非中央集権の組織として注目されているDAO。
DAOに関連して「トークン」という言葉を一度は耳にされた方がいるかもしれません。しかし、DAOにおいてトークンがどのような役割を果たしているのかはイメージしづらいのではないでしょうか。
DAOにおいては、ガバナンストークンと呼ばれるデジタルコインを所有することで組織への影響度は変わってくるのです。本記事では、DAOにおいて重要な要素である、トークンについて詳しく解説します。
なお、ガイアックスではDAOの構想策定から法人設立、資金調達、コミュニティ運営までを一気通貫で支援するサービスを提供しています。DAOのトークン設計やインセンティブについてもお気軽にDAOコンサルまでご相談ください。

トークンとは
トークンとは暗号資産におけるデジタルコインのことです。もともと存在する暗号資産(仮想通貨)プラットフォームのシステムを間借りする形で存在し、独自のブロックチェーンを持たない通貨のことを指します。イメージとしては、企業が発行しているポイントが近いです。
トークンの種類
トークンには大きく分けると2種類のものが存在します。トークンの分類は用途や定義により異なりますが、数量や品質において同等の商品と代替可能かどうかで区別する場合に、以下の2種類に分けられるでしょう。
FT(ファジブルトークン)
FT(ファジブルトークン)とは代替可能であり、同じ価値を持つものが存在するトークンのことです。イメージしやすいものは日常生活で使う現金であり、ビットコインなどの暗号資産もFTに分類されます。DAOで使うトークンはこちらのことを指します。
NFT(ノンファジブルトークン)
NFT(ノンファジブルトークン)は唯一無二であり、複製が不可能なトークンです。非代替性トークンとも呼ばれます。たとえば、購入者の名前が記された音楽ライブのチケットや航空券などがありますが、これらの概念をデジタル上に現したものがNFTです。
DAOでは、特にNFTが重要な役割を果たします。NFTは単なるデジタルアートではなく、DAOへの参加権や社員権、株主としての権利を証明する「会員証」や「証明書」として活用されることが多くあります。
DAOにおいて重要な4つのトークン
上記で説明した分類以外にも、さまざまな種類のトークンがありますが、ここでは主にDAOにおいて重要なトークンを4つ解説します。
ガバナンストークン
ガバナンストークンとは、投票権のついているトークンのことです。DAOの参加者はガバナンストークンを有することで、DAOの運営や意思決定に関与できます。つまり、DAOの運営方針はガバナンストークンのホルダーによって決まるということです。
DAOでは1人1票ではなく、1トークン1票であり、ガバナンストークンを多く有する方が意思決定において大きな影響力を持ちます。ガバナンストークンはDAOに貢献した報酬として得るか、仮想通貨取引所での購入が可能です。
ガイアックスが立ち上げ支援してきたDAOでは、多くの場合、出資の証として発行されるNFTがガバナンストークンとしての役割を兼ね備えていました。これにより、出資者=共同オーナーとして、プロジェクトの方針決定に直接参加できる仕組みが実現されます。
ユーティリティトークン
ユーティリティトークンは、特定のサービスを利用するための権利として機能する、実用性のあるトークンです。たとえば、映画鑑賞用のチケットや図書カード、遊園地への入場券などが該当します。
ユーティリティトークンの特徴は、価値が発行元に依存するという点です。ユーティリティトークン自体には価値がないため、トークンの発行元であるサービスやコミュニティの価値が上がっていれば、トークンの価値も高まると言えるでしょう。
実際のDAOにおける使用例としては、「身の丈商店街DAO」では、DAOメンバー専用施設の宿泊権がユーティリティとして付与されます。「ぐんま山育DAO」では、完成したワインの優先購入権や収穫祭への参加権がこれにあたります。
このように、金銭的価値だけでなく、特別な「体験」や「権利」を提供することで、コミュニティへの参加意欲を高める重要な役割を担っています。
セキュリティトークン
セキュリティトークンは、金融商品としての機能を持っているトークンのことです。「セキュリティ」といっても防犯に関する内容ではなく、有価証券的な機能を有するトークンです。有価証券と同等の法規制が適用されるため、デジタル証券と呼ばれることもあります。
なお、セキュリティトークンがガバナンストークンになっているDAOも存在しますが、ガバナンストークンを必ずしもセキュリティトークンにする必要はありません。
ソーシャルトークン
ソーシャルトークンはDAOにおいて、コミュニティのメンバーシップとして機能したり、共同のプロジェクトやコミュニティへの貢献を可視化するトークンです。ユーティリティトークンに分類されます。ソーシャルトークンは他の暗号通貨やコミュニティ内の特別な権利(トークン保有者のみが閲覧可能なコンテンツ)との交換もできます。
さらに、ソーシャルトークンは、限定のメルマガや非公開のDiscordへの参加権となるコミュニティソーシャルトークンと個人が発行するインディビジュアルソーシャルトークンの2つの種類にも分けられます。

DAOトークンの発行方法
通常、トークンはプログラミングするかトークン作成サービスを利用することで誰でも独自に発行が可能です。しかし、DAOにおいて重要なガバナンストークンに関しては、DAO組成ツールを使用することでより簡単に発行できます。代表的なツールはDAO組成において1,700件以上の導入実績があるAragonです。
Aragonの中でもAragon Clientを使うと、イーサリアムブロックチェーン上でDAOの作成や管理が可能となります。専用のテンプレートがあるため、DAO作成の目的に応じたものを選択後、受取先のアドレスや量を入力し、トランザクションを作成すれば簡単にトークンの配布が可能です。
なお、web3に不慣れな参加者が多いDAOでは、ツールの複雑さが参加の障壁になることがあります。ガイアックスが提供するDAO運営ツール「DAOX(ダオエックス)」は、トークン管理や投票、チャット機能などを一つに統合しており、専門知識がない方でも直感的にDAOの運営・参加が可能です。
社内DAOによる独自トークン活用の実例
ガイアックスでは、2023年4月に日本初となるDAO型入社式を行いました。そこで、プロジェクトへの自主的な参加を促すためにGR(ガイアックスリワード)と呼ばれる独自トークンを発行しています。
作業時間15分あたりを1GR(300円相当)とし、メンバーの自己申告によりリワードを付与しました。
トークンの価値は本来流動的なものでありますが、ある程度の基準がある方が運用しやすいとの考えのもと、今回は具体的に15分という作業時間に対して価値を決めています。
付与されたトークンは投票への使用やサービス利用券などとの交換が可能で、DAOへの貢献度を高めています。
この記事を公開しているガイアックスでは、これからDAOを立ち上げたいと考えている組織運営者向けに、DAOの立ち上げ支援をしています。
日本で初めてDAO型シェアハウスの運営をはじめとする、多くの実績があります。DAOの組成に関して興味をお持ちいただいた方は、DAOコンサルで実現できることがわかる下記の詳細ページをご覧ください。




