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JBA Meetup Vol.3などで見えてきたICOの世界

  • 最終更新: 2017年11月15日

ICOという言葉をご存知でしょうか。Initial Coin Offeringの略で、ブロックチェーンを使ったサービスにおいて、そのサービスが開始される前に、そのサービスのコインを売り出す行為のことを指します。ICOをするサービスは、サービス開始前にコインを販売することで資金を得ます。
詳しくは、以下のブログに書いておりますので、そちらをご参照ください。
仮想通貨を利用した新しい資金調達の形「ICO(Initial Coin Offering)」
先日、ガイアックスも理事を務めている、JBA(日本ブロックチェーン協会)主催のイベント、「JBA Meetup Vol.3 ブロックチェーン交流会」にて、このICOがテーマとして取り上げられました。海外事例、税制面からの解説など事情に興味深い話を聞くことができました。いまブームとなっているICOに対し、JBAとして正しい知識を持ってもらいたいという意図もあったと思います。このイベントを通じて、ICOについて、考えていたことや気づきがあったので、少しここに書いてみたいと思います。ここに書いてあることは私見を多く含みます。そして、これが世間一般の常識でもなく、ガイアックスの見解でもない点にご留意ください。
JBA Meetup Vol.3 ブロックチェーン交流会 参加レポート

blockchain meetup
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まず、ICOは現在ブームと言える状況で、多くのサービスでICOが行われています。ICOでは購入したコインは、一旦は保持する形になりますが、その後、そのコインを市場で自由に売買できるようになるものが多くあります。この市場で売買できるようになるタイミングを、株式と同じように「上場」と言われており、株式と同じく、この上場のタイミングでコインの価格が上がることが起こりえます。ブームの最大の理由は、このICOで購入したコインをこういったタイミングで高値で売ろうという投機目的で購入する方が増えているため、サービス側も資金調達を期待できることにあります。

aram mine

実を言うと、自分はICOという言葉は、あまり好きではありません。その理由はIPOを簡略化して、手軽に資金を手に入れられる手法という認知がされているケースがあるからです。「新しいサービスを作りたいから資金調達にICOすればいい。」そういった話をする方が少なからずいらっしゃいます。たしかに、証券会社などと長い時間をかけて調整した上で行われるIPOに対して、ソフトウェアを開発するだけで出来上がってしまうという気軽さがICOにはあります。自分はその「簡単に資金を調達する」という安易な発想があまり好きではありません。かと言って、ICOに対して反対しているわけでもありません。

私は、ICOはサービスにおける資金調達だけの役割を持つものではなく、ブロックチェーンを使ったサービスにおける経済モデルの重要な一部を担っていると考えています。ICOをする場合、そのコインはサービス内の通貨として使われ、サービスが続く限り、サービス内の価値移転の基軸として使われ続けるものだと思っています。
そして、この価値移転がサービス内の「経済モデル」を回すものにならないといけません。ホスト・ゲスト型のシェアリングエコノミーのサービスであれば、ホストとゲストの間で交換される価値の基軸となるべきです。対価の支払い、評価(レピュテーション)、他にもサービスへの手数料や、逆にサービス側からのお礼などもあるかもしれません。こういった、サービス内での価値をコインの形に落とし込み、回すことろまで設計すべきと考えています。そして、そのコインの管理にはブロックチェーンをどう使うかも重要になってきます。よって、「ICOを行う」=「サービス内の価値移転のモデルが完成している」ことが重要だと思っています。
また、ICOはクラウドファンド型にするのが一番良いのではないかと思っています。つまり、初期に投資してくれた方々には、何かしらの優待を与えることと、初期投資が入る=サービスが期待されているという構図を作ることです。その優待が投機であっては意味がなく、サービスの中できっちり優待してあげるのが理想だと持っています。例えば、コーヒーショップをオープンするときに、コーヒチケットを初期だけ割安で販売するようなモデルです。

投機目的のICOは、悪意を持った人によって「お金が集まったらドロン」なんてことが、どうしても起こりやすくなってしまいます。こういうことが繰り返されるとICOというモデルは、「ダメなもの」として衰退していくでしょう。そうさせないためには健全なICOが多く行われることが重要で、うまく回ればこの新しいサービス内の経済モデルの普及が加速するでしょう。
せっかくの面白い仕組み、これから正しく多く活用され、良いサービスにはオープン前からしっかりユーザーがつき、そしてそのサービスはしっかり発展し、ブロックチェーン+ICOというものが、世界のサービスをどんどん良いものにしていく源となれば最高だなと願い、この話を締めさせていただきます。


峯 荒夢
株式会社ガイアックス web3事業本部責任者 兼 一般社団法人日本ブロックチェーン協会理事、芝浦工業大学SIT総合研究所 研究所客員研究員。2015年よりブロックチェーンの研究開発に着手し、情報サイトBlockchain Bizを運営し、3冊の書籍の出版にも携わる。2022年より企業や自治体に対してDAO組成の伴走サービスを開始。鳥取県智頭町・静岡県松崎町らとの「美しい村DAO」のシステム開発や、早稲田大学・芝浦工業大学などと連携し、スマートシティーへ向けたLiDARネットワークの開発も行う。ブロックチェーンの国際標準を策定するISO / TC307国内審議委員会委員も務める。
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