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プロの料理人じゃない料理教室に10,000円でもリピーターがつく理由

  • 最終更新: 2023年11月9日

Tadakuの須佐です。普段は会社名でもあるTadakuという外国人の自宅で家庭料理が学べるマッチングプラットフォームを運営しています。現在77ヶ国300名を超える外国人ホスト(先生)が食を通じて母国の文化を伝えてくれています。今回は、先日見かけた(料理と全く関係ない)記事をきっかけにしてTadakuについてあれこれ書いてみたいと思います。
楽天がチケット価格を“時価”に プロ野球初の「価格変動制」全面導入
プロ野球の楽天(ゴールデンイーグルス)が “試合や席種の需要に応じて価格を変動させる” という記事ですね。既にメジャーリーグでは価格変動制は当たり前に運用されています。日本のプロ野球でも対戦カードや曜日に合わせて予め需要を予測してチケット代の金額を設定する仕組みはあったのですが、実際のお客さんの需要に応じて細かく(恐らく)それも大きく変動させる仕組みは日本球界初というわけです。
この記事を読んだ時、冗談半分で「よし、Tadakuでも時価やろう!!」と頭をよぎりましたが、ちょっと考えて「思いのほか、実際に時価とは言わないまでも十分変動はしてるな」と思い直しました。
Tadakuは外国人ホストの開催する料理レッスンとゲストをマッチングさせる役割を担っています。レッスンは1回完結型です。レッスンのメニューはホストが作るので、レッスン価格もそのメニューに必要な材料や準備にかかる手間を考慮しながらホスト自身が設定します。その設定した金額にTadakuのプラットフォーム料が加算された金額がゲスト(生徒)の支払うレッスン価格となります。つまり価格はTadakuが決めるわけではなく、ホストが決めるわけです。そして、そのホストがけっこう需要に応じて価格やメニューを変動させているんですよね。良い意味で料理教室の相場とか考えず。昨年の今ごろは6,000円を超えるレッスンは一つも無かったのですが、この1年で10,000円を超えるレッスンまで出現して、それもゲストの予約が入って成立しています。※Tadakuのレッスンの平均価格は5-6,000円

料理教室だけど、ゲストは必ずしも「料理を学ぶ」にお金を支払っているわけではない

通常のレッスンで満席が増えてリピーターが一定数根付いてくると、次のレッスンではこれまでできなかった新しいレッスンにチャレンジしてくれます。日本で手に入りづらい食材を使ってリピーター向けに凝ったメニューや、クリスマスやイースターのような季節性のイベント用の特別メニューなど。手間や原価はかかりますがより母国に行かないと体験できない方向に寄せたレッスンです。更にそのレッスンをフランス語など英語以外の言語で開催したり、途中で母国の音楽を演奏してくれたりします。なかには、母国からお母さんが来日する時にレシピの伝承元であるそのお母さんと一緒に二世代に渡っての食文化の歴史を伝えてくれ、作って食べて話して4時間以上まるでホームステイをするような体験を企画してくれます。
一方で、品数を減らして、調理もデモンストレーション型にして時間を短縮した「食べる」中心にした低価格帯の短編メニューも増えてきました。メモを取りながら調理工程を見たうえでじっくり料理の生い立ちを聞きながら食べたり、国によっては箸やフォークを使わず手で食べたりお祈りを一緒におこなう食事体験にフォーカスしたレッスンです。こちらは、平日の夜や、お子さんを預けている間に参加したい方が予約してくれます。ホストからしても、普段Tadakuのレッスンとは別の仕事を抱えていているホストにしてみると、仕事の空いた時間で気軽にレッスンを開催できるメリットがあるようです。
どのレッスンも料理教室ではあるのですが、「料理を習う」以外に「ホームステイ」や「旅行」、「語学」に近いある意味料理教室から離れた価値(上述した日本で手に入りづらい素材を使ったレッスンなんて、料理教室で重要な料理の再現性からすると正反対)を付加したりフォーカスすることで、それぞれの需要にあわせてレッスンの価格帯は3,000-10,000円ととても多様になりました。今後も、アメ横センタービル地下の食品街や新大久保など、各国の食材を売っているお店で一緒に食材を調達することも組み込んだりするようなレッスンなど、更に広がる可能性はまだまだありそうです。

自分が母国で食べて育ってきた経験はお金がもらえるだけの需要(価値)があるんだと気付く

さて、何故こうも多様なレッスンが生まれるかというと、それはホストがプロの料理人でない(現時点でプロの料理人や経験者は20%程度)という要素が大きく影響しています。一見すると、プロではない、というのは欠点に見られがちですが、そもそも料理教室で対価を得られるなんて思ってもいなかった人たちだからこそ、良い意味で料理教室という形式に囚われず自由な発想で、ゲストと触れ合いながら母国の文化や自身の持つストーリーやバックグラウンドが持つ価値を発見してレッスンへ反映してくれています。
レッスンのクオリティはTadakuのサービス全体としてまだまだ改善の余地があります。とはいえ、必ずしもプロの料理人だけではないTadakuの食体験において、メニューによって10,000円という大きな金額(実際に10,000円超えのレッスンはプロではない)でもリピートするゲストの心を掴んでいるケースが出てきたことは純粋に凄いことだな、と思っています。その一方で、Tadakuのホストが持つ文化的背景や自宅に招いてまでも自国の文化を伝えたいというオープンなマインドにはそれだけの価値があると思います。そもそも料理のレベルだって、お店で料理を提供しているわけでないけど、ご家庭で毎日3食家族のために作っています。野球だって高校野球は十分に人を呼べるコンテンツですし、アメリカでは大学のアメフトのチケットも良い席はとても高いと聞きます。そのものの質以外でも価値は作れるよな、と。
冒頭の記事の楽天をはじめプロ野球の各球団も、野球を観戦するというチケットの価値をボールパーク構想など多様化させる施策を打って観客動員数を増やし価格変動制を実現させようとしています。Tadakuでも各国のホストが各々「料理を習う」以外の価値をレッスンに味付けすることで料理教室の枠に縛られない体験とプライシングが実現できつつあるかな、というお話でした。

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須佐 宇司
2004年4月入社。Webシステム開発の営業に従事し、法人向けブログシステムのプロダクトマネージャーを経た後にエンジニアへ転向。新規事業担当としてWebサービスの立ち上げに携わった後、Tadakuへは2015年から参画して主に渉外・PRを担当。料理は週末に飲みながらつまみを作る程度。冷蔵庫マネジメントが次の課題。
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