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社名とミッションの由来となった 映画「ガイアシンフォニー」の威力

  • 最終更新: 2023年9月6日

ガイアックスは「地球は1つの生命体である」というガイア理論を信じて、この理論の名前を社名・ミッションとしました。

そして、2018年7月から、この理論を知るきっかけとなった映画「ガイアシンフォニー」の上映会を実施しています。
ガイアックス代表上田祐司、ファウンダー小方麻貴さんの2人にその背景や思いをインタビューしました。

ガイア理論とは

1960年代に、イギリスの生物物理学者ジェームズ・ラズロック博士により提唱された「地球それ自体が一つの生命体である」という考え方です。
地球と生物が相互に関係し合い環境を作り上げているある種の「巨大な生命体」とみなす仮説です。
博士は、それまで”物質の固まり”と捉えられていた地球を、ある種の生命体として捉え直し、ギリシャ神話に登場する女神の名になぞらえて地球をガイアと呼びました。
発明家でもある博士は、地球や様々な惑星の大気を精密に分析することができる電子捕獲型検出器という観測装置を発明しました。その結果、フロンガスによるオゾン層の減少やアメリカの生物学者レイチェル・カーソンが警告した農薬による大気の汚染が明らかにされました。
ガイアックスは、創業期に映画『地球交響曲 ガイアシンフォニー』を通じてガイア理論に出会い、社名をガイアックスと名付けることとなりました。
映画『地球交響曲 ガイアシンフォニー』は、ガイア理論「地球はそれ自体がひとつの生命体である」という考え方に勇気づけられ、龍村仁監督によって制作されたオムニバスのドキュメンタリー映画シリーズで、自主上映中心に250万人に上る観客動員のロングランヒット作となっています。
なお、2021年6月に『地球交響曲 ガイアシンフォニー 第9番』が完成し公開されます。

まずは、創業の経緯からお聞かせください。

小方 一緒にビジネスをやりたいという話は前職時代からあって、ブレストをやってみたり、色々とアイデアを出し合ったりしてはいました。これというアイデアがあったわけではないのですが、とりあえず私が会社を辞めて、“その後、どうしようか”と考えていたときに、上田さんもすぐにその会社を辞めまして。そのときには明確なプランはなかったものの、一緒に何かできないだろうか?と手探りで事業をはじめたという感じすね。

上田 最初に手がけたのがインターネット上で送ることができるグリーティングカードでしたね。

小方 元々、上田さんはインターネットが登場する以前から、“人と人とがつながることで生まれる価値”に着目していて、それがインターネットのテクノロジーを活用することで実現できるのでは?と考えていたと。当時からそう言っていましたよね。

上田 そうですね。私は、学生時代から様々なプロジェクトを回していたのですが、“どうしたら効率よく回るのだろうか?”というのを真剣に追求していました。結局、プロジェクトのメンバー同士であったり、お客様を含む周囲の人々との間のコミュニケーションがボトルネックになることはわかっていました。そこが円滑に進んでいけば、成功しやすいのではと思っていたのですね。ですから、当時、携帯電話が登場した瞬間に、その有用性を実感していました。

小方 当時はまだ、日本では、インターネットを活用したサービスがほとんど存在してはいませんでした、ですから、まずは、その入口として一番、グリーティングカードのようなわかりやすいサービスのほうが入りやすくて良いのかなと考えて、始めたのですよね。

Yuji Ueda
Maki Yamane

ガイアックスという社名はすでに、その頃から存在していたのでしょうか?

上田 そのサービスを開始した頃には、まだ社名がなくって、登記申請までに用意する必要があったので、創業メンバーで議論を重ねていました。改めて言うまでもなく、社名は会社にとって重要なものですからね。

小方 “ガイア”というのは、私が言い出したWordです。そこに何か、言葉を付け足して、なおかつドメインが取得できるものをということで、インフィニティ、すなわち無限大という意味を持つ“X”を語尾にもってきて、「ガイアックス」というのがいいのではと提案しました。そもそも“ガイア”という言葉は、学生時代に鑑賞した映画「ガイアシンフォニー」に感銘を受けて、そのコンセプトでもある“地球はひとつの生命体である”という考え方に共鳴。一言では説明しきれないほど深い意味があって、その“ガイア”という言葉がいただければ、会社のメッセージやコンセプトにつながっていくのだろうなという漠然としたイメージがありました。

上田 私もその時点で、すでにその映画は見ていました。もちろん、小方さんから紹介されて。ですから、ガイアックスを社名にという案にはすぐに同意しましたし、その流れで会社のミッションも小方さんに見てもらおうという話になりましたね。

小方 そうですね。「EMPOWERING THE PEOPLE TO CONNECT」というミッションも、その「ガイアシンフォニー」からヒントを得て、策定するに至りました。「ガイアシンフォニー」は自習上映作品でありながら、当時でも100万人以上が鑑賞していたという、異例のヒット作品でした。しかも、大きな配給会社がドンと市場に投入したのではなく、鑑賞した人が感動して、自分の周りの人に伝えたいと、まるで自己増殖のようなカタチで広がっていきました。その過程自体がインターネットに通ずるものがあって、そこから私たちの会社のミッションへとつなげていきました。

Yuji Ueda and Maki Yamane
Maki Yamane

もうひとつの軸と言いますか、「IGNITING RESPONSIBILITY」というフィロソフィーとして、ガイアックスの中に脈々と流れている起業家精神は、どこから生まれたのですか。

小方 福島正伸さんが当時、出版していた「起業家精神」という書籍がベースになっています。そこに記されていたすべての考え方が、私にとってものすごく新鮮に映りましたね。すべては自己責任だと、環境のせいにしたり、人のせいにしたりはいっさいなしに、全部、自分が関わっていくことで周囲の人をも変えていくことができるとありました。経営における様々な困難は、そういった精神で乗り越えられるという思想は、今のガイアックスに受け継がれているのかとは思います。

上田 元々、小方さんは、大学一年生の時にシリコンバレーでインターンをするような人ですからね。95年当時、そんな日本人は恐らくどこにもいないわけで、そういう意味でも小方さんの原点ともいえる、慶応大学のSFCって相当尖っていたのだなって思いますよね。4期生でしたっけ?

小方 そうですね。周りにちょっと変わった人が多くて…(笑)。普通に就職するって人はかなり少なかったですね。

上田 しかも、小方さんは、そのSFCで起業サークルをつくっていたのですから…、最強ですよね。私はベンチャーとか、そういった感覚ではなく、どちらかというと、商売のノリでした。学生の頃に、焼き芋を売ったり、英会話教材とか売っていたり(笑)。

Yuji Ueda and Maki Yamane
Yuji Ueda and Maki Yamane

その当時の、起業家精神を重んじるような風潮は、今のガイアックスにもしっかり受け継がれているのでしょうか?

小方 私もガイアックスから離れて10年たつので、現状はどうなのかというのは知りたい。
上田 「EMPOWERING THE PEOPLE TO CONNECT」というミッションは今でも大切にしていますし、それに則って事業をやっていこうというスタンスは色濃く継承されています。また「IGNITING RESPONSIBILITY」というフィロソフィーのもとで、当時からけっこう、“アントレブレナーシップ”を重視してきたため、その精神はガイアックスからカーブアウトした、いわゆる“ガイアックス・マフィア”も含めて広がりながら、各々が今でも強く持ち続けていると思います。

小方 人数が増えてくると、そういった創業当時から守り続けていた精神を維持するのが大変になってくるのでは?上場してしばらくしてから私はガイアックスを卒業したので、はっきりとはわからないのですが、上場後、数字のプレッシャー戦いながらミッションを守っていくのは、非常に大変だったのではないかと思うのですね。

上田 会社を存続して大きくなって、売り上げを伸ばしていくということよりも、ミッションとフィロソフィーのほうを大切にするために、組織をデザインして回しているので、創業精神はしっかり浸透しているし、そう簡単にブレてはいかないものですよ。会社にとっては、世の中における存在価値っていうのが一番重要で、その存在価値にフォーカスしておけば、自ずと回っていくのかなとは思います。そういう考えは、私よりも小方さんのほうが強いのでは?私はどちらかというと数字のほうを気にしがちなタイプなので(笑)。

小方 そうですね。数字とか経営的な部分では上田さんの方がしっかりプレッシャーを感じながらがんばってきたのだろうなとは思いますよ。結局、大切なのは人選なのかなと思いますね。ジョインする人次第で会社はいかようにも変わるので、共鳴できる人を集めるのが重要なのでしょうね。

映画を協賛するようになった背景というか、その思いをお聞かせください

小方 ガイアという言葉を社名にいただいたという気持ちがあって、私たちだけで伝えられること以外にも、監督が映画に込めているメッセージがすごく奥深く、多くの示唆に富んでいるので、たくさんの人に見ていただくための、何かちょっとでもお役に立てたらいいなと言うことで、私がガイアックスに在籍していた時代から協賛させていただくようになっていましたね。内容は、ダライ・ラマやエンヤなど出演者の方々の人生観やガイア思想の捉え方をインタビューを通じて伝えています。映像として、その方々の人生を一部切り取っているドキュメンタリーでありながら、すごく哲学的な内容の映画になっています。

上田 この映画に込められたメッセージは、シェアリングエコノミーやソーシャルメディアといった、“人と人とをインターネットを介してつないでいく”という事業内容につながっている部分があると思っています。結局、大自然やガイアも含めて、大きなつながりの中で私たちは活かされているのは間違いなくて、人と人とがつながっていけば、そういう壮大な世界観に近づけるのではないかと思っています。

小方 ガイアシンフォニーもそうですが、一人一人もそうだし、会社も世の中の色々な関係の中で活かされている存在です。それがあるが故に謙虚さとか、客観的に自分をみたり、他の人と強調していこうという思想が生まれます。現代的な感覚で言えば、それがシェアリングエコノミーやインターネットによってより加速して見えますが、根本に流れる文脈としてはガイアシンフォニーもシェアリングエコノミーも一緒なのかと思います。

ありがとうございます。最後に各々の今後も活動についてお聞かせください。

上田 引き続き人と人とをつなげていって、地球はひとつの生命体であることを、より実感できるような社会にしていきたいですね。

小方 そうですね。世の中、ネガティブなニュースが多いので、もう少し心を取り戻すというか、ガイアシンフォニーのような映画をたくさんの人に見ていただいて、ちょっと我に返り、自分を取り戻していただけたり、身近な人を幸せにする、そんな気持ちになっていただければと思います。

2018年から2019年にかけ、ガイアシンフォニー(第一番~第六番)の上映会をNagatacho GRiDにて行いました。最新作の『ガイアシンフォニー 第九番』は、2021年6月22日から三週間限定で東京都写真美術館で上映予定です。第九番の上映の詳細は こちら から。

本シリーズをGaiaxで上映する際、上映スケジュールはGaiax Communityのニュースレターでお知らせいたします。ぜひごGaiax Communityにご登録ください。


上田 祐司
1974年大阪府生まれ、1997年同志社大学経済学部卒業。大学卒業後は起業を志し、ベンチャー支援を事業内容とする会社に入社。一年半後、同社を退社。1999年、24歳で株式会社ガイアックスを設立する。30歳で株式公開。 ガイアックスでは、「人と人をつなげる」のミッションの実現のため、ソーシャルメディア領域、シェアリングエコノミー領域に加え、web3/DAO領域にも注力し、分散型自律組織やコミュニティの分野を強化。また、新規事業・起業を支援するスタートアップスタジオとして社会課題の解決に取り組む。 一般社団法人シェアリングエコノミー協会の代表理事、AppBank株式会社および株式会社Unitoの社外取締役を務める。

主な政府委員・登壇などの実績

・消費者庁 第3回デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における 環境整備等に関する検討会(2020年)
・G1サミット2018 登壇(2019年)
・経団連 生活サービス委員会(2018年)
・日本学術会議 経営学委員会・総合工学委員会合同 サービス学分科会(2018年)
・総務省 地域IoT実装推進タスクフォース 地域資源活用分科会(2016年~2017年)

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