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『「ティール組織」これからの新しい組織論・強い組織の在り方 〜ガイアックスからみる、組織のパラダイムシフト〜』 「こころざし!2019」対談レポートVol.2

  • 最終更新: 2023年11月22日

こんにちは!Gaiax Bardsの千葉憲子です。
新公益連盟のソーシャルビジネス経営者合宿「こころざし」のティール組織に関するセッションに、当社代表執行役社長 の上田さんが登壇の機会をいただきました。こちらのセッションの様子を、全3回に亘りご紹介させていただきます。
第2回のテーマはズバリ、「組織のパラダイムシフト」。
今までガイアックスがどの様に変化してきたか、そして現在どの様な経営を行なっているのかをご紹介します。
私自身このストーリーを初めて聞いたとき、この決断をした当時の経営メンバーの凄さと組織を変えることの難しさを痛感しました。みなさんの組織には、この覚悟と信頼がありますか。
第1回「ティール組織とは?」はこちらから

宮城 治男(NPO法人ETIC. 代表理事) ガイアックスは、”株式会社”として経営をやってこられながら、途中でかなり自由な組織に変更されました。それはティール組織を前提として行ってきた変革ではないと思うんですが、実践者として新しい組織の形に挑戦し続けているガイアックスの上田さんに、これまでのご経験も含めてお話しいただけたらと思います。

上田 祐司 株式会社ガイアックス 代表執行役社長

早1974年大阪府生まれ、1997年同志社大学経済学部卒業。大学卒業後は起業を志し、ベンチャー支援を事業内容とする会社に入社。一年半後、24歳で起業。30歳で上場を果たす。
ガイアックスでは、「人と人をつなげる」のミッションの実現のため、これまでのソーシャルメディア事業に加え、シェアリングエコノミー事業や関連する企業への投資を強化している。社団法人シェアリングエコノミー協会の代表理事も務める。

上田 先ほど嘉村さん(嘉村 賢州:ティール組織解説者)のお話で「オフィスにキッチンがあるか?」という例がありましたが、実はガイアックスには、オフィスのそこら中にキッチンがあります!残念ながら本に取り上げていただけませんでしたが(笑)。

ガイアックスは、「ガイア理論」を実現するために作った、「人と人を繋げる」をミッションに掲げている会社です。ソーシャルメディアや、シェアリングエコノミーに注力し、社会問題の解決を目指すスタートアップスタジオです。現時点で、赤の他人と赤の他人とは、まだ繋がっていないと思います。私たちは、他人がくっつきあって、みんなの脳みそがくっつきあって。どこまでが自分で、どこまでが友人で、どこまでが他人なのかわからない、というような世の中を作りたいなと思っています。そしてそうなることで、世の中の様々な社会問題は解決すると思っています。
「使命で動く」ということをフィロソフィーに掲げていて、それに加え「フリー・フラット・オープン」、「アントレプレナーシップ」などのコアバリューを大切にしています。

上田 私たちの文化をわかりやすく具現化した制度の一つが、「カーブアウトオプション制度」です。これは、各事業部が自由に子会社になっていい、さらにその子会社が新規に株式を発行して経営者と社員が自由に株式を持ってもいい、という制度です。さらには今となっては、ガイアックスは子会社の議決権まで放棄するようになっています。子会社の株式も増資をしていくことで、さらにガイアックスの権限は希薄化してきています。加えて、投資をして支援している会社もあります。その結果今では「どこまでが自分たちの会社なのか分からない」という状態になってきています。
会社だけでなく、社員を見ても同じことが起こっています。
社員は複業や起業も自身の判断に任せられていますし、業務委託やクラウドソーシングも多く活用しています。オフィスであるNagatacho GRiDも社員以外とシェアしようということで誰でも入れる様になっていますし、全体イベントや会議、合宿なども誰でも参加して構いません。さらに、働くスタイルや給料も個人が決めているので、もはや隣の人が週何日働いて、いくらお給料をもらっているのかもわかりません。「どこまでが社員なのかが分からない」という状態になっています。
このように、ガイアックスは中と外とのボーダーがどんどん溶けてしまっている会社です。

ガイアックスが経験した、組織のパラダイムシフト

宮城 すごく振り切ってますよね!でも以前は普通の株式会社だったじゃないですか。そこから、このような大胆な変化をしようと思った背景を教えてください。
上田 5年前にアップバンク(AppBank株式会社:当時ガイアックスの100%子会社)の社長だったマックスむらいさんが、会社が赤字から黒字になった瞬間に、「この会社を俺のものにしたい(カーブアウトさせたい)!」って言ってきたんです。まあ、当時の経営陣はみんな唖然ですよね(笑)。
宮城 資本の論理ではありえないですよね(笑)。
上田 そうなんですよ! その時社内でも意見が割れました。反対派の意見は、「本ケースがどうではなく、一番の問題は本ケースを許した後、数百人いる社員が自分も自分もと言い出しらたどうするんだ。」と言うものでした。対して賛成派の意見は、「心配するより、個人の性善説に任せよう。」というもので、これが揉めに揉めて。かなり思い切った決断がありました。結果的に見るとこのカーブアウトした会社はその後上場して、投資していたガイアックスとしても、そのまま一事業部であった場合とは比較にならない程のリターンがあったんですが。これをきっかけに、その後「個人の想いを大事にする」という経営方針になりました。今となったらもう自由すぎて、もはや何がいいのかもわからない状況になってます。
宮城 すごい話ですね!当時から知っていますが、今の上田さんを見て思うのは、ご本人がめちゃくちゃ楽しそうなんですよね!
上田 そうですか!?
宮城 そうです!5年ぐらい前までは、上田さん自身も完全にスーツでしたし、カチッとしてましたね。今では考えられませんが!こんなにすごい改革をやってみて、失ったものと得た物って何がありますか?
上田 失ったものは「コントロール権」ですかね。僕や経営陣のコントロール権は何もないんです。反面、得たものは「自由」ですよね。今は僕だけでなく、みんながとても自由にオフィスを歩いてるな、って感じはありますね。
現ビジネスモデルがベンチャーキャピタル的な要素もあるので、ぜひ皆さんもイメージしてもらいたいんですが。仮に「1億円ずつ100社に出資しました。この100億円が10年後無事に200億円になりました。」その時って、どんなパフォーマンスになっているかイメージがつきますか。たぶん一番上手くいった会社が200億円のうちの150億円ぐらいを占めていて、2社目が30億円ぐらいで、あとはボロボロ、みたいになっていると思います。そういう覚悟感が、組織論においても今はありますね。中途半端にマネージメントしに行って 「角を矯(た)めて牛を殺す( 小さな欠点を直そうとして、かえって全体をだめにしてしまう例え。)」みたいな事になっても、しょうがないんだと。「もう一人一人が、飛び抜けることを目指してよ!」みたいに思っているので、一人一人が訳のわからないこと言っていれば言っているほど、ホッとするって感じですね。
嘉村  今の話は「人を自由にさせたら秩序がなくなるという考え方」によって、いかに他の組織では一人一人の創造性が阻害されているのか。っと言うことの現れだと思います。ラルーさんは「地上でペンギンはよちよち歩きだけども、海に飛び込んだ瞬間に1ℓのエネルギーで200km をビューンと行く。環境次第で人って変わるんだ。」と言う話をされていますが、まさにガイアックスでは「水を得た魚」いう風に、自由に皆さんが振舞っているんだなというふうに感じました。
宮城 そうですね。以前と比べて、会社の雰囲気がすごい変わりましたよね。現ガイアックスのオフィスである、Nagatacho GRiD(永田町グリッド)へ引っ越してきたことが、大きなターニングポイントと言うか、すごく象徴的な出来事でしたよね。

数年前のオフィス
現在のオフィス(Nagatacho GRiD)

上田 そうですね。Nagatacho GRiDの影響はとても大きいと思います。移転前、社員はより働きやすくなるんじゃないかっとウキウキしていたんですが、実際に移転すると実は不満がいっぱい出てきました(笑)。オフィスの中には、お客さんでも無く、 取引先でも無い、赤の他人がいっぱいいて。そういう状況を最初はすごく嫌がっていました。けれども個人にフォーカスしている会社の現状を考えると、結局社員って辞め放題なんです。ガイアックスは、ただ掲げたミッションに共感して集まってきてくれている人の集合体なんです。辞め放題でどんどん辞めて行く可能性があるなら、逆にどんどん流入してくる状態にしないとバランスを取れない。そのためにも赤の他人含め、誰でも会社に来るって状態にしないといけないと思っています。Nagatacho GRiDは、まさにその現在のガイアックスの象徴のようになっています。
宮城 ソーシャルセクターと比較して考えると、正直ITベンチャーの方が組織は進んでいると思うんです。ソーシャルセクターはビジョンが先進的で、かつ、全てを捧げるように皆チャレンジしています。そのため組織全体のあり方とか、自分自身の健康とかが、どうしても後回しになっていくんですね。 一方でITベンチャーというのは、人のクリエイティビティとか、人のコンディションみたいなものが、会社のパフォーマンスに直結するっていうことをきちんと理解していると思います。結果、組織においても、ガイアックスのようにすごい変化が起きている。
ソーシャルセクターを含め、ビジョンやミッションが強い組織に集まった人ほど、想いが強く、自由な生き方を選択したいと思っている人たちです。なのに、入ってみたらオレンジやアンバーのような世界だった時、ギャップがありすぎて、幻滅して離れていってしまうと思うんです。これから組織が進化していくには、今回のテーマであるティールの様な概念が必要で、それはもう待った無し。積極的に活用しなくてはならない時がきていると思います。

次回、対談レポートVol.3「ティール組織の壁をどう超えるか」へ続く


千葉 憲子
ITシステムの営業と営業企画を経て、2018年 よりガイアックスに転職。社長秘書、社内外が交わる仕組みづくりなどの仕事を行う。また新規事業部でワーケーション関連の事業「Otell」を立ち上げ中。My purpose は「人と人を繋ぎ、新しい価値を生む触媒になる」。
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