのかがわかり、商品開発や改善の対策につながります。

チームで認識を共有できる

企業で利益を上げるためには、社員同士で共通の認識を持つことが大切です。
カスタマージャーニーを使えば、顧客が自社の商品を購入するプロセスを可視化できるため、自社のチームや社員にとって今後の参考にできます。
会議にかける時間を効率化できるだけでなく、他部署と連携しながら商品開発や商品改善に対する問題点も共有が可能です。
目標や目的を再認識した結果、企業の売り上げが見込める流れが期待できます。

注意点:顧客目線ではない主観はNG

商品開発や新しい施策では企業視点で物事を考えてしまい、顧客目線から考えられていない場合も少なくありません。
ペルソナに当てはまる人たちを徹底的にリサーチして、細かい部分まで意見を掘り下げていく必要があります。
客観的に参照できるデータを元に企業の主観に偏らず、顧客から見た問題や課題点などを検討していきましょう。

カスタマージャーニーマップ作成で参考になるツール・テンプレート

カスタマージャーニーマップを初めて使う方におすすめのサービスをまとめました。

・AD EBiS(アドエビス)
・KARTE(カルテ)
・カスタマージャーニー(書式A)
・株式会社イノーバ

以上のツールやテンプレートは、マップを作る上で作業を効率化してくれます。
初心者の方でカスタマージャーニーマップを作りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

・AD EBiS(アドエビス

広告の集客、分析データの管理など、マーケティングの施策や運用に強いツールです。
カスタマージャーニーのツール付きで、顧客の広告クリック数などを検証してくれて便利に使えます。

公式サイト

・KARTE(カルテ)

リアルタイムで顧客の行動を分析してくれるため、Webページの離脱率(サイトから離れてしまうこと)など、顧客の心理に関わる細かい動きまでリサーチしてくれるツールです。
データをグラフなどのわかりやすい形で分析できるため、カスタマージャーニーのペルソナやフレームを決めるときの情報収集に役立ちます。

公式サイト

・株式会社イノーバ

コンテンツマーケティングのサービス事業を展開しており、企業の集客につながる支援を実施している会社です。
記入サンプル、カスタマージャーニーマップのテンプレートとして、BtoB・EC(通販サイト)など、役立つツールや資料がダウンロードできます。

公式サイトのテンプレート

カスタマージャーニーマップを作成して商品の改善点を見つけよう

ビジネスのマーケティングに大切なカスタマージャーニーについて、マップの作り方やメリットなどを簡単に見てきました。
顧客が商品を購入するまでには心理面や行動面の過程があり、これをカスタマージャーニーと呼びます。そして、その流れをわかりやすく形に示したものがカスタマージャーニーマップです。
ビジネスを飛躍させる上で大切なマーケティング手法の一つで、顧客目線に立った商品やサービスを提供できます。また、商品開発や商品改善に社員同士が認識を共有する上でも役立つツールです。
カスタマージャーニーマップの作り方について、もう一度まとめておきましょう。

①ペルソナを決める
②ゴールを決める
③フレームを作る
④顧客の情報を集める
⑤マッピングに取り組む

カスタマージャーニーマップを作る上では、役立つツールやテンプレートを活用してみてください。自社の売り上げを伸ばすためにも、ぜひ顧客目線からの改善点を模索していきましょう。

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廣渡 裕介

廣渡 裕介

メディア運営会社のインターンを経て大学在学中に起業。自身の会社を経営しつつ、様々なスタートアップや起業家と一緒に仕事をしたくガイアックス・スタートアップスタジオにも所属。スタートアップスタジオの国内普及を目指して情報を発信中。