ここ数年の中で、DAOは地域づくりや文化財保全という領域で活用されるようになり、「地域外の人が関わる仕組み」として注目されはじめています。
ただ、地方創生において大事なのは「DAOという看板」よりも、もっと現実的な問いです。たとえば、
- 県外から共感する仲間を集められているか
- 一度きりで終わらず、次の交流やイベントが生まれているか
- 地域側にとっても、参加者側にとっても、活動が続く仕組み・理由があるか
ガイアックスが支援しているプロジェクトにおいても、まさにこの”継続性”を重視しています。その結果、直近でも具体の動きとして見える出来事が出てきています。
ここでは、各DAOの狙いを押さえたうえで、各プロジェクトの直近の成果と活動・イベントの進捗報告を中心に整理します。
主に、ぐんま山育DAOとPlanetDAOと身の丈DAOという3つのプロジェクトの2025年9月〜2026年2月までの取り組みをまとめました。
ぐんま山育DAO:地域資源を軸に、地域に“関わる人”を増やす動きが続いている
ぐんま山育DAOは、群馬県が推進する地方創生の取り組みの一つとして始まったプロジェクトです。
あまり利用されていなかった山地を活用し、ぶどう栽培と自然派ワインを軸に産地づくりを進めながら、域外から人(労働力)やお金(投資)を呼び込み、関係人口の増加や移住促進につなげることを狙っています。
特徴は、単に「寄付を募る」「ファンを増やす」にとどまらず、出資者がプロジェクトの意思決定に関われる設計(投票など)や、現地での体験・貢献を通じた参加実感(労働提供やリワード構想)まで含めて、“関係人口を当事者化する”方向へ踏み込んでいる点です。
こうした取り組みの結果、2025年4月〜12月末の集計で、関係人口は累計480名、うち現地来訪者数は累計76名に達しています。担い手としての関わり方も多岐にわたり、バルイベントの運営、苗植え、収穫、圃場管理作業など、さまざまな形で地域に貢献する人が生まれています。

全国放送級の露出で「現地に集まるDAO」が伝わった
ぐんま山育DAOの取り組みは、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」(2025年9月10日)やフジテレビ「Live News α(α Next)」(2025年11月11日)で取り上げられました。

出典:フジテレビ「Live News α(α Next)」(2025年11月11日放送)
放送で描かれた中心は、単なる”構想の共有”ではなく、出資者が現地に集まって体験し、交流し、プロジェクトの当事者として関わり始めている様子です。[/caption]
直近の活動ではオフライン交流が進んでいる
群馬県内の山間部で行われた収穫では、山ぶどう系とワイン用品種を掛け合わせた「りざん」と呼ばれる品種のぶどうを、プロジェクトに出資した参加者が自ら収穫しています。
出典:フジテレビ「Live News α(α Next)」(2025年11月11日放送)
収穫の当日は、「畑での説明を受けながら収穫」→「収穫後に地元食材の料理」→「参加者同士の交流」→「収穫したぶどうを使ったワインの提供」という流れで、“ただの見学”ではなく、手を動かして関係が生まれる時間として設計されていました。
参加者の声として紹介されているのも象徴的です。
参加者の一人は、「すっきりしていて飲みやすい。ワインが好きなので応援の気持ちで出資しました。一人でつくるのは難しいですが、みんなで関われるのが魅力です」と参加された方は話していました。この温度感は、消費者ではなく“関与者”になり始めている証拠ともいえます。
» フジテレビで放送!人・投資・アイデアが集まる──関係人口・ふるさと住民を生み出す群馬発DAOの地方創生
温泉×ワインの日帰りツアーまで開催
ぐんま山育DAOの活用で良い点は、現地との接点を増やす企画が、告知だけでなく実際のイベントとして動いていることです。
2025年11月5日には、「温泉×ワイン日帰りツアー(山育DAOワインバル in Gunma)」というイベントも開催されました。

開催概要
- 限定15名
- 日程:2025年11月23日(日)
- 場所:群馬県渋川市(生産者の圃場→伊香保温泉街)
- 当日の流れ(仮):
- 10:00 都内出発
- 13:30 圃場見学&交流会(無農薬果実のジャムとパンを囲んで交流)
- 15:30 伊香保温泉街を自由散策
- 18:00 伊香保の名店「浮雲」で食事会(自然派ワイン×地元食材)
- 21:00 伊香保出発(23時頃都内着予定)
開催概要は、上記のような形となっていました。
渋川市の生産者・忍さんの圃場を訪問。自然派ワインの話を聞きながら、無農薬の果実を使ったジャムとパンで交流会をするなど、生産者の畑で、生の話を聞くことができるようになっています。
また、伊香保温泉街を散策する時間があるなど、地域を肌で感じ、より交流を深められる機会となっています。
» 【🍁15名様限定!秋の特別ツアー開催決定🍁】 【温泉×ワイン日帰りツアー】山育DAOワインバル in Gunma
PlanetDAO:日本の文化財保全を“世界と一緒に支える”動きが進んでいる
PlanetDAOは、日本の歴史的建造物(寺院など)を対象に、資金調達と運営体制をつくり、保全と活用を両立させることを目指すプロジェクトです。
特徴は、単なる寄付やクラウドファンディングではなく、株式会社型の枠組みを使い、出資者が共同オーナーとして関わり、運営方針にも意見できる構造を取っている点にあります。
過疎化や担い手不足で維持することが難しくなった寺院に対して、「地域だけで抱え込まない」ための仕組みとしてDAOを活用し、国内外の支援者とつながりながら寺を未来へつなぐモデルとなっています。
NHKで複数回放送され、社会的な認知も広がっている
那智勝浦町の寺院を舞台にした取り組み(PlanetDAO 001)は、NHKで複数回取り上げられています。
出典:NHK総合「列島ニュース」(2025年12月19日放送)
- NHK「おはよう関西」(2024年12月1日)
- NHK和歌山「ぎゅぎゅっと和歌山」(2024年12月3日)
- NHK総合「列島ニュース」(2024年12月19日)
過疎化・担い手不足で維持が難しくなった寺を、DAOを通じて国内外の支援者とともに守り、未来につなげる現場の様子が放送されました。
直近の資金調達の動き
PlanetDAOの活動では、歴史的物件の保存に共感する投資家からの出資をいただくことが重要です。
和歌山県・那智勝浦町の旧寳光寺の取り組みでは、下記のようなスケジュールと仕組みで資金調達が進んでいます。
- 募集期間:2025年10月22日〜2026年2月18日
- 株式発行日:2026年2月25日
- 1株あたり:1,000円
- 最低投資額:40万円(400口)
投資家が「共同オーナーとして現地・オンラインでつながる」導線が整っている
投資家向けに提示されている特典・関与の仕方も、単なる「買って終わり」ではありません。
- 共同オーナーとしての位置付け
- 宿泊事業や体験プログラムが収益化した際に配当の可能性がある
- 現地・オンラインでのミートアップ参加
- 物件に関連する活動への参加導線
- 世界中の共同オーナーとつながるコミュニティ
寺を管理する西山さんは、「少しの修繕でも、100万円単位の費用がかかります。これを地域だけで負担するのは、非常に大変です」と修繕や維持にかかる費用の負担について語っていました。
そんな負担の大きい寺院の維持・管理ですが、PlanetDAOの活用により、10月に出資を呼びかけてから1か月で、修繕と運営に必要な約3,400万円のうち、970万円以上が集まりました。出資者は10か国以上に広がり、約8割が海外からの参加です。

これにより、寺院を「宿泊施設」として再生し、多くの共感者とともに守っていくことが可能になりました。
» NHKで放送!和歌山県・那智勝浦町の寺で世界とつながり寺を守る新たな取り組み
出資を決めたJulio(ジュリオ)さんは、次のように話します。
「日本の文化や地域のためになることが大切だと感じました。単なる投資ではなく、社会的な意味があると思っています」
出典:NHK総合「列島ニュース」(2025年12月19日放送)
また、那智勝浦町 観光企画課の村井弘和課長は、以下のようにコメントしています。
「那智勝浦町では、人手不足、檀家数の減少、維持管理の担い手不在など、文化財保護の継続性は深刻な課題として認識しています。PlanetDAOの無住職寺院再生プロジェクトは、「文化財保全」と「地域活性化」を両立させる新しいモデルとして期待しております。また、地域においては、「地域文化の価値を外部の視点で再評価してもらえる」ことが大きな意義であり、長期的には地域文化の継承につながるものと考えています。
文化体験型観光は、地域への「深い関わり」を促し、リピーターや長期滞在者につながりやすい傾向があります。その先に海外からの移住・関係人口が生まれる可能性も十分あると考えています。」
3. 身の丈商店街DAO:出資をきっかけに“顔の見える仲間”が集まり、地域の変化が始まっている
香川県三豊市仁尾町で進む身の丈商店街DAOは、衰退する地方の商店街を、再び地域の人々と都市部の住民が手を取り合う「共助の場」として再生させる試みです。
資金を集めるだけでなく、出資者が投票を通じて意思決定に関わり、現地訪問や関与の深さに応じて参加の重みが増していく設計によって、「関係人口」を“お客様”ではなく“共に担う仲間”へ変えていくことを目指しています。
目標を上回る出資申し込みが集まり、リノベーションが動き出した
2025年12月、本プロジェクトは大きな節目を迎えました。
約150名から出資申し込みが集まり、合計は2,000万円ほど。空き物件の改修に向けた工事が実際にスタートしています。

構想や準備の段階を抜け、建物を直し、街に新しい用途を戻すフェーズへ進んだ、というのが直近の一番大きい変化です。
レストラン・テナントスペース


シェアハウススペース



また、特筆すべきは、出資者の約4割が東京都を中心とした首都圏在住である点です。

遠方の参加者にとっても「何にお金が使われるのか」が曖昧な“応援”で終わらないように、どの建物の、どの箇所の改修に資金が充てられるのかが分かる状態で関われる設計になっています。
つまり、地域外のお金が“寄付”として消えるのではなく、物件や街の再生に紐づいた形で投じられ、進捗の手触りを持ちやすいところが、この節目をより強くしています。
投票と現地訪問が“意思決定の重み”につながる仕組みが回り始めている
このDAOの特徴は、出資者が「資金提供者」として距離を置くのではなく、街の再生プロセスの“決める側”にも入っていける点にあります。
たとえば、空き家を改装した施設に「どんな店や機能を入れるか」、そこから生まれた収益を「次にどの物件の再生へ回すか」といった、通常は行政や事業者の内部で決まりがちなテーマに、投票を通じて関与できるようにしています。
投資が“お金を出して終わり”ではなく、“街の意思決定に参加する権利と責任”に変わっていく構造です。
実際に、身の丈商店街DAOに参加を決めた岡崎修平さんは、以下のように語っています。
「宮古島で地域の空き家を宿にしたり、廃校の活用を行ったりする中で、地域の人々で場を持ち合い、運用出来る仕組みに興味を持ちました。今回の商店街DAOに参加し、地域プレイヤーと対話を重ねることで、DAOの可能性を探るとともに、自分の活動する地域での展開につなげられることを期待しています。」
また、重要なのは、現地訪問が“関与の深さ”として評価される設計があることです。
実際に2回以上現地に足を運んだメンバーには、より深い意思決定に関わる権利が付与される仕組みとなっており、オンライン上の参加が、現地での関わりへと自然に引っ張られます。

1/18に実施したDIY解体イベントに地元メンバーが3人、地域外メンバーが6人参加
参加者にはDAO経済圏で使える独自ポイントが発行される。
来春のオープンに向けて、すでに県外の出資者が「いつ現地に行くか」を共有し合う動きも出始めており、出資をきっかけに、地域を活性化させるための取り組みにより深く関わる事例となってきています。

※参考:三豊の商店街DAO、1ヶ月で800万円の出資集まる!2,000万円の着地を目指す
今後も“続く関わり”が生まれる地方創生プロジェクトの立ち上げを支援していきます
ここまで見てきた3つのプロジェクトには、いずれも共通点があります。
どちらも「オンラインでつながる」だけでは終わらず、「現地に行く理由」や「また集まる理由」が設計されており、そこで生まれた関係が次の動きにつながっています。
- ぐんま山育DAOは、収穫という“身体を使う体験”と食事・交流をセットにし、さらに温泉×ワインのツアーのように次の集まりを具体に設計している
- PlanetDAOは、修繕という現実課題を共有しながら、国内外の共同オーナーがミートアップ等で関わり続けられる形を整え、資金調達が進行している
地方創生の難しさは、立ち上げよりも運用です。
出資で終わらず、意思決定や現地体験、役割や交流を通じて関係が育ち、「次の企画」が生まれる循環ができたときに、地域に変化を起こすムーブメントになります。
ガイアックスでは、こうした循環を生むDAOの立ち上げと運用を、引き続き支援していきます。
DAOやふるさと住民登録制度を活用した地方創生プロジェクトについて検討したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。



