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夢の車、らくらくカー

  • 最終更新: 2021年5月12日

上田 祐司

こんにちは、上田です。(個人ブログ:Gaiax CEO 上田祐司の[脳]置き場
今週末、東京モーターショーの開催ということで、日頃から考えている、車について「偏り」のあるサービス設計ができないのか、ということについてブログを書きました。ぜひ読んでみてください。

今週末、東京モーターショーに行くことにした。電動キックボードで勢いあるベンチャー企業さん、Luupの岡井社長に、特別招待券まで頂いた。Luupの新機種も出るらしく楽しみにしている。
携帯電話における「らくらくホン」は、素晴らしい商品だと思う。
あるターゲットに対象を合わせ、削り落とすところは削り落としまくった、偏りまくりのプロダクトである。そして、おそらく最新の機能はそこまで詰め込んでいないので、原価も安く、でも、特に安くなく普通の価格でも、全然売れてしまうという。
そのような感じの車版、「らくらくカー」をどこかのメーカーに作ってもらいたい。偏った奴。
日本の世の中には、まだまだ「偏り」が足りないと思う。

ちなみに、最近、高齢でもある実家の父親のための新車をいろいろ調べている。
もちろん、僕は、ライドシェアがあれば、こんな問題は解決されると思っているし、ライドシェアがあれば、父親にも免許証の返上をしてもらうのだが。それが実現できていないので、、、結果、いろいろと調べている。
家族会議をして下記の条件が出てきたのだが、この条件にフィットする良い車があれば教えて欲しい。ちなみに、トヨタ、スバル、マツダ、ホンダを回ったが、一番良かったのは、ホンダのフィットで、ただ、後進時の安全装置が弱いので、この秋のフルリニューアルを待っているところだ。その点が強化されると嬉しい。この東京モーターショーで見れるはずなので、楽しみにしている。
・僕や兄上も年に2〜3回乗るし、人数の関係で、軽はだめ。普通車で。
・歩行者を轢かないという安全装置が最も重要。
・車の図体が大きいと、当たってしまうリスクがあるし、死角ができやすいので、できるだけ小さい車がいい。
・逆に車の中にいる人の安全性は低くくていい。
・高速巡航時の自動運転機能など一切不要。そもそも高速に乗らない。最高時速を60kmにしてもらってもいい。
・夜間も車に乗らないので、夜間における衝突防止機能は、プアでも大丈夫。
・ガソリン車。
ハイブリッドにすることで、初期投資が上がり、ランニングが下がるが、回収できるほど、乗らないので、ガソリン車でいい。
しかも、静かであることは、逆に怖い。
・中古であることを厭わないが、結局、安全装置が古いと弱いので、最新型を買うつもり。
ここ数年は、安全装置関連が急激に進化しているので、型落ち車の価格下落が激しくなっていきそう!

ご高齢の方が、トヨタのプリウスで、お子さんの命を奪ってしまうなどの本当に痛ましい事故が何度かニュースで流れていた。
トヨタの販売店の方からは、プリウスの安全性が低いわけではない、と力説されていた。プリウスが単に売れすぎているだけなのだ、と。
まぁたしかに、そこそこの年齢で余裕がある方はプリウスを買っていそうなので、そういうこともあるのだろう。
ご高齢になられて、プリウスを所有できるということは、40年間、50年間、社会に役に立つべく一生懸命お仕事を取り組んでこられて、その総仕上げも無事に済んで、引退をし、自分自身でも「良い人生で良かったな」、まわりからも「おじいちゃん、良い人生を過ごせてよかったね」と思ってもらえてるのだろう。でも、事故を起こしてしまうことで、そういう状況にも関わらず、それらの幸せな人生がすべて暗転してしまうのである。
プリウス、地球環境に優しく、地球環境を考えている車の所有者さん、という印象を持つような素晴らしい車ではある。
でも、所有者として、事故を起こして被害者の方の命を傷つけてしまったら、被害者とそのご家族の方のことを考えたら、通常よりも高い費用を支払って、いつかどこかで少し効果を発する地球環境に優しく、ということを、ちゃんとケアできていたことが、逆に本当に悲しくなる。
ともかく、家族会議では、「人を轢かない車」であることが、最重要であることを確認した。
もっと言ってしまえば、事故を起こして、人にも大きな迷惑を掛けてしまったのに、車内に向けた安全装置はバッチリ実装されていて、自分は無傷、というのは、もっともヤルセナイ、という感じ。
自分自身が怪我をしたいわけでも、事故で死んでしまいたいわけでもないが、高齢になった自らの運転で、未来ある若い人生を閉ざしてしまうような事故を起こしてしまえば、あのような報道が流れるもの当然だと思うが、まさに、生きていて、なお、生き地獄であることも、事実ではあるとは思う。
おそらく、しっかりとご高齢になるまでお仕事をされてこられた方で、資金的にも余裕がある方なら、下記のような優先順位ではなかろうか。
人に迷惑をかけない >>>>>>>>>> 自分が安全 >>> 地球環境 > コスト
父上の今、乗っている車も、数年前に買った車で、そこまで距離も走っていないし、全然不満もなく、本人も買換えをしたいわけではないのだが、僕からの「たかだか、100万円、200万円で、リスクを低減できるなら、迷わず、買い換えるべきだ」という話しで、買い換えることとなった。

最近の安全性を高めている車は、本当にこの視点が欠けている。
車内の安全性に拘っているのが多い。
そして、安全性の点の高いものやランキングを見ると、歩行者の安全と車内の安全を総合評価している。場合によれば、自動で運転するようないろいろな機能のことを評価している。僕のような「父が買うべき車を探しているような消費者」からすると、全く意味がない情報である。
車内の安全性を高めるために、どんどん車の図体が大きくなっているのも、本当に問題である。
スバルのインプレッサは、ライバルのディーラーが、こぞって褒めていた。他社と違って、EyeSightという2つの目を使って、歩行者などを発見する独自に磨き上げてきた画像認識システムは本当にレベルが高いらしい。ただ、70歳のおじいちゃんが、あのスポーティな、バカでかい図体の、3ナンバーの車に乗るわけ無いじゃんって感じ。
複数のメーカーのうち、トヨタが最も精彩を欠いていた。あまりに欠いていたので、本当かなと思って、トヨタだけ、3店舗も巡ってみたが、もれなく、イマイチだった。
何より営業マンのレベルが低かった。僕の質問に対して、まったく的確に回答しないのだ。ごまかしてくるというか、ポイントが理解できていないというか。
また、説明がイマイチすぎるので、自分でパンフレットを詳しく見たが、見る限り、少なくとも小さなサイズにおける車の安全性の機能も、他社と劣るか、良くても同等程度であって、かなりイマイチだった。たしかに、ハイブリッドなど、地球環境のために力を入れているのは、分かるが、今回の要件には全くフィットしない。もしかしたら上級車には、安全性を高める機能を実装しているのかもしれないが、そんな車は今は要らない。
でもさすがトヨタ、恐るべき、なのは、4つのメーカーのうち、営業マンのスキル的にも車の実力的にも、本当にイマイチなのであるが、「日本のトップメーカーである」「トヨタだから安心」オーラだけは、ものすごく出してきていた。そのため、物を買うときは、一流品を買う傾向の強い父上・母上は、トヨタレンタカーのフランチャイズをやっていたからというのもあるかもだが、完全に心がトヨタに奪われていた。
「祐司くん、まぁトヨタでいいんじゃないの?」
ブランドというのは、本当に怖い。これこそが営業マンの質を下げているのかもしれない。
そうだ!我々は、ガイアックスという全くブランドのない会社で働けていて、幸せと感じるべきなのだ!

マツダは、デミオみたいな小型の標準的な車にも、あらかた、マツダとして用意できている安全装置を実装できるようにしている。安全装置は高級車に限らない、という、その思想は、素晴らしい。ただ、ところどころイマイチなところが。このイマイチなところは、ホンダを除く、各社ともほぼ一緒なのだが。
たとえば、歩行者や何かしらにぶつかりそうになる時に、自動的に”ブツカル”ということを認識して、自動ブレーキシステムが作動するのだが、少しでもブレーキやアクセルやハンドルを操作してしまったら最後、自動システムが停止し、運転手の手動運転に戻ってしまうのだ。そのため、たとえば、ブレーキとアクセルを間違えて踏んでしまっても、同じく、アクセルの指示を採用し普通に加速してしまう。
「ブレーキとアクセルの踏み間違い機能」は、各社そこそこ実装しているのだが、起動タイミングがポイントで、止まっている時とか駐車場内などぐらいの低速移動中に限る、という条件がどのメーカーにもついているのだ。この機能によって、駐車場に止まっている車をコンビニに突っ込ませるという事故は防げるのである。
ただ、一方で、30kmとかを超える通常移動中に、ブレーキのつもりで間違えて、急にアクセルを踏み込んだら、普通に加速してしまうのである。
「たしかに、巡航時での踏み間違いには、対応できないのものの、高速道路に合流する時など、運転手の意向と異なり、急に変に止まっても逆に事故るので。」とか「もっとも良い形でチューニングしているのです。」と自信を持って言っていた。
もちろん「高速には乗らない」ということは想定されていない。このあたりが、普通であり、「偏り」を感じれない。
そして、各社のディーラーが、ある意味、バカにしていたのが、ホンダである。
あまりに各社のディーラーが、バカにするので、当初、ホンダには行くつもりがなかったのであるが、逆に興味を惹かれてホンダのディーラーにも見に行ったのである。
ホンダの車は、自動と手動の切り替えがイマイチ。というか、ともかくすぐに止まってしまう、ということ。
「ショッピングセンターの屋上などの駐車場へ行くための螺旋の道でも、センサーが間違えて反応して、止まってしまうんです。」
まさに探していたのは、そういう車。
話を聞く限り、最新のN-BOXがなかなかいいのだが、軽だから見送り。
次に普通車のフィットも、他社からの前評判通り、こちらの要件に即して、なかなか悪くないのだが、各種安全装置が前向きにしか対応していないという。つまり、車庫入れなど、バックで運転している最中の安全装置は何もなく、その点が残念。
ともかく、今のモデルは、やはり数年前のモデルであり古いということと、ちょうど今年の秋にフルリニューアルということで、結論としては、フィットのリニューアルを待とうということになった。
もう、ディーラー巡りは、面倒だし、やりたくない。全体的に、僕のニーズに対して、機能やセールスポイントを整理して、理解している営業マンにも、なかなか出会えないので、苦労が耐えない。できれば競合比較もしておいてもらいたいのに。ぜひ、秋のホンダの新フィットが、期待値通りになり、そして、早く、父上の今の数年前の車を買い替え、このタスクをコンプリートさせたい。

話は、最初に戻るが、
誰か、下記のような車を開発してください!
・このご時世とはいえ、まぁ、ガソリン車。
・いろいろ安全装置がついていていいのだが、ともかく、ぶつかりそうになったら、有無を言わさず止まる。
・車内安全性は重視しなくていい。そもそもぶつからないような取り回しを重視した小さい車。
・最高時速は60kmとかでいい。加速のパワーもヘタレでいい。
・エアバッグは義務化されているだろうから、ついていていいのだが、むしろ、インプレッサにあるような歩行者保護用エアバッグが欲しい。
進化を続ける世の中には、真の顧客ニーズに寄り添った「偏ったサービス」というのが不足している。
ガイアックスでも、いろいろなサービスや商品開発において、真の顧客ニーズに基づいて、偏ったサービスを作れるように、しっかりと「切り捨てるものは切り捨てる」という意識を持たねばならない。
このあたりのことは、「ブルーオーシャン」というビジネス本にも詳しく記載されていたし、「イノベーションのジレンマ」という観点でも、よく取り上げられるポイントである。
切り捨てなければ!

今、このブログは、新幹線に乗りながら書いているのだが、新幹線もそうだ。エアラインは、座席の快適性を追求し、新型機を投入してくるし、JR東海は、一秒でも早く目的地につくために、10兆円を掛けて、そして、地方自治体とハードなネゴシエーションをしながら、リニア中央新幹線を作りに行っている。
そんな投資ができるのであれば、この新幹線に、トンネルでも途切れない快適なWi-Fiと、各席に電源を設置して欲しい。おそらく、新幹線に乗る、7割を占めるビジネスマンは、その2つだけあれば、それで十分なはずだ。
僕に至っては、その2つが新幹線にしっかりと実装されれば、むしろ、もっと長時間乗っていてもいいと思う。美味しいコーヒーをつけてもらえたら、永久に乗っていたい。
偏ったサービス設計。
車を時々、乗らざるを得ない。でも、ある程度、お金に自由が効く、上田家の父上のために、誰か「らくらくカー」を作ってもらいたい。
もしも、開発・販売をしてくれたら、僕が責任を持って、タイムズカーシェアさんに、大阪府茨木市のステーションに設置してくださるように、リクエストを送るので!

※当ブログに記載の内容は、個人のブログの転載となっております。
私たちは、ガイアックスの従業員およびその他の関係者個人の意見を尊重し、そのままお伝えすることを大切にしています。そのため、ガイアックの公式見解ではなく、個人の見解であり、個人のブログのポリシーに基づいて記載されております。
個人の立場での感じたままの意見・感想になりますので、公式見解や客観的な視点での意見と異なることもありますが、ご了承ください。


上田 祐司
1974年大阪府生まれ、1997年同志社大学経済学部卒業。大学卒業後は起業を志し、ベンチャー支援を事業内容とする会社に入社。一年半後、同社を退社。1999年、24歳で株式会社ガイアックスを設立する。30歳で株式公開。 ガイアックスでは、「人と人をつなげる」のミッションの実現のため、ソーシャルメディア領域、シェアリングエコノミー領域に加え、web3/DAO領域にも注力し、分散型自律組織やコミュニティの分野を強化。また、新規事業・起業を支援するスタートアップスタジオとして社会課題の解決に取り組む。 一般社団法人シェアリングエコノミー協会の代表理事、AppBank株式会社および株式会社Unitoの社外取締役を務める。

主な政府委員・登壇などの実績

・消費者庁 第3回デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における 環境整備等に関する検討会(2020年)
・G1サミット2018 登壇(2019年)
・経団連 生活サービス委員会(2018年)
・日本学術会議 経営学委員会・総合工学委員会合同 サービス学分科会(2018年)
・総務省 地域IoT実装推進タスクフォース 地域資源活用分科会(2016年~2017年)

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